Lesson 8 魔法強化合宿 3
タル芋のパイを食べつつ、リアムとライリーはメイン通りを歩きながら案内してくれた。
「結構歩いたな」
「ペットがいると何処でも行けるからこういう時はペットの有り難みを感じるわ」
首都アンカーズの上空は朝夕の通学&通勤ラッシュ以外の時間は騎士団のみ使用可能となっている。
アンカーズは人口も多い上にペット人口も多い。
上空でペット同士の交通事故が起きないように規制されているのだ。
「いいなあ〜私も早くペット欲しい〜!」
「ティナどんなペットがいいの?」
「やっぱり馬かなぁ...真っ白なユニコーンとか!」
「ユニコーンはレアすぎじゃね?騎士団に入れば支給されるけど」
「魔法強化合宿でいいペット見つかればいいな」
私は今日知ったんだけど、まだペットを持っていない生徒は、殆ど全員が今回の魔法強化合宿でペットをゲット出来るらしい。
必至でレベル上げしてゲットした私って...結構大変だったんだから!魔法の訓練!
カランカランッ
街中を歩き回って疲れた一行は買い物も大体終わったところで、ライリーのお目当ての開店したばかりのスイーツショップで休憩する事になった。
《グラーヴェ》と掲げた看板の横の扉を開けて店内に入る...店内は緑で溢れかえっていた。至る所に観葉植物やハーブが置かれている。
「わあっ、どれも可愛くて美味しそう〜」
「そうですわね...でもさきほど甘いモノを食べたばかりですし...」
アドリアナとリリアーナが色とりどりのケーキやお菓子が並んだショーケースを眺めていると...
「フルーツのゼリーやヒカ茶のムースがさっぱりしてて食べやすいですよ〜」
と、店員のお姉さんにお薦めされてしまった。
せっかく来たし、今日はよく歩いたし大丈夫だよ...ね?
《グラーヴェ》はスイーツの購入だけではなく店の奥にあるカフェでスイーツを頂く事が出来る。
背の高い木々の向こうには外に出るテラスがあり、テラスのテーブル席は開放感を感じられるようにゆったりとした配置になっていた。
人数も5人という事で自然にテラス席を勧められて皆席に着いた。
注文したスイーツとドリンクがそれぞれテーブルの上に並んだところで、アドリアナは自分が注文したフルーツタルトをひと口サイズに切るとフォークで口に運んだ。
「君昼食の時もアイス食べてたけど...また食べてるんだ?」
ゔ...その言葉、心痛いんですけど。
アドリアナが座った方向の先...ちょうど対角線上にあるテーブル席には、よく知る2人...ルークとフレッドが座っていた。
「クラークにフォルティスじゃん。何?お前らも来てたんだ?」
リアムは2人のテーブルに近付き嬉しそうに話しかける。何故かは理解出来ないがリアムは2人と仲が良い。
「そういえばあの時もチョコレートケーキばかり食べてたよね...食事はきちんと摂らなきゃ駄目だよ」
「ぐ...ちょっと?いつから私のお母さんになったの?私は出されたものはちゃんと食べる主義なの!」
「え〜ナニナニ?《あの時》っていつの話?フォルティス公子と接点あったの?」
ティナが興味深々でローズグレイの瞳をキラキラさせて聴いてきた。
「ちょっとだけね...不可抗力よ」
昼食でサンドイッチ食べた数よりチョコレートケーキの方が多かったのバレてる...てか何か月前の話覚えてるのよ?
「フォルティス公子、今日は魔法強化合宿のための買い出しで街中を歩き回っているのでカロリーは消費したと思いますわ」
リリ!ナイスフォロー!
「ほんと女子って甘い物好きだよな〜俺はよく食べる女子の方が見てると可愛いから好きだけどな...ルークは?」
フレッドの言葉をアドリアナの隣の席で聴いていたリリアーナの頬がぽわん、と紅潮した。
「フレッド...君はよく考えた方がいい。食べるばかりの女子が好きとは...勘違いされる危険がある」
ルークがチラッとアドリアナを見た。
リリアーナと一緒に頬が赤くなったアドリアナはルークの視線に気がついた。
「勘違いなんてしないわよっ!」
天然なのか、それとも計算?...地で言ってるとしたら無意識にこの人、タラシなの!?《可愛いから好き》とか11、12歳で言える??
なんかフレッドの将来が心配になってきた...
フォルティス卿みたいになっちゃったりして??
うーん...まだ合宿始まらない...
フレッドの新たな面発見!!天然のタラシ>>>
※ 更新は不定期になります。




