《曲》 《結婚する時》 ほか
《曲》「あれ?」ボクは不思議に思った。何回も聞いたはずのCD。でも今流れている曲は聴いた事がない。とても安らかな曲。何だか眠くなってきた。歌詞カードをみると確かに一曲ふえている。しかし曲名を確かめる前に僕は闇に陥った。その曲名にはこう書いてある、「レクイエム」と。
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《荷物》男が天使に聞く。「この荷物を降ろしたいのですが」天使は言う。「それは貴方が経験した人生です。荷物なんかじゃない。大切にして下さい」男はその言葉に勇気を得る。でも天使は思う。「ご免なさい、今のは嘘。それは荷物でしかありません。そして、一生おろせない重くつらい荷物です」
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《魔法宰相》このままでは、いけない事はわかっている。しかし私にどうしろというのだ。もはやこの世界の魔法源は修復不可能となっている。しかし王は納得していないご様子。既に魔法に頼らない統治を模索せねばならぬ時期が来ているのに……。
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《太った鳥》翔べないよ、翔べないよ。こんなに太ったのはオレのせいだけど……。腹が出るかわりに翼は縮こまっちまった。夢を喰いすぎたかなぁ、もっと早く飛びたてばよかった。
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《黄魚通りの記憶》あの子、最近この道を通らないなぁ。あぁ、十年前に交通事故で死んだんだっけ……。おれもモウロクしたなぁ。この通りもあと半年で区画整理で消滅か。もう誰もいない……。
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《結婚する時》「あなた、結婚する時に、私のことを死ぬまで愛するって言ったじゃない……」「そうさ、だから愛せなくなった時点でお前を殺したんだ。約束はあくまで生きている間の話だからね。さぁ、わかったら迷わず成仏してくれよ。幽霊につきまとわれたんじゃ迷惑だ」
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《通商証人》って、おい、こりゃぁちょっとヤバいよ……。あいつのバックにゾキラクツ旅団がいるのは知っていたけど、仲介者がいま連絡している奴って、あの始末屋じゃないのか?ちくしょう、俺の船の起動キー、あいつのアシスタントに預けたままだよ。
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《記憶》私が公園として生まれてから、何年がたつだろう。これまで何組の男女があのベンチで愛の言葉をかわすのを聞いてきたのだろうか。そしてこの先、何組の男女が別れていくのを見ていくのだろうか。
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《記憶Ⅱ》ある晴れた日の午後、公園は警察官でいっぱいだった。公園で死体が発見されたのだ、あの女子高生の死体が。私は一部始終を見ていたが、喋る事は出来ない。だって私は物言わぬ公園なのだから。
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《メガネ》メガネをかけるようになった。もう今までの世界を見ることは出来ない。死ぬまでガラス越しの世界。




