Lesson 9 契約 6
「ティナ!リリ!」
「ごめんね...アドリアナに気付かずに置いて行って!あの...身体は大丈夫なの?」
「ポーションの実習は私達が後で内容教えるから!とにかく休んでていいからね!?」
「うん、ありがとう...あれ?他の皆は?」
フォルティス公子が此処にいるって事はクラークとクレーメンス令嬢も来そうだし、アンバーとジャスパーも来るよね?
「全員来たらうるさいでしょ?まだ調子戻ってないだろうし...アンバー達がクレーメンス令嬢を足止めしてるからゆっくり休んでて?」
ティナはパチンとウインクをすると、まだぼうっとしているアドリアナに気を遣ってリリアーナと2人、部屋を出た。
この部屋の前までやってきたクレーメンス令嬢を1階のカフェ前まで押し戻し、薬草の採取について詰め寄っているアンバー達の所へ戻るつもりでもあったから。
ああ...クレーメンス令嬢か。
アドリアナは面倒臭い...と思った。
...彼女、私の事嫌ってるっぽいしフォルティス公子の事好きみたいだし...あれ?でもクレーメンス令嬢って皇太子妃の1人じゃなかったっけ?
・・・クレーメンス令嬢も臨まぬ結婚をしたの?本当はフォルティス公子がすきなのに...?
アドリアナが目線をルークに向けるとルークも何故かアドリアナを見ていて目が合った。
やば...目合っちゃった。
確かフォルティス公爵って皇帝の実弟でフォルティスと皇太子は従兄弟なんだよね...仲良いのかな?
クレーメンス令嬢の事、《フェリシティ》って名前で呼んでたし、フォルティスはどう...思ってるんだろう?
なんか気まずいな。
アドリアナは逸らした目線をもう1度こっそりルークに向けてみる。
何考えているのかわからない無表情な横顔だ。
「フォルティス公子は1グループと合流しなくていいの?ポーション作りするんでしょ?」
「今合流すると面倒臭い...」
ルークはカップを持って指をパチンと鳴らして自分の飲み物を作っていた。
「そ、そっか」
じゃあ午後の実習始まる直前まで此処にいる気かな?
そうだ!!...普段はクラークやクレーメンス令嬢達と一緒だからあんまり話さなかったけど今なら聴きたい事聴けるかも?
この年齢であんなに魔法使えるって興味ありすぎだし!
「ねえ、なんでそんなに魔法とか詳しいの?」
私もさっきのパチンでお湯沸かせるやつやってみたい。
「君より先に魔法を使ってるから」
「...そんなの聞かなくても解るわよ」
私にだってわかる...学院で魔法を学ばなくてもいいくらいフォルティスの魔法が高いレベルという事は。
学院に入ってから解った事だが、アンバーとジャスパーも中級魔法が使えて他の1年生達とは群を抜いていたが、フォルティスはアンバー達とは段違いなレベルだった。
見ているだけで何となくだがそう感じる...
「フォルティス公子、今でも充分優秀な魔法使いだと思うけど...今以上にレベルを上げて何をするの?」
「...運命」
「え...?」
「運命を変える事かな」
ドクン
アドリアナは心臓の鼓動が大きく聴こえるような気がした。やがて鼓動は落ち着かないくらい速く鳴り続ける。
《運命》って...なに?何で?何言ってんの?
突然ルークの口から出た言葉にアドリアナは驚きを隠せなかった。
まさか...これから起こる未来を知ってるの?
「...君が」
「は、はいっ?」
しまったっ!思わず大きな声で返事しちゃった。
色んな思考が頭の中で駆け巡っている警戒した様子のアドリアナを一瞥し、ルークはクス...と微笑った。
「君が僕より強くなったら教えてあげる...僕の運命を」
ルークとの契約...
※ 更新は不定期になります。




