Lesson 8 魔法強化合宿 2
魔法強化合宿出発2日前の午後。
今日と明日、学院は休日でアドリアナはリリアーナとティナの3人で寮の食堂で食事をしていた。
食べ終わった後殆どの生徒が食堂に残りワイワイと雑談に興じている。生徒達の主な話題は、週明けの魔法強化合宿についてだった。
「ねえ皆、合宿に持っていく物とかこれから街に買いに行かない?」
デザートのアイスを食べながらティナが提案した。
街に買い物っ?行きたーい!!
「行くっ!」
アドリアナは即答である。
アンカーズの街を上からしか眺めてないもん。歩いてみたかったんだよね。
リリアーナもアンカーズの街はまだ見ていないらしく、「私も...」とアドリアナの声にかき消されそうになっていたが同時に言った。
「俺も行こうかな。アンカーズの街に新しく開店したスイーツショップ見たいし」
ちょうど隣の席で昼食を取っていたライリー・エヴァンス...貴族ではなく一般市民だが、父親は皇宮に勤める菓子職人だ。
「ライリーが行くならオレも〜!ブーツボロいし新しいの欲しいんだよね」
リアム・トンプソン。彼も一般市民で実家は居酒屋兼商店をしているそうだ。
ライリーとリアムは首都アンカーズの隣の街、ロンデル出身だが、アンカーズはよく遊びに来ているらしい。
「それじゃあおふたりに案内して頂きましょうか?私達は不案内ですし」
「それいいっ!ライリー、リアムお願いね」
リリアーナはまだ敬語が抜けないようだが、アドリアナとティナはすでに学院の生徒達とフランクに話すようになっていた。
学院には貴族も一般市民も一緒で、勿論クラスも寮も一緒だ。
入学してしばらくは貴族の中では階級を気にする者もいるが、1年生は11〜12歳で、これから4年間寝食を共にする間に大多数の生徒が身分関係無くなるらしい。
「いいけどアドリアナは双子がいっしょじゃねーの?」
「大丈夫よ〜...ほらまた囲まれてるし!双子は女子達とどこか行くみたいだし!」
アドリアナ達がいるところから少し離れた席に座っているアンバーとジャスパーは、前回とは違う女子達と話している。
あの2人も他の友達とのつきあいもあるだろうしいつまでも頼ってたら駄目だしね。
「じゃあ準備したら門の前に集合ね」
「オッケー」
*
「ティナこれなんかどーお?」
「良いよ〜動きやすそうだしデザインも可愛いし!」
「このブーツが履きやすそうね...試着してきますわ」
若い貴族にも人気がある洋品店で3人は動きやすくて丈夫で可愛い服を探して鏡の前で合わせている。
ショッピングなんて何か月ぶりだろ。
やっぱり友達っていいな。
ライリーとリアムはブーツやベルトを2人で試着して履き心地を確かめている。
「やっぱり首都はお洒落な服が多いわね。お洒落でこのお値段は有難いわ」
「外出しないからいつもはデザイナーに来てもらうから高いもんね」
そっか、考えてみればウチもオーダーメイドだ。一般市民はいつも服を安く買えてるんだ。
このお店可愛いの多いし、さっき見た雑貨屋さんもヘアアクセ可愛いのいっぱいあったし!ソラに乗ってまた来よう。
「貴族ってあんまり出歩けないのか?不便だな」
「ここはオレ達の庭みたいなもんだからな...次はあそこ行こうぜ」
リアムがライリーに目配せした。
洋品店を出てリアムの後をついて通りを歩いて行くと甘くていい匂いが鼻先をかすめた。お昼を食べたばかりだというのに皆、甘い匂いの元へ自然と早足で向かっていた。
「これなに?美味しそうっ」
「食べる?」
「食べたいっ!!」
移動できる小さなキッチンがついたカラフルな屋台でその甘い匂いの正体が売られていた。
「オヤジ、5つね」
「おっ!リアムじゃないか」
「知ってる人?」
「俺の叔父だけど」
ライリーが3つ受け取ると1つずつ女子達に配ってくれた。
見た目はパイ生地にメイプルシロップがかかってて出来立てで持つと温かい。アドリアナはサクッとひと口食べてみた。
「なにコレ!?甘くてホカホカ...美味し〜いっ!」
周りはサクサクでひと口食べるとさつま芋のような甘い餡のようなものが入ってて...でも甘過ぎないからパクパクいけちゃう。
「タル芋のスイーツですわね」
タル芋?そういえばそんな作物があったっけ...確か産地はアンカーズからずっと南のキリエ地方だっけ。
さつまいもよりもしっとりとして喉につまらないし食べやすい...
ああ〜スイートポテト食べたくなってきた。
※ 更新は不定期になります。




