Lesson 12 各々の休暇〜アドリアナ 2
〝ソラ〟も加わってペットの3匹は実物大で仲良く話している。
ぺぺが1番年長らしく、ソラとハルはぺぺの周りをはしゃいでぐるぐる追いかけっこを始めた。
「にゃにゃ〜」
「2人(2匹)ともうるさいわよ!」
「だってソラが追いかけてくるんだモン〜」
ティナとリリアーナの荷物はいつの間にかマリアの指示で侍女達が部屋へ運んだようだ。
「昨日はパラス伯爵邸に泊まったの。ティナの御家族は皆お話好きな方なのよ」
「騒がしいだけだけどね」
リリアーナの言葉にティナが照れながらツインテールの片方の髪を指でくるくると捩った。髪を弄るのが癖なのだろう...ティナは暇を持て余した時などもよく髪を触っている。
ティナの家族って賑やかで楽しそう〜
次の休暇はパラス領で決まりね。
リリアーナのフォンス領がマレ領から1番遠い為、途中にあるパラス伯爵邸に1泊してから今日、ティナと一緒に来たらしい。
「2人とも何日くらい居られるの?」
「ふふっ。アドリアナがよければ休暇が終わる直前まで居ようかな」
ティナはアドリアナが食べているチョコマフィンを1つつまんだ。
マリアはリリアーナとティナのアールグレイを素早く用意してテーブルにセットする。
何も言わなくても痒いところに手が届く優秀な侍女である。
「そんなに?」
「いくら何でも迷惑よ?ティナ」
「いいよ〜そうだっ!どうせなら皆で休暇中の課題やっちゃおうよ!」
夏の休暇は長い。
ここ2、3日コテージで過ごしているが、アドリアナが知らない領内の主要な場所はマレ侯爵や侍女達にひと通り教わった為、次は何をするか思い倦ねている所だった。
「それいいっ!魔法陣が難しくて1人じゃ無理だったの〜!!」
「課題は明日からやるとして...今日はマレ領を案内するね!」
...といっても私も案内するほど詳しくないんだけどね...ハハハ。
*** ***
「アドリアナ」
「あれっ、パパ。どうしたの?屋敷に戻ったんじゃなかったの?」
コテージ近くの店や湖の南側にあるマレ真珠の土産物屋をウィンドウショッピングで楽しんだ後、夕食の前にアドリアナの部屋に皆で集まって明日の予定を話していると、ドアのノックの後入ってきたのはマレ侯爵だった。
「今日学院の友達が来ると聞いていたからご挨拶をと思ってね」
*
「ではそろそろ失礼するよ。お嬢さん方、よい休暇を」
ヴァシリスは2人に軽く礼をして挨拶をした後、ひと通り学院の話や世間話をして仲良くなった所で2人ににっこり笑いかけると笑顔のままアドリアナに手招きした。
「なに?パパ」
「その...休暇中は湖の北に行かないようにな」
「北?どうして?」
「あ〜...うん、今、新しいマレ真珠の試作品を作っててな...危ないかもしれないからあの辺りの森は今立ち入り禁止にしているんだよ」
真珠の試作品作るのに危ないとかあるのかな?
アドリアナは不思議に思い首を傾げた。
「そうなの?...じゃあ明日のロッタ湖散策は研究施設のある南側と東側に行こうかな」
まあ、明日はボートに乗って船遊びするつもりだったから北側は元々行くつもりなかったし...
ちなみにコテージは西側と南側に点在しており、アドリアナがいるコテージは大体中心辺りにある。
「すまないね」
ヴァシリスが帰った後、何事もなかったかのように3人は再び女子トークの続きを開始した。
アドリアナは、いつもは穏やかな口調で話すヴァシリスが今日に限って気もそぞろに慌てたような話し方だった事に全く気づいていなかった。
♦︎女子3人のティータイム中の会話...
「ねえっ、2人は〜ウチのクラスでどの男子がタイプ?...あ、私はフレッドかな?」
「え、ええっ?タイプって...私は別にそういう方は...」
「リリは〜...リアムとか!いいんじゃない?」
「...ティナ、何でリアムをオススメしてんの」
「え〜?だって...リリ時々見てるじゃない?」
「!!」
「え?そうなの?...知らなかった...そっか〜」
ティナってよく見てるんだな...私も転移者だってバレないように気をつけよう。
※ 更新は不定期になります。




