第6話 炎を統べる幼馴染み
突然だが
俺には幼馴染みがいる。
そう。
アランだ。
4話も登場していないが、あいつも『スキル』を持っている。
それは、スキル『煉獄』…
その能力は、炎をに生み出し自在に操るというものだ。
俺の『魂魄』と違い実に分かりやすいシンプルな能力。
チーターやんけ! ズルい! でもどうしようもない!
シンプルな特徴故に鍛えやすく、あのバカはすぐにスキルを使いこなせるようになった。
頭はアレだが戦闘の才能があいつにはあった。
俺が訓練したのも、天才肌のアランに追い抜かれたくないからだ。
アランは魔法を使う必要がない程の強力なスキル。
比べて俺は、スキルの戦闘力が皆無なので魔法を習った。
たまにケンカになると、実力勝負になる。
訓練前は、火球を放ってくるヤツに対してヒットアンドアウェイで勝利した。
その時は前世でドラマや映画の拳法を真似して練習していたあの頃の俺に深く感謝した。
前世の俺は、孤独であり陰キャ(厨ニ)だった。
それ故に何故か必要のない、危険な知識を溜め込んでいたのだ。
ドラマや映画で見た格闘技や暗殺術などは特に。
アレって役に立つんだなー。
それにしてもヒヤヒヤしたわ〜。
一ヶ月の間修行したのに負けそうになるとかないわ〜。
それなのに、
勝利の褒美は母さんのお怒りだった。
どんな映画のラスボスより母さんのほうが怖かった。
俺もアランもお互いに負けず嫌いだった。
あいつが俺対策に体術を習い始めたので俺もかなり焦った。
同年代とはいえ俺の精神的年齢は20代後半だ。
ガキンチョに負けたくはなかった。
大人気ないけど。
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アランsaid
やあ。
僕はアラン=レグルスだ。
ユーマとは幼馴染みだ。
思えば、ユーマと出会えて良かったと思う。
僕は何故か友達ができなかった。
交流会で独り、ブランコにいた僕にユーマは友達になってくれた。
ユーマも交流会では独りなっていたらしい。
本人はそれを認めようとはしなかったけど。
それから一年と少したったあとスキル鑑定の日がやってきた。
スキルの鑑定は一週間の間に行われる。
ユーマは初日で
僕はその四日後だった。
ユーマは『魂魄』というスキルだったそうだ。
本人曰く魂を感知する能力という。
よくわからなかったので詳しく聞くと、魂を通じて誰が何処にいるのかがわかるらしい。
だから何言ってるかわからないっての!
四日後に僕のスキルが判明した。
それは『煉獄』。
身体から炎を生み出し、操る強力な能力だそうだ。
ユーマに僕のスキルを教えると「ずるい」しつこく言われた。
僕はムカついてつい「日頃の行いだよwww」とかあちゃんの真似して言うと、ユーマが
「上等だ。表出ろ。」
と言うので、僕は
「なみしがりか? 一人で行けよwww」
喧嘩勃発。
そして敗北。
い〜やー。 マジでユーマのこと舐めてたわー。
炎を球型にして飛ばすだけでいけると思ったんだけどなー。
綺麗に避けられて腹パンキメられた。
ちくしょー。
悔しいー。
(このままだと絶対ユーマには勝てない。スキルだけじゃ駄目だ。でも強くなるにはどうしたらいいんだろう?)
そう悩んでいると、
「おうアラン。 どうした? 何か悩み事か?
好きな子でもできたのか?」
そう笑いながら言って来たのは、父ちゃんだった。
そうだ。 父ちゃんに頼ろう。 元衛兵だったて前に言ってたし。
「父ちゃん!」
「なんだ? どうした? アラン?」
「強くなるにはどうしたらいい?」
「どうした!? いきなり? 何かあったのか?」
僕は父ちゃんにユーマと喧嘩したことを明かした。
「そりゃあ、お前が煽ったのは悪いが…」
「いや! そこじゃなくて喧嘩に負けた事が悔しいって言ってるの!」
「そこなの? 確かに男なら誰しも喧嘩に負けたら悔しいだろうな。 そうさなー。強くなるには、まず鍛えることだな。 それと体術とか剣術をを身につけることも大事だな。」
「体術?」
「そう。 アランがユーマ君にボコボコにされたのは、おそらく彼に体術ができるからなんだろう。 その歳で体術が使えるとは信じ難いけど。」
「体術ができれば強くなれる?」
「当たり前だろ? ……そうだ! 父ちゃんが鍛えてやろうか?」
「ホントぉ!?」
「本当だとも! お前の自慢の父ちゃんがビシバシ強くしてやるぞ~! ユーマ君に勝てるかはお前次第だがな。」
「やるよ! 父ちゃん! 待ってろよ〜ユーマァァァ!
次は勝ってやるからな〜!!」
こうして僕のユーマに勝つための修行が始まった。
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一ヶ月後……
僕は父ちゃんからの稽古をやり遂げ、体術を完璧ではないけど身につけることが出来た。
あとスキルを使った秘密兵器も……
グフフ。 勝〜つ〜る! これは絶対に勝つる!!
よし! 果たし状だ! 果たし状を書くぞォォォ!
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ユーマsaid
俺は今日の訓練を終えると、母さんが手紙を渡して来た。
アランからだそうだ。
自分の部屋に戻り、手紙にはこう書かれていた。
『ユーマ! きみにけっとうをもうしでる! このまえのりべんじだ! きみのかおをなきっつらにしてやる! あしたぼくのいえのにわにこい! アランより』
なんとまあ達者な字で書かれていた。
この前のリベンジねぇ…。
いいぜ! ボコッボコにしてやんよ!!
俺は、あの決闘前からじいちゃんからの稽古を受け、あの時何倍もパワーアップしているのだ!
ぜぇったいに勝つ!!!
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翌日
俺はアランの自宅に向かっている。
じいちゃんと一緒に。
なんでついてくるのかと聞いたら、「お主がどこまで強くなったか、見てみたい」とのこと。
保護者も兼ねているのだろう。
アランの自宅は、俺の家から歩いて10分の距離だ。
すぐに着く。
あいつがおじさんに稽古をつけてもらっている所を見たことがあるので、油断は出来ない。
だがそれにワクワクしている自分がいる。
(楽しみだなぁ)
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俺はアランの家の庭に到着した。
俺とあいつは互いに睨み合っている。
「一ヶ月の間随分と頑張っていたようだなぁ? アラン君?
ぶちのめされる覚悟をしてるんだろうなぁ?」
「そっちこそ。 手紙に書いたとうりに泣きっ面にしてあげるよ。」
うぬぬぬぬと二人は、バチバチに睨み合っている。
その様子を見ているじいちゃんとおじさんは。
「ホホホ。 最近の子供は血気盛んじゃのう。」
「男同士の関係は互いに競い合って育む物ですからね。」
「さて、そろそろ結界をはるとするかの。」
じいちゃんはそう言いながら、詠唱を始める。
『闘いにて生まれ、戦を沈め、我らの命を守り給え。』
青い結界が庭を包み込むように展開された。
「じいちゃん…なにこれ?」
「ホホホ。 これは結界の一つ。
今回の結界は内側の攻撃に強くし、外からは、なんの変哲もない庭にしか見えん。
これなら、心置きなく戦えるじゃろう?」
その言葉に俺とアランが頷く。
そして互いに位置に着く。
「では、これより元A級ハンター ウルス=アークライトの名の元にユーマ=アークライトとアラン=レグルスの決闘を始める。 ルールは、いたってシンプル!
どちらかが気絶もしくは降参したほうが負けじゃ!」
「では始めい!!!!」
この瞬間男同士の意地のぶつかり合いが始まった!
格闘シーンってカッコイイですよね!
次回予告
遂に始まった男同士の決闘勝負!!
チカラと技術のぶつかり合いに勝つのは、どちらか!?
次回 第7話 男の友情
お楽しみに。
ようやく、無理やりですが戦闘シーンを書くことができます。
書くのに、時間を掛けたいため1週間くらい待っててください。 おねがいします!