Episode:100
「ずいぶんはっきりしてるじゃないか」
「だって、割と最近の話だし。それにタシュア先輩も目立つから、そんな金髪人妻と居たら、余計じゃない?」
また何か引っかかる。
しばらく考えて、今度はあたしは、違和感の正体に思い至った。
「人妻って……なんで、分かったの?」
ふつうなら、そうだと言われない限り、結婚してるかどうかなんて分からないはずだ。なのにそういう話になってるってことは、何か証拠でもあったんだろうか?
「あ、それ? あたしも聞いたんだけど、なんか娘連れてたって……あれ??」
「………」
今度は三人で顔を見合わせた。
「ルーフェ、あんたこの間、おふくろさんと一緒に帰ってきたんじゃなかったかい?」
「うん」
シーモアに訊かれてうなずく。あたしはいいって言ったけど、母さん学院長と話があるとか言って、学院までついてきた。
「もしかしてその時、タシュア先輩とも一緒だったりした?」
「うん」
ナティエスの質問にもうなずく。何度も船を出すわけにも行かないから、あの島から学院まで、タシュア先輩も一緒だ。
「じゃぁ、タシュア先輩の相手の、人妻金髪美人って……」
「それたぶん……母さん」
なんだか知らないうちに、話がとんでもないことになってるらしい。
「……あの人はあり得ないだろ」
「だよね。ルーフェのおばさん、そういうタイプじゃなさそうだもん」
会ったことがあるせいか、二人とも分かってくれたみたいだ。
「おばさんの好み、ディアスさんタイプだろうしねぇ。タシュア先輩だとちょっと違うし、年下好みに思えないな」
「そうそう。クリアゾンのボスとならありそうだけど、タシュア先輩はないよねー」
何かすごく違うところで、すごいことを言われてる気がする。
「えーっとそうすると、浮気はなしかー」
「ケンカしただけじゃないか?」
二人がなんだか、検証を始めた。
「シルファ先輩が怒ってたのは事実らしいから、その辺じゃないかね」
「やっぱそっかなー。ルーフェなんか知ってる?」
いきなり話を振られる。
「えっと……」
何をどう言ったらいいんだろう?
シルファ先輩がなんだか怒ってたのは、事実だ。そして理由は、タシュア先輩との何かだろう。じゃなきゃいきなり、物が飛んだりはしない。
でも、分かってるのはそれだけだ。
それを言うと、ナティエスがちょっとがっかりした顔になった。
「シルファ先輩と一緒だったっていうから、何か知ってると思ったんだけどなー。ってそういえば、ルーフェ、シルファ先輩どこ行っちゃったの? 一緒だったんでしょ?」
「えっと、その、分からない……」
とっさに嘘をつく。シルファ先輩が具合が悪くて、そのうえシュマーの島にいるなんて、ぜったいに言えない。
「んー、そっか。もしかして先輩、任務?」
「あ、うん、たしかそう……言ってたかな?」
「じゃぁ分かんないねー」
ごまかせたみたいだ。
結局そのあとは、肝心な情報が抜けてるのもあって、ナティエスとシーモアの「検証」は堂々巡りだった。
お願いして描いていただいたものです
なおイラスト等、随時募集中です♪
◇あとがき◇
新作を読んでくださって、ありがとうございます♪ いつもどおり【夜8時過ぎ】の更新です。
ここからリメイクでなく、完全な新作に変わります。
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