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Episode:14

――あ、でも、少し違うかな?

 この間は行きも帰りもシュマーの高速艇だった。

 そう思うと、ちょっと楽しくなる。この列車に乗ったのは、イマドと一緒に学院へ来たときが初めてだった。


 あれ以来、あたしの生活は一変した。

 本当に、ぜったい無理だと思ってたことが叶って、夢みたいで……。

 と、先輩が立ち止まった。


「あの……?」

「チケットだ」

 それだけ言って、先輩が列車の切符を差し出す。

 行き先は、首都のイグニールだった。出発時間はお昼過ぎだから、まだ少し先だ。


「――先輩」

「なんだ?」

 少しひるんだけど、今を逃したらさすがに後がないような気がして、勇気を出してたずねる。


「あの、連絡だけ……してきて、いいですか?」

「え?

――あ!」

 先輩が、初めて気づいたという表情になった。


「その……来て、平気なのか?」

――えっと。

 平気じゃなかったら、付いて来れないと、思うんだけど……。


「えっと、あの、行くのは平気です。

 でも……あの、一応連絡しないと、いけないと思って……」

「学院にか? それなら、私から言おう。そのほうがいいだろうから」

 先輩、少しいつもに戻ったみたいだ。


「あの、そしたらあたし、知り合いのほうに連絡してきます」

 どこへはともかくとして、いなくなること自体言わずに行方不明になったら、実家から捜索隊が出されかねない。

 冗談抜きで、それだけはやめて欲しかった。


「――ルーフェイア」

 先輩が少し視線をそらせて、訊いてきた。

「本当に……いいのか?」

「はい!」


 これだけは、はっきりと答える。

 どこへ行くのか、分からないけど。でもどこかへ旅行できる。それだけで嬉しい。

「――そうか」

 先輩が、安心したように微笑んだ。


「連絡してくるといい。まだ出発までには時間があるから、そうだな――」

「あ、でも、すぐ終わりますから」

 本当に連絡するだけだから、いくらもかからない。


「分かった。そうしたら、もう一度ここで落ち合って、少しゆっくりしてから昼食にしよう」

「了解です」

 なんだかうきうきしながら、あたしは連絡するためにすぐ近くの、シュマーの隠れ屋へ向かった。






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