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 第百話 宝箱


 ボス部屋の先は小部屋で中央に祭壇っぽいものがある。小さな台の後の壁には花や植物のレリーフ。台の両端には装飾華美な燭台に魔法の灯りが灯されている。高い値段で売れそうだけど、部屋も含め全て一つの岩を削り出してあるみたいだから持って帰れないな。

 そして祭壇には一つの宝箱。朽ち果てそうな木で出来ている。この綺麗で厳かな空間にそれだけが異物だ。まじか、ここに来て最後ははずれか……


「誰が空ける?」


 エリが宝箱の近くに行くが、今度は空けない。さっきの爆発の事をまだ気にしてるのかもしれない。


「木箱だから罠は無いと思うわ。あったとしてもザコい罠よ」


 と、言ってる割安にはアイは空けようとしない。


「そうですね。大したもの入って無さそうですから、私はいいですよ」


 木箱ってだけでみんなテンション低いなー。なんか僕のスキルが悪いように思ってしまう。たしかにレアドロ率アップのスキルだけど、アップなだけで確定では無い。当然大半ははずれる。そんなにガッカリしなくてもいいじゃない。しょうが無い。僕は箱に近づいて無造作に空ける。


「…………はぁ…………」


 テンションだだ下がりだ。


「えっ、何が入ってるの」


 アイが近づいて来て、箱の中を見る。


「えっ、空っぽ? 宝箱じゃなくて空箱じゃない」


 僕も一瞬思いついたけど顰蹙を買いそうだから飲み込んだ言葉を、アイは微塵の躊躇いもなく言う。当然みんなスルーだ。

 最後の最後の宝箱がはずれと言うか、空っぽ。なんか今回は多分結構儲かったはずだけど、最後がこうだとモヤモヤする。

 モモが飛び回って未練たらしく隠し扉を探すけど何も無い。


「じゃ、帰ろっか」


 僕の言葉にみんな無言で肯き、元来た道を帰る。

 しばらく進んだとこで違和感を感じる。後ろになんか居るような? 化すかに足音がしてるような気がする。


「どうしたの?」


 立ち止まった僕にエリが声をかけてくる。立ち止まったら気配はしなくなった。また歩き出す。後ろは見ないで空気の流れに集中する。うん、間違いない。何か動いている。部屋を一つ通り過ぎ、道が曲がったとこで少し進んで止まり音を立てず戻って後ろを見る。居る。明らかになんかいる。


「どうしたのよ」


 エリたちもついてくる。


「何か居る。行くよ」


 通路の先まで駆け、部屋に入ると部屋の中央には開いた宝箱。


「なんだ、箱か。箱が動くはず無いしな。行くか」


「ちょっとハルト、何言ってるんですか。さっきの箱がそこに有るんですよ。怪しさ満点じゃないですか」


 僕のちょっとしたボケにモモが噛みついてくる。いつもツッコまれる側だから少し嬉しそうだ。

 


 読んでいただきありがとうございます。


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