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レガシーロード 〜宿命之運命〜  作者: 紺屋小牙
第一章 幼少期
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第7話 男の決闘

「では始め!!」


この合図と共に俺は距離をとる。


するとアランはすぐさま火球を放つ。

だがその火球を前回のとは、ワケが違った!


(は…速い! それに威力が前のより段違いだ…!)


それでも俺は問題なく避ける。

すかさずアランは攻撃を続ける。 


「『連火球(れんかきゅう)』!!」


アランの手からガトリング砲の如く火球が連続で放たれる。


(ヤベッ!)


俺は走りながら避ける。

だが避けるだけではない。

攻勢に出るために距離を詰める。


(見せてやる! 前世で真似た、海外映画格闘技の御業をな!) 

 

「味わいな!」


俺はアランの脚の横に目掛けてしゃがみ、回し蹴りを喰らわせる。


(人間の脚は衝撃に耐えるために縦の力に強いが、横の力に弱い! そのままバランスを崩して、殴りにかかる!) 


そして、顔面パンチがアランに炸裂した。

アランはその衝撃で崩れ落ちた。


(フン。勝ったな。 随分と呆気なかった。)


俺は勝ちを確信した。

が、その時!


「いてて…。 やっぱ一筋縄にはいかないか…。」


(ぬわぁに!? まだ俺が児童とはいえ同い年くらいならすでに気絶しているはずの威力だぞ!)  


アランは立ち上がった!

見る限り、それ程ダメージを受けた様子はない。


(受け身…。 あいつ…あの一瞬で受け身を取って衝撃を最小限に抑えやがった…! やはりおじさんから体術を習っていた! しかも俺の使う前世の格闘術の真似では無く実践で使う本物の体術を…!)


「やっぱし…。 これだけだと厳しいか… 使うか。 秘密兵器!」


「秘密兵器だと…!? 何をする気だ?」


(ースキル【煉獄】にて生まれた炎を纏う!)


「『紅蓮之戦鬼クリムゾンモード』……!!」


「さ〜てぇ…。 早速だけど、第2ランウンドってヤツ?」


アランは紅蓮の炎を纏いながら笑って言った。


「マジかよ…!?」 


「行くよ?」


アランは炎を爆破させ、一気に距離を詰めた!


(は…速い! 目で追えない…! まるでサーキットカートのようだ!)


「そりゃ!」


可愛らしい声と裏腹に凶悪な攻撃!

俺は蹴りを受け吹き飛ばされてしまった。


「アチチチ! アッツ! アッツ!! どんな熱量してんだよォ!?」


俺はすかさず、攻撃を受けたところに『ウォーター』を浴びせる。


(はぁ…はぁ…はぁ。 やべぇな。 これでは、近距離戦闘は命取り…! 魔法戦術に切り替えよう!) 


俺はバックステップで距離を取る。

ただしここで一つ問題がある。


(あいつに俺の『ウォーター』が効くのかどうか…。)


そう。

アランが纏っている炎の熱量が高いのでウォーターが蒸発し、効かないかもしれないのだ!

 

(やれるのか? いや… やるんだよ!)


俺は、『ウォーター』を手のひらでは無く、人差し指を銃のように展開することで密度を圧縮、水圧を上げ速度を上げる。 


「『ウォータージェット』!!」


先程より比べにならない程の威力と速度を誇る水にアランは反応出来ずに命中した。


「痛!? 何!?」


「効いた…!!」


それだけではない!

攻撃が直撃した直後に水は、蒸発し霧がアランの視界を塞いだ!


(勝機…!)


俺はすぐにアランまで距離を詰める。 


(攻めるなら…今! なるべく至近距離で……ぶっ放す!!)


「『ウォータージェット』』!!」


ほぼゼロ距離で腹に目掛けて直撃させた。


「ぐはっ……」


「いよっしィ!」


思わず俺は手でガッツポーズをした。


「フハハハ…。 やっぱし君はすごいや。 これでも通じないなんて。」


「ば〜か。 こちとらお前よりも早くから修行してんだよ。

そうそう負けてたまるか。」


俺たちは互いに笑い合う。

そして構える。


「『クリムゾンキャノン』!!」


アランは一回りも二回りも大きい深紅色の火球を剛速球で放つ。

しかし俺は無理なく避ける。


「今更デカいだけの火球をぶつけてきても無駄なんだよ!」


だがその目論見は間違いだった。

アランは火球を死角にすることで距離を詰めてきたのだ!


(まずい! さっきの火球はオトリか…! 速く距離を取って…)


「もう遅いよ!」


アランはしゃがみ込み、ユーマの足に回し蹴りをぶつけた

その衝撃でユーマは転倒した。


「不味い! バランスが……」


「どりゃあ!」


アランはユーマに炎を纏った拳を腹に見舞った。


「ぐはっ!」


(こ…こいつゥ…! 一度受けただけで俺の技を…)


ユーマは何度か地面にバウンドして、動かなくなった。


「やったか?」


場に静寂が漂う。


「‥‥‥‥‥‥‥」


アランはユーマに意識が残っているのかを確認するため近づいた。

もしもの可能性があるため、スキルは解除せず慎重に近づく。

アランがユーマに触れようとしたそのとき!


ユーマは起き上がった!


アランは素早く距離を取る。


「痛って〜なァーコノヤロー? 強めに殴りやがってぇ〜。 お前…絶ッてぇ〜ボコるからな!」


「いや、僕の勝ちだ! 君はさっきのダメージが酷いだろ。 あとどれくらい立ってられるの?」


「そりゃぁもちろん…」


ユーマは身構え、手に魔法を展開する。


「てめぇが倒れるまでだ! 喰らいやがれ俺の新技!」


「『ストーム』!」


ユーマの手から風が渦を巻き、散らばった!


「今更そんなそよ風でどうにかなるとでも!?」


「それがなるのさ! てめぇがその身に纏った炎が巻き散らかしていた種火は、俺の風で巻き上げられ燃え上がる。」


「それがどうした!? 僕の能力を知っているだろう? 僕に武器を増やすだけだ!」


「当たり前だろ? てめぇにハンデをくれてやったのさ! 上を見てみろ!」


「上?」


アランはユーマが指した頭上を見た。

そこにあったのは…


「水玉…それも結構デカい! 馬鹿な!? あんなものを作る動きはどこにも… 」


「てめぇがあのデカい火球を打ち出した時にウォーターで玉を作り、あとはコソコソと大きくしてたのよォ。」


「んなアホな…」


「ボーっとしてていいのか?」


「はっ」


「いくぜ! 『大粒のビッグドロップ』!!」


巨大な水玉は水滴のように、堕ち始めた。


「こ…こんなものォ! 最大火力で吹き飛ばしてやるゥ!」


アランは両手をかざし、周りに燃えている炎を一点に凝縮することで巨大な火球を生み出し対抗する。


「『クリムゾンキャノン』!!」


深紅色に輝く火球が水玉に直撃した!


「バカめ! これが俺の狙いだ! 『スチームパンク』!!」


突如水玉が破裂した。

形を保てないスライムのように抵抗力をなくし、火球と共に水蒸気爆発を引き起こした。


真っ白な煙が周りを覆い隠した。


「ハァーハァーハァー前が見えない…これが狙いだったのか…」



「違う。 だが惜しい。 俺の狙いは煙じゃない。」 


そう。 ユーマの狙いは煙で視界を封じることではない。 

ユーマはアランの高火力を逆に利用したのだ!

ユーマが使う水魔法では、炎を纏ったアランにはまともにダメージが与えられない。 『ウォータージェット』でも軽いダメージになってしまう。

そこで思いついたのがこの作戦。

この作戦の主要な目的は


(ーあいつに全力でスキルを酷使させること。)


スキルは、魔力と体力を消費して使用出来る個人に与えられた特殊能力。

それを酷使させれば、体力と魔力は溶けるように減っていく。

しかし体力と魔力を空にしなければユーマを負け濃厚になってしまうので、アランに全力でスキルを使わせるために、炎を旋風で酸素を送り、炎上させたり、巨大な水玉を作ったりしたのだ。


(さらに奴はスキルの能力を全身に纏い、常に全力で攻撃してきた。 そりゃあ…)


煙が消え目の前にいるのは疲労困憊になったアランだ。


「満身創痍になるわな。」


「ハァーハァー…ゴホッゴホッ…ハァーハァー……」


アランは見た目以上にボロボロだ。

常に全力疾走でマラソン大会をしたようなものなのだ。

もうしばらく立つことすら困難だろう。


「俺の勝ちだ。」


その言葉と共にアランは倒れた。

白目を剥き、泡を吹いている。


「お前の敗因は唯一つ。」


ユーマは意識のないアランにこう答えた。


「闘いにおいて、決してやってはならない事。       負けフラグを立てたことだ。」


なんとまあ、締まりのない決め台詞を吐き捨て

ユーマは勝利した。






いつもと長さ変わらないのに作るのは大変。

戦闘シーンは疲れますね。 さて最後のしごとである次回予告をどうぞ!


次回予告

決闘に勝利したユーマ。

そのご褒美に家族である村に旅行することになった。

そこで待ち受けるものとは…


次回 第8話 平穏な旅行?

ここが、ターニングポイントだ。

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