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Episode:25

「ちょっと待っててくれるか? 着替えてくる」

「はい」

 先輩がバスルームへ、着替えを持って入って行った。


――先輩、どんなのかな?


 でも出てきた先輩、割と普通の黒の水着だった。ただ、腰に水色の長い布をスカートみたいに巻きつけて、白い上着を羽織ってる。

 ホントはおそろい期待してたんだけど……。

 けど一緒に買ったわけじゃないし、しかたないと諦める。


「その、何か……変か?」

「え? あ、綺麗です」

 慌てて答えてから、先輩をもう一回よく見る。

 なんか身体の感じが、母さんみたいだな、と思った

 母さんほどじゃないけど、でもとってもやわらかそうで……。


「る、ルーフェイア、なんでそこで触るんだ……」

「え?」

 母さんなんか触れ触れってうるさいのに、先輩違ったんだろうか?


「あの、えっと、ごめんなさい……」

 視線を落として謝る。

 一瞬の間。


「これで、いいか?」

「――♪」

 先輩に抱き寄せられて嬉しくなる。

 やわらかくて、あったかくて……。


「ルーフェイアは……お母さんが、好きなんだな」

「はい」

 母さんには会うと振り回されてばっかりだけど、でも強くて、優しくて、嫌いってわけじゃない。


「良かったな、いいお母さんで」

「えっと……」

 これはさすがに、はいと言えない。


「違うのか?」

「その……うちの母、すごく変わってて……」

 娘のあたしから見ても、母さんかなりとんでもない人だ。常識とか、そういうものは絶対、どっかに落としてきてる。


――悪い人じゃないし、すごいのも確かなんだけど。

 でも「いいお母さん」かって言われると、やっぱりなんか違うだろう。


「その、まぁ、ともかく大事にするんだぞ?」

「あ、はい」

 どうやったら大事にできるのかは、ぜんぜん見当つかないけど。


 とりあえず先輩がそのまま動かないでくれてるから、胸に顔をうずめて抱かれたままにする。

「甘えん坊だな、ルーフェイアは。

――さぁ、そろそろ行こう。日が暮れて、海に入れなくなるぞ?」


 先輩に言うとおりだ。せっかく海へ来て水着まで着たのに、泳がなかったら意味がない。

「はい♪」

 あたしと先輩は連れ立って、ホテルの目の前の海岸へ向かった。





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