第一話 出会い
ある夏の日の朝早く、ぼくはその道を歩いていた。そして、そこでうららちゃんと出会う。
うららちゃんは女の子だ。それはとても綺麗な容姿をしている。道を歩いていると正面から女の子がやってきた。うららちゃんだ。そこで僕たちは初めてすれ違った。すれ違った後もぼくは立ち止まり、うららちゃんの背をいつまでも見送っていた。
――あの子はだれだろう。
それ以来ぼくはうららちゃんを探して朝の道を歩き続けることになる。
幸いうららちゃんは次の日も同じ場所ですれ違った。そして後ろ姿を見送った。
それからそういうことが何度か続いた。うららちゃんは学校にでも通っているようだった。ぼくはその日とうとう勇気を出してすれ違い様に回り込んでうららちゃんの反対側の隣につけ、うららちゃんと並走することに成功した。うららちゃんは驚いてぼくの顔を見た。ぼくも負けずにうららちゃんを見た。
「わたしの顔に何かついてますか?」
うららちゃんの最初の声だ。
「きょうから素敵な日が始まる相がついてます」
と、僕は答えた。
これがうららちゃんとの出会いだ。
ちなみにぼくはおっさんだ。仕事もせずにフラフラしていた。
これは変質者の行為かもしれない。でも誰もやらないことをやるのは勇気だ。僕の行動は勇気だ。つまり勇者だ。
おかげで、今日からこうしてうららちゃんとの物語が始まるのだった。




