《竜》 《想定外》 ほか
《愛》妻と約束した、ここを死守すると。迫る大軍を退けケガをすればそこを機械と替えた。脳以外機械になった俺の前に強大な敵が現れ、勝つには体内の核を爆発させる他ない。最後の瞬間、妻の名を呼ぼうとしたが何故か思い出せなかった…。”愛は勝つ”との発想で、偽記憶を埋め込まれた兵士の話。
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《雲》「わぁ~、あの雲、ロボットみたいだよ」息子が空を見て歓喜する。ロボットだけではない、空には軍艦やら円盤の形をした雲がひしめく。私は我が子を見て寂しく笑う。この子にいつ真実を伝えようか。あれは雲に偽装した”本物”で、地球を支配した宇宙人が威圧の為に設置しているのだという事を。
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《ボーナス》「今年のボーナスは現物支給とする」不況の折、仕方ないとみな諦めている。ある社員が呟く。「俺に配布された機械、ACアダプター別売りかよ。アイツのは専用のメモリーカード別売りかぁ。企業同士結託し、不足しているパーツを買わせる仕組みじゃあるまいな……」
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《本性》男が恋人を見る。あいつ、まるで口を尖らしたタコの様だ。その口で俺の財産を吸いとる気なのか。女が恋人を見る。あの人、よだれを垂らした野獣に見える。私の体が目的なのかしら。二人は溜息をつく。悪魔と契約して欲望が見える力なんて得なきゃ良かった。欲望のない人間なんていないのに…。
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《別れ》俺はその人妻の白い肌を一カ月間たのしんだ後、何のためらいもなく彼女を捨てた…。まぁ、正月用に干支人形の替わりにシル○ニアファミリーの兎のお母さんを買って、服を脱がして飾っておいたんだけど、2月になったんでゴミ箱にポイしただけの話なんだけどね。次の卯年に使う気はないんで。
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《竜》僕は望んでドラゴンに転生した。強さと尊敬が欲しかった。だが竜族にも序列があり僕は下っ端だったし、群れを離れた後は孤独だった。勿論、ゲームもスマホもない。鬱積した僕は街で暴れるしかなかった。そして今、勇者に倒される寸前だ。悪のドラゴンなんて、みな僕の様な転生者じゃないのかな。
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《責任》任命責任ボタン。閣僚などが辞める度、首相自ら押す必要がある。押せば寿命が5年縮まるシステムだ。今や首相の義務である。前の首相が4回押して絶命した。与党では次の総裁選びが大紛糾。野党は自分達が与党にならないように血道をあげる。首相になるのが貧乏くじ。そんな時代が来ないかな。
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《想定外》俺は事故に遭い、異世界転生した…と思った。だが周りは殆ど変わりない。戸惑ったものの歴史を学び理解した。確かに昔はここも剣と魔法の世界だったが、大量の転生者が来た事で文化や技術が急発展し、今や現代社会と相違ない。魔法もいつしか伝説となった。俺は何かとても損をした気がした。
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《下》華々しい成功例なんて、ごく一握り。それはどんな世界でも同じ。異世界転生すると聞き俺は小躍りしたが甘かった。俺は骨付き肉に転生し、よだれを垂らすオークに食べられる。内臓を巡った後、最後はカスになって脱糞され短い生涯を終えた。あぁ、チート転生する奴らなんて氷山の一角なんだなぁ。
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《色》突如現れた圧倒的武力を誇る宇宙人に地球は征服された。彼らは残酷な提案をする。「人類をチーム分けして殺し合え。勝者は助けよう。分け方は…うむ、肌の色で決めろ」人々は逆らう事も出来ず、肌の色で分かれ戦った。ネットから”ハンニチ””ザイニチ”の文字が消えたのは言うまでもない。




