表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/114

Episode:55

「もう席は用意してあるから、先に行って始めていてもらえないか? 私もすぐに、挨拶に行くから。

 それと酒場のマドさんに、追加の酒と料理を誰か頼んでおいてくれ。私のおごりだからいいものを頼む、とね」


 村長の言葉に、村人がわっと沸き立った。このぶんなら私たちが出ないことも、そんなに問題にはならないだろう。


「すみません……かえって、面倒になって」

「いえいえ、お気になさらず」

 辺りが静かになったところで謝ると、村長はそうにこやかに返してくれた。


「こちらとしても非公式な依頼になってしまうのを、うっかり失念していましたからね。盛大に公式の会食をせずに済んで、良かったくらいですよ」

 こういうふうに返せる人だからこそ、今の地位になれたのかもしれない。


「とはいえ、何もしないのでは収まりがつきません。ホテルのほうに言って、良い部屋を用意させたいのですが……そのくらいは、お許しいただけますかな?」

「え、あ、でも……」

 こういうのは、受けていいものなのだろうか?

 困って先輩のほうを見る。


「村長もまったく何もしないじゃ、あとで立場的に、いろいろ困るんだよ」

「なる……」

 そういう世界ではちょっとしたことで、いろいろと言われたりするのだろう。


「では、部屋を用意させますので。準備が出来たら、こちらに人を寄越すよう言っときますよ。

 では、次があるのでこれで」

「あ、その、待ってください!」

 帰ろうとした村長を呼び止める。


「なんでしょう?」

「あの、こういうことは……もう、なしにしてもらえませんか?」

 意味が伝わらなかったのだろう、村長が怪訝そうな顔になった。

 少しの間が合って、聞き返してくる。


「『こういうこと』とは、今回の竜退治ですか?」

「はい」

 話下手な自分に、どこまで出来るか。だがこれは、誰かが言わなければならないことだった。


「先輩は、たしかにシエラの卒業生ですが……医務官です。だから、戦闘訓練は受けてません」

「そうなのですか? でもシエラに在学しているあなた方は、あのとおりの強さでしょう。私たちに比べれば先生も、ずっとお強いと思いますが」

「いいえ」

 ダメかもしれないと思いつつ、はっきり言ってみる。


「先ほども言いましたが、先輩は医務官です。そして医務官は通常、自衛のための訓練しか受けません。これはシエラも同じです。

 ですから竜相手の戦闘は、ほぼ不可能です。もし退治に向かえば、間違いなく返り討ちでしょう」

 だが村長は、聞く耳を持たなかった。


「その話は何度も聞きましたよ。でもじっさい、そこのお嬢ちゃんでさえ竜を倒せるじゃありませんか」

「それは……」

 さすがにこれは、上手く説明できない。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ