Episode:11
◇Rufeir
7月も終わりになって、あたしはアヴァンにあるシュマーの施設から学院へと戻ってきていた。気になっていた医療チェックの結果も全部問題なしで、ひとつ肩の荷が下りた気分だ。
シュマー家は特異体質の塊で、普通の薬は効果がなかったり逆にヘンな副作用を出したり、やっと使える薬がわかってもたちまち抵抗力をつけてしまったり、ややこしいことが多かった。
もちろん普通の病院じゃ、手に負えない。
――感染しないのはいいんだけどな。
同じ特異体質でもこの点だけは桁外れで、普通ならほぼ100%が死んでしまうような病気も撃退してくれる。
ともかくそんなこんなで、シュマーは独自の医療機間でのチェックが欠かせなかった。
でも、それより……。
シルファ先輩の姿を探す。
実は出かける前、にシルファ先輩にお土産を持って帰る約束をしていたのだけれど、今朝いちばんに届いたと言われたのだ。
向こうのシェフが見繕ってくれた「上等なベリー」だから、先輩も気に入ってくれると思うんだけど……。
「あれ、ルーフェイア、戻ったのかい?」
「うん」
帰って来た昨日は、うまく会えなかったシーモアとナティエスに、ばったりと廊下で会う。
「もう、朝ご飯食べてきたんだ? どだった?」
「おいしかったけど……?」
「違う違う、今日のメニュー」
「えっと……?」
確かなんか、鳥のお肉とサラダだったとは思うんだけど。
「ナティ、ルーフェイアに聞くだけムダだって。行った方が早いさ」
「あ、そっか」
なんかひどいことを言われた気がする。
「んじゃね、ちょっと行ってくる」
「あ……待って……」
慌てて呼び止めた。
「ねぇ、シルファ先輩見なかった?」
2人が行ってしまう前に、急いで訊きたいことを口にする。
「シルファ先輩? 今日はちょっと見てないね」
「そう……」
もう朝食を済ませて、どこかへ行ってしまったんだろうか?
それからもうひとつ尋ねる。
「イマドも……いないよね?」
なぜかナティエスとシーモアが、顔を見合わせて笑った。
「イマド、毎年夏休みはアヴァン行きっぱなしだしね」
「で、休み中は叔父さんとこで、めいっぱいこき使われるって嘆いてたな」
去年もそうだったけどイマド、本当にぎりぎりまで戻ってこないみたいだ。
「そう……なんだ……」
なんだか少し落ちこむ。
そんなあたしを見て、またシーモアとナティエスは笑った。
「ほらほら、そんな顔しなさんなって。どうせあとひと月ちょっともすりゃ、イヤってほど毎日顔を会わせるんじゃないか」
「そうそう、すぐだってば」
「うん……」
励ましてはもらったものの、いまひとつ気は軽くならない。