Lesson 10 紺碧の騎士団 2
「っ和瀬く...」
うわ...なにその服!!
カッコ良すぎでしょ!!
「成人のパーティー以来だな...学校はどうだ?アドリアナ」
「...テオドール...あ、ありがとう」
《アドリアナ》と呼ばれて我に返ったアドリアナは本を受け取ると目の前にいる従兄の名を呼んだ。
ああ〜和瀬君に顔も声もそっくり...っていうかそのまま過ぎる〜〜っ!!
「慣れない寮生活は大変じゃないか?」
優しい気遣いも似てる〜っ!
テオドールに会うとアドリアナの心拍数は確実にいつもより速くなる。
「いえ凄く楽しいです!友達もたくさん出来たし...テオドールも騎士団入団おめでとう...第1騎士団だよね?その団服...」
「うん、ありがとう。まだ見習い騎士だけどな」
見習い騎士でも卒業してすぐ第1騎士団に入れるなんて凄いよ!
第1騎士団といえば...クレーメンス令嬢の父であるクレーメンス公爵が騎士団団長を務めていて、皇宮の警備や皇族の身辺警護が主な仕事で皇宮に務める花形の部署である。
「歴史に興味あるのか...勉強熱心だな」
「あ〜...そ、そうなの!ちゃんと読んでおこうと思って!」
後の2冊は後で取ろうっと。《巫女》に興味あるって知られたくないし...
「え〜と、テオドールは仕事中?」
団服着てるし時間的にもまだ勤務時間だよね?図書館には調べ物かな?
「あ〜俺は...」
「何方?」
テオドールの次の言葉を遮る様に、身長178センチのテオドールの後ろから涼やかな声が聴こえた。
涼やかな声の持ち主は明らかに普通の人ではないオーラを身に纏っているように見えた。
マリンブルーの腰まで流れる豊かな髪、吸い込まれる様なサファイア色の青い瞳...動き易く丈が短いシンプルなドレスを身につけていても彼女が高貴な家柄である事はアドリアナにもなんとなく理解出来た。
この女性...周りの空気が...違う。声は凛として涼しげなのに、春の日差しみたいにあったかい...
ふと気付けば5メートル程先にもテオドールと同じ第1騎士団の者が1人立って此方の様子を見守っている。
あ・・・
そうよっ!何ですぐ気付かなかったんだろう?
彼と同じマリンブルーの髪色、サファイヤ色の青い瞳...
前世で私は彼女と接点が全く無かったからあまり覚えていないけど、彼には4つ上の姉が居た。
私より4つ上だから今は16歳。テオドールと同じ歳だ。
「セシリア皇女...私の従妹のマレ侯爵令嬢です」
「帝国の海の宝石、初めてお目にかかります...アドリアナ・ステラ・マレと申しますっ、皇女様」
アドリアナは慌てて礼を示した。
「ああ〜その呼び方やめて?今はお忍びだから...ね?」
ルシウス帝国第1皇女、セシリア・ソル・グイド・ルシウス。
セシリア皇女はフフッと悪戯っぽい笑顔でアドリアナの右手を取ると両手でギュッと握った。
皇太子ではなくて皇女様に先に会っちゃいました。
皇女様意外とアクティブ?
※ 更新は不定期になります。




