《遠慮》 《倍速》ほか
《会議》
地球の運命を決める大事な会議。異星人が降伏か死かを迫っている。玉砕論もあれば生きてこその可能性を説く者もいる。議員の俺が会議に参加してどれくらい時間がたったろう。ざっと25年位か。異星人の寿命が我らの千倍とはいえ、俺の生きている内に結論が出るのやら出ないのやら。
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《天使》
最近、二枚の翼の上に首だけがのっかった”何か”が見える。しかも頻度が段々増えてきた。ストレスのせいか…。そんな時、課長に呼ばれリストラを告げられた。うな垂れ帰宅する俺の前に幻覚が現れ、二コリと笑って消え去った。あぁ、あれが都市伝説で有名な”首切り天使、リストラ天使”か…。
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《遠慮》
最近、妙な噂がたっている。商店街に夜な夜な若い女性が現れ、裏通りにあるレストランについて尋ね歩いているという。興味を持った俺は、調査に乗り出しすぐに結論を得た。霊能者の俺は彼女に助言する。「君は控えめな性格らしいが、はっきりと”ウラメシヤ”と言わないと通じないよ」
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《代行》
神が現れ「一日だけ君の夢を叶えよう」と言った。僕は絶対的な世界の支配者になりたいと願った。夢は現実となり、僕は早々に世界中の核ミサイルのボタンを押させる。僕の夢はこのウンザリする世の中の消滅だった。消え去る瞬間ふと思う。もしや神は、自分がしたくない仕事を代行させたのかな。
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《攻略》
僕は悪魔と取引して”僕の人生の攻略書”を入手した。ゲーム本の様に進行の仕方が書いてある。おかげで僕は楽々と人生を歩んできた。でも老後に入った時、愕然とする。人生はマルチエンディングだったのだ。このままだと…、最悪のバッドエンドじゃないか。そういう事は最初に書いておけ!
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《倍速》
俺は悪魔に貰ったリモコンで、恋人の話を2倍速で聞く。愛しているが、時短は大切だ。結婚し子供が出来た後は3倍、4倍となり、もはや何を言ってるのか聞き取れない。だが死の床に着いた俺は反省した。残りの時間、妻とゆっくり話そう…。妻が見慣れたリモコンを手に取るのが見えた。
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《幸福》
我が国は「幸福国家」だ。各家庭で幸福の可視化が義務付けられ、その様子が諸外国にPRされる。実際は幸福な演技に過ぎないのだが国の命令なので仕方がない。わが国の独裁大統領は知っているのだろうか?諸外国が我が国を幸福な国と呼ぶのは「おめでたい国」との皮肉である事を。
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《さぁ》
僕は特に考えず刺青をした。社会じゃ受け入れられない、さぁ、どうしよう!僕は特に考えず髭の永久脱毛をした。アラブ勤務になったが、向こうでは髭を生やさないと受け入れられない。さぁ、どうしよう! 僕は特に考えず屋上から飛び降りた。後悔したが引き返すのは無理。さぁ、どうしよう!!
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《風邪》
「司令、地球に超強力な風邪ウイルスを散布しました」宇宙船内で部下が報告する。「うむ、だが情報は確かだろうな」司令が問う「間違いないです。大多数の地球人は風邪で死ぬでしょうが、奴隷にする分は生き残るでしょう。地球で有名な言葉に"バカは風邪をひかない"というのがありますから」
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《アイス》
異世界転生した俺は、さも自分が発明したかのようにアイスを作りだした。それは王宮まで響き渡り、献上する事となる。だがすぐに、俺は王暗殺の罪で捕まった。美味さの余り大量に、しかも急いで食べた王は頭痛と深刻な腹下しに見舞われたのだ。あぁ、やっぱりラノベの様には行かないか……。




