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巫女になりたくないので回避します。  作者: 天ノ雫
【第1章】 ルシウス帝国転移編
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Lesson 6 魔石に映る 2


 お父さん、お母さん...!


 アドリアナは元にいた世界の本当の両親を思い浮かべた。

 金色のオーラを帯びた水晶から映像が浮かび上がった。不鮮明な映像が次第にはっきりと現れ、凛の母親が現れる。自宅のキッチンで食器を洗っている様だ。


 「お母さん!」


 母親は洗っていたグラスを滑らせて床に落としてしまった。


 「あ...!!」


 “...凛ッ...何で帰ってこない...の...“


 床にしゃがみ込むと、凛の母親は苦痛な面持ちで割れたグラスを見つめながら絞り出す様に言った。


 映像が揺れて母親の姿は次第に消えて行く...


 揺れている映像は父親に変った。

 父親の会社...休憩中の様だ。自販機の前に佇み、神妙な面持ちで煙草を吸っている。


 〝鈴宮部長...大丈夫ですか?休んだ方が...〟


 部下から心配気に声を掛けられている。


 〝ああ...大丈夫。心配かけてすまないね〟


 言葉と裏腹に父親の表情(かお)には疲労感が感じられた。


 「お父さん!!私は此処よッ!」


 映像に向かって呼びかけるが父親の顔は映像がまた揺れ始めて消えていった。


 「お父さんっ!」


 映像が他の人物の影を映し出そうとしていた。


 あれは...


 「和瀬くん!真尋!」


 2人は体育館の入り口に立っている。真尋が颯真の肩を叩いて話しかけている。


 〝ホント困った奴だよな〜アイツ〟


 ...私の事話してる...?


 〝心配しなくてもひょっこり帰ってくるだろ!〟


 真尋が颯真の背中を強く叩いた。


 〝痛っ...お前なあ...〟


 和瀬君だ...


 颯真の姿が大きく映像に映ると、アドリアナ(凛)は黙って久しぶりに見るその姿を見つめた。


 ああ、勝手に消えてごめんねって...伝えたい...


 和瀬君ってホントテオドールにそっくり...和瀬君の前世がテオドールだったりして>>>


 アドリアナからクスっと思わず笑みが溢れた。


 〝...ん?...今お前笑ったか?〟


 〝はあ!?笑ってねーよ!...もしかして颯真、受験勉強疲れで幻聴きちゃったか〜?〟


 え...和瀬君...今の聴こえた?


 まさか...?


 「私は...此処だよ...!まだ戻れないけど、元気だから...」


 

 

 『心配しないで』


 〝...心配しないでって...今...!〟


 〝ん...?おーい?大丈夫かあ?...よし!今日は後輩達相手にしてスッキリしよう!なっ!!〟


 2人の映像が少しずつぼやけて消えていく...


 「和瀬君!!聴こえてるの?私の声!!」


 アドリアナの声はもう颯真には届かなかった。




   *



 この魔石...魔石を持ってる相手とじゃなきゃ話せないってトラヴィス侯爵は言ってたけど...


 話せなくても声は聴こえる事もあるんだろうか?

 ...いや、でも真尋には全く聴こえてないみたいだし...人によるのかな?


 金色のオーラを放つ魔石が入った箱を掲げて上から横から...と色んな方向から眺めてみる。


 魔法の能力(ちから)で話したい相手と話せるくらいだから...使う人の能力(ちから)によって変わるのなら使い方は決まってないのかもしれない。

 魔石が無くても会話が通じるのなら...私のこの状況を伝える事が出来る??


 もう1回...


 「和瀬君!和瀬君っ!」


 ヴーン...


 もう1度颯真の事を強く呼んだが、魔石からは音は出るが映像は再び現われなかった。


 何回も見れないのかな?...それとももう呼び出せないとか?


 あ〜〜解らない!魔石の事もそうだけど、魔法の事とか自分の能力(ちから)についても...解らない事だらけだ...私。


 頑張ろう...此処で私は頑張るしか無い。

 帰る方法だって此処で見つけなくちゃいけないんだから...



 

凛は颯真達の前からいなくなった...凛がいないまま月日が過ぎていき...どうなる??

次からはアンカーズ学院でのお話。


※更新は不定期になります。

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