《指人形》 《掃除機》 ほか
《誘惑》キーボードを打つ、いつものように。でもこのキーボードには秘密がある。ある一定のタイプミスをすると、某所にある地球破壊爆弾が作動するのだ。いつ地球が爆発するかわからない恐怖と快感。そして愛を賞賛する詩を書いている時に、タイプミスをする事を望んでいる僕がここにいる。
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《契約》この部屋に入って一週間が過ぎた。約束通り、一歩も外へは出ていない。もともとインドア派の私にはさして苦痛にはならないが、一抹の不安がないわけではない。あの女との契約では一年間一歩も外へ出なければ、報酬として二千万円もらえる事になっている。
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《はじまり》新作ドラマを見た。前にも同じものを見た気がする。単なるマンネリか、俺の記憶障害か……。そのどちらでもない事に俺はその時まるで気づいていなかった。もちろん、それが恐ろしい出来事の始まりであるという事も。
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《風》風が強くなってきた。この風は追い風となるのか、それとも火を広げる不幸の風となるのか……。
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《指人形》ボクはお金持ち天使だよ。お金持ちになりたい人、この指とーまれ、この指とーまれ。でもその天使は指人形。悪魔が操る指人形。
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《場末の処理者》僕は今、惑星トランディットにいる。そこに残された実験動物を処分するために。でも僕は気がすすまない。別に彼ら、いやあえて彼らと言おう。彼らには何の罪もないのだ。単に実験の中止が決まったので、その後始末としての処分が決まったにすぎないのだ。
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《断片27・掃除機》色々な掃除機がある。強力な物、静かな物、排気がキレイな物。あいつを跡形も無く吸い込んでポイしてくれる掃除機はないものか。
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《断片28・スポーツ》私はその競技に命を懸けていた。というより懸けさせられていたというほうが正確かも知れない。何せ物心がついた頃には既に選手になる事を義務づけられていたのだから。そして幸せな余生、つまり満了での引退を迎えるには一定以上の負けを認められない厳しい宿命も……。
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《境遇》私は僧侶として、その生物をかくまっただけだ。御仏の慈悲を与えたにすぎない。しかし結果として私はいまt囚われの身だ。それも死刑囚の入る独居房に。どうしてこんな事になってしまったのだろう。私はあの晩の事を思い出していた。あの光輝く冷たい光が舞い降りてきたあの夜の事を。
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《望み》僕はその長距離の宇宙飛行を自ら希望した。希望者は少なかったので、特に苦労をする事もなく合格した。元々一人が好きだと言う事が評価されての事らしい。もちろん借金や犯罪から逃れるためではない事も証明済みだ。そして僕の幸せはもうすぐそこに来ている。それは永遠の孤独。




