Episode:48
「何が要るだろう? 武器はあるだろうから、戦闘服かな? あとは念のための魔石か。
あ……ルーフェイアの戦闘服は、さすがに用意できないかもしれないな」
「えっと、あります」
こんどは先輩だけでなく私まで、唖然として言葉が出なかった。
「ルーフェイア、あるってその……戦闘服を、持って来てるのか?」
「はい」
当たり前、そんな涼しい表情でルーフェイアが答える。
「魔石はあんまり使わないから、少しですけど……ツールキットなんかは、いつも持ってます」
「……」
二の句が次げなくなる。この子が戦闘向きなのはよく知っているが、ここまでとは思わなかった。
「そ、そういうことなら、わりとすぐ出られそうだね。僕も急いで戻って、いろいろ頼んでくるよ」
「はい」
先輩が立ち上がる。
が、出て行くことはできなかった。
「先生っ! 先生いますかっ!」
勢いよく管理棟のドアが開いて、男の人が飛び込んでくる。
「どうしたんです、慌てて」
「竜がっ、竜が出たんです! それでロマグのダンナが噛まれちまって!」
室内に緊張が走る。
「ケガの具合は?!」
「足を、食いちぎられて。でも居合わせたジャミンが銃撃って、竜のヤツがびっくりして落っことしたんで、とってあります」
重傷だ。
「すぐに行きます、案内してください。
――そうだ、ラナミさん」
先輩が、呆然としていたホテルの受付の人に、声をかける。
「え、あ、はい、なんですか?」
まさか自分に話が来るとは、思っていなかったのだろう。受付けの人が慌てて答えた。
「村長さんに連絡して、ここへ人と車をよこしてもらってください。そこのお二人、竜退治に協力してくれるそうなので」
「分かりました」
先輩がばたばたと出て行く。
「だいじょうぶでしょうか?」
「分からないな……。まぁ話を聞くかぎりでは、幸い死者は出てなさそうだが」
そんな会話をしながら、立ち上がった。
「私たちは部屋へ戻って、準備してきます。何かあったら、知らせてください」
「はい」
受付けの人にそう伝えて、いったん部屋へ帰る。
入るなり、ルーフェイアが着替え始めた。
「……外から見えたら、どうするんだ」
「え?」
ルーフェイアがあられもない格好のまま、首をかしげて手を止める。




