表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巫女になりたくないので回避します。  作者: 天ノ雫
【第1章】 ルシウス帝国転移編
3/177

Lesson 2 マレ侯爵邸 1


 「はあ......」


 薔薇の模様が豪華なジャガード織の生地で作られた座り心地の良い長椅子に腰掛けている私は、大きく息を吐きながら窓の外に広がる広大な庭園を見た。

 此処からはピンクや赤や白...色とりどりの花が鮮やかに咲き誇っているのが見えた。奥には休憩出来る白い東屋(あずまや)があり、その周りにはライラックの木があり周りは青や紫の花で統一されている。

 庭師がいつも手入れをしているのか葉っぱの1枚も道に落ちてなさそうな庭園である。

 

 私どうしてこんなとこに?

 この景色...なんか見覚えがあるような...マレ邸に似てる...???


 ついさっき外で流れ星を見てたら光が大きくなって...何かの爆発なのか、星が落ちてきたのかと思って怖くて目を瞑ったら...数十秒待っても爆発もしないし何も聴こえなくて。

 

 そして凛が何があったのか確認しようと恐る恐る目を開けると、この部屋の長椅子に座っている状況だった。


 イヤイヤ...待ってよ!?こんなのありえる?目閉じてる間に違う場所に移動するって?...あ〜、夢か...イタっ...え?現実?>>>


 冗談のつもりで指で抓った左頬がホントに痛い。

 じゃ、じゃあもう1回目を閉じれば元に戻ってる...はず......


 閉じてから10秒数えてそっと目を開けた...


 戻ってない???じゃあもう1回っ......


 10秒だと短いのかもしれない。次は20秒数えて目を開けた。目の前の景色は何ら変わっていない。


 ...マジですか。コレは深刻な感じです。

 夢でもなく、此処は私の住んでる街でもなく...多分前世の私が住んでた家にタイムリープしたっぽいです。


 誰に丁寧に説明しているのかわからないが、凛は今起きている状況が受け入れがたく混乱しているようだ。


 そ、そういえば今気付いたんだけど私すごい格好してない!?


 繊細なレースが幾重にも重なった袖口に淡いピンクの花柄模様が入ったサテン生地のワンピース、イヤこれはドレスと言うのだろうか。裾部分もレースがふんだんに使われていて靴はドレスに合わせたピンクの...あれ??


 周りの景色にすっかり気を取られていたせいで凛は自分の姿を未だ見ていなかった。履いているピンクのパンプスを見て愕然とする。

 

 なんか丸くて可愛らしい靴...こんなの履いたの久しぶり...


 何気無く立ち上がると違和感を感じた凛は()()モノを探して部屋の中をきょろきょろと見回した。

 

 この部屋無駄に広いんだけど?


 廊下へ出るドアの手前に白い枠の壁掛けの探していた鏡を見つけるとその前に立つ。


 だ...誰っこれ!!??


 鏡に映っているのは鮮やかなターコイズブルーの腰まで伸びたフワフワの長い髪と蜂蜜のような黄金色の瞳の少女だった。


 「わ...私じゃない?」


 鏡には凛ではない幼い少女が驚愕の表情で映っている。凛が頬を触ると鏡の少女も頬を触り、頭を横に振ると少女も同時に頭を振る。鏡を確認しながらターコイズブルーの髪を一掴み顔の前に持ってくるとそれを凛はじっと見つめた。ちらりと鏡を見るとやはり少女も髪を握ったままこちらを見ている...


 鏡の前でくるりと回って前からと後ろ姿を確認する。ターコイズブルーの髪...蜂蜜のようにキラキラした黄金色の瞳...凛よりも幼い表情の少女。


 コンコン


 ドアをノックする音がして凛は一瞬身体を強張ら(こわばら)せた。


 「お嬢様?何かございましたか、アドリアナお嬢様?」


 えっ...アドリアナ...?この姿がアドリアナなの?


 私が夢の中で何度も見たアドリアナは、確かにターコイズブルーの髪と蜂蜜のような黄金色の瞳だった。




 










 


 

いよいよ異世界生活のはじまり〜


 ※更新は不定期になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ