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巫女になりたくないので回避します。  作者: 天ノ雫
【第1章】 ルシウス帝国転移編
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Lesson 18 既視感 2


 はあっ...クレーメンス嬢にあんなに勢いよく抜かれるとは...私、どんだけ体力落ちてんの?


 毎日部活してる時はもうちょっとあったのにな。やっぱり今何もしてないからかな...


 フェリシティが速いのはただルークに追いつきたい一心で追いかけているからなのだが。


 だいぶ上まで登って来たみたい。


 景色を見る余裕はないが走っているとクウェイ山の下に広がる森が時折目の端に入ってくる。アドリアナはチラリと見て怯みつつも自分を鼓舞した。


 やっぱり高い所は怖いな...


 同じ高い場所でもモフモフの安心感があるソラに乗っているわけではないのでこれはこれで怖いらしい。


 「はあ...はあっ」


 も...頭がぼーっとしてきた。


 ガツッ


 すでに疲労がピークに達していたアドリアナは、前方の地面に転がっていた(こぶし)大位の石につまずいてバランスを崩し、前方に倒れそうになった。


 「あぶない!」


 男の声が後方から聴こえたが誰なのかはアドリアナにはわからなかった。


 あわや小石だらけの砂利道に手をつきそうになり顔が地面スレスレにまで近づいていたところでなぜかピタリと止まり、身体は宙に浮いた。


 あ...あれ!?私ぶつかってない?


 ピピーッ!!


 《魔具未着用の左手で魔法使用の為トラヴィス兄失格!》


 上から拡声器を通してカルロ先生の声が響き渡った。


 先生達は空から生徒達を見守っているようだ。


 「何だよ〜人助けなんだから大目に見ろよっ?」


 《はい、聴こえてますよ〜人助けでも例外はありませんアンバー君》


 「ちっ」


 数メートル後方に居たのはアンバーだった。

 アドリアナが転倒する寸前に浮遊魔法で助けたのだ。ダメ元で魔具をつけていない左手を前に出したら魔法が使えてしまったようで、本人は左手をまじまじと眺めながら驚いている。


 「アンバー助けてくれてありがとう。私のせいで失格になって...ごめんね」


 「あーいいのいいの!丁度疲れてきたとこだし!俺左手も使えるんだな...魔具外そっと...痛えーっ!?」


 アンバーが左手で銀のブレスレットを外す解除の魔法をかけようとすると、ブレスレットから電流が流れ、痛さのあまりアンバーはそこら中を走り回った。


 《アンバー君、魔具は専用の鍵じゃないと解除できないぞ?鍵はゴールにしか置いてないからな?》


 はっはっはっ!


 カルロ先生の嫌味なくらい楽しそうな笑い声が高らかに響く。


 「クソッ!何だよこれ〜!?」


 しばらく痺れが続くのかアンバーは銀のブレスレットをつけた右手を左手で押さえながらブツブツ文句を言っていた。


 「あらおふたり共ご一緒でしたの?」


 「アンバー何かやらかしたのか?」


 「えっ?2人って...なんか怪し〜い!」


 リリアーナ、ジャスパー、ティナの3人だ。


 もう追いついたの?


 「アドリアナっ!あとちょっとでゴールよ!!頑張ろっ?」


 「...やけに元気ね?ティナ」


 カヌーの後もう疲れた〜って根を上げてたけど...?


 「それがティナったら、ジャスパーに温泉の話聞いてからやる気出して...ティナについて行くの大変でしたの」


 「温泉!?」


 温泉は好きだ。

 今なんて汗や砂まみれで髪も身体もベタベタするしで気持ち悪いし早くシャワー浴びたい。


 小学校の修学旅行で入った温泉良かったなあ。

 この世界にもあるなら行ってみたい。


 アドリアナもティナ同様やる気が出たのか表情も明るくなる。


 「父上が教えてくれたんだけど、最近発見されたばかりの温泉でまだ知られてない温泉らしいよ」


 「そういえばそんな事言ってたな?あそこは確か...」


 痺れがようやく治ったようでアンバーが話に加わる。


 「じゃあとっととゴールして行こうぜ!温泉に!!」


 いつから居たのかリアムとライリーがリリアーナとアンバーの肩をポンっと叩き、リアムに肩を叩かれて驚いたリリアーナは小さく〝きゃっ〟と声を上げた。



   **




 リアムとライリー(主にリアム)が途中から加わったおかげで雑談しながらゴールまで走る事になり、女子達3人はより疲労が増す事になった。


 身体はもう限界に近い。

 立ち止まって座りたい欲求に何度も駆られたけど、この後立ち寄る温泉の話で盛り上がっている間は楽しく感じられたから自然と足取りも軽くなったような気がした。


 アドリアナが転倒しそうになった地点からゴールまではそれほど遠くなかったようで、アドリアナ達は10分程で到着し、カルロ先生に魔具の鍵を開けてもらった。


 「はあ〜...つ、疲れた〜」


 まさか貴族になっても持久走的な事するとは...魔法やソラがいるからって怠けてちゃ駄目って事ね。





「ルーク様っ!私も一緒に...っ!」


 あー...一緒に走るとペース落ちるから...。


 苦笑いをしたルークは徐々にフェリシティとの距離を広げて行く...


 しかしフェリシティもルークに必至でついて行こうと懸命に走る!!


 そして...


 「クレーメンス嬢、凄いな?女子で1位だったって?」←フレッド


 「え?...まあ、その...当然ですわ(あれ?いつの間に抜いたのかしら?)」


 ルークを追いかけてたら前にいた女子10人を抜いて1位になっちゃったんですね!


※ 更新は不定期になります。

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