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空(うつほ)なる真実 ルーフェイア・シリーズ11  作者: こっこ
Chapter:9 閑話休題、孤島にて
98/114

Episode:98

◇Rufeir

 学院へ戻ってきて、数日が過ぎた。

 でも戻ったのは、あたしとタシュア先輩だけだ。シルファ先輩は途中で具合が悪くなったらしくて、そのまま屋敷に残ってる。


 ――大丈夫かな?

 姉さんの話じゃ、旅の疲れが出たらしい。心配で帰る前に会おうとしたけど、寝てるからダメだと言われてしまった。

 医者を呼ぶって言ってたから、平気だとは思うけど……。

 いっそ向こうの屋敷に訊いてみようかと思いながら、制服に着替える。


「ルーフェ、早くしないと朝ごはん、食べそこねちゃうよ?」

「うん、今……」

 ナティエスの言葉に答えかけて、気づく。魔視鏡の告知灯が点滅していた。


「どしたの?」

 不思議そうに、彼女がドアの影から首を出す。

「なんか……どこかからメッセージ、みたい」

「無視しちゃえば? 朝ごはんのあとでも、間に合うだろうし」


 彼女の言うとおりだ。本当に緊急なら、学院へ通話石を使ったほうがいい。

 けど今日に限って、気になって仕方なかった。


「ごめん、なんかすごく気になるから……先に、行ってて」

「え? いいの? まぁルーフェがそう言うなら、行かせてもらうけど」

 学院の食料争奪戦はすごいから、ナティエスが心配顔だ。


「大丈夫、これだけ見たら、行くから」

「じゃ、おばさんたちに頼んで、ルーフェの分ちょっと取り置いてもらうね」

「ありがと」

 お礼を言いながら、急いで伝言を開封する。

 差出人は、姉さんだった。


「え……」

 急いでタシュア先輩に知らせたほうが、いいかもしれない。中を読んでそう思う。

 ただ、探さないと居場所が分からない。


 この時間だと、やっぱり確率が高いのは……食堂だろうか? どっちにしても、ナティエスを追いかけたほうがよさそうだ。

 急いで鍵を閉めて、食堂へ向かう。


「あ、ルーフェ、こっちー!」

 食堂の中には先輩の姿はなかった。代わりにナティエスに呼ばれる。

「ルーフェのぶん、これでいいよね?」

「うん、ありがと」

 途中でナティエスと合流したんだろう、シーモアも一緒だ。


「そういえば……ミルは?」

「あいつなら、まだアヴァンさ」

 シーモアが答えた。


「なんでも、向こうで爺さんの具合が悪くなったらしくてね。数日様子見てから帰るって、連絡あったらしい」

「そうなんだ……」

 身内の人が具合が悪いんじゃ、さしものミルも心配なんだろう。


「それまで静かでいいさ」

「シーモアってば」

 思わずみんなで、顔を見合わせて笑った。


「ともかく食べない? お腹すいちゃって」

「そうだね」

 みんなで話しながらの、朝食が始まる。

 天気のこと、教官のこと、テストのこと、そして夏休みのこと……。


「そいえばルーフェ、今年の夏ってたしか、シルファ先輩と旅行行ってたんだよね?」

「うん」

 思いもかけなかったことだけど、いろいろ回れて楽しかった。たぶんナティエスたちは、そのことが聞きたいんだろう。





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