Lesson 6 魔石に映る 1
「僕達は魔法力はレベル20になってからだったから、アドリアナは2ヶ月くらいかかるかもね」
2ヶ月って...それじゃあ入学までに間に合わないかもしれないじゃないっ!
そういえば...アンバーとジャスパーのペットは鷹だけどアイツのペットは銀色の狼だったな...?
ふと、フォルティス領に空間移動した時アドリアナが偶然出会ったフォルティス公爵子息・ルークを思い出した。
「私早くレベル20に上げるっ!!そしてペットをゲットするわ!」
「お?やる気じゃん〜じゃあ訓練頑張んなきゃな?」
「解ってる!」
...アイツの銀狼より強くて可愛い動物をペットにしてやるわ。
*** ***
レベル16かあ...
昨日のトラヴィス邸での魔法の講義の後、トラヴィス侯爵からアドリアナの魔法力はレベル16と鑑定された。
大魔導師はレベルやスキルなども鑑定出来る。
...だけど私が《巫女》とはわかってないみたい。将来《巫女》になる予定だけど今は能力は全く無いって事だよね。
将来の能力まではさすがの大魔導師も気付けなかったようだ。
《巫女》になったら...トラヴィス侯爵やパパに知られるし...皇族にも知られる。その後は《巫女》になった貴族の娘の運命でもある皇室行きだ。その前に何とかしなくちゃ...。
改めてアドリアナは堅く決意した。
まあ...でも今日のところは魔法の訓練はお休み。行儀作法やダンスのレッスンも無いし完全な休日だ〜!
アドリアナは昨日までは1週間、トラヴィス邸に魔法のお泊まり合宿をしていた。デュ・アンカーズ帝国学院の入学まであと10日をきっていた為、ペットを未だゲット出来ていないアドリアナは内心焦っていた。
1週間でやっとレベル14からレベル16に上がったけど...やっぱりレベルが未だ足りないのかなあ。レベル15を過ぎたところからレベル上げがキツくなってきた気がする...
アンバーはレベルが上がってくると動物から寄ってくるって言ってたけど全然そんな気配無いですけど??
それどころか私動物に嫌われてる?
森で訓練してる時も、敢えて動物に避けられているのかと疑うような静けさなんだけど?
「はあ〜...」
ま、いいか、クヨクヨ考えたってしょうがない。
いつかはペットゲットできるでしょ!多分...
せっかくの休日だし今日はパパとママは揃ってティーパーティーに行ってるし...ふふふッ>>>
アドリアナは悪い微笑みを浮かべた。
*
ガチャ...
よし、誰もいない...わね?
後ろの長い廊下を確認して誰にも見られていない事を確認すると、アドリアナは後ろ手で握ったドアノブを引くと部屋へと素早く入った。
部屋の中をキョロキョロと見渡している。
私の可愛い部屋に比べると装飾も少なくて家具もシンプルな形だ...
ここはヴァシリスが仕事をする執務室。ヴァシリスはマレ侯爵としてマレ領を治めている。領地に住む村や街、領地の人々が安心して暮らせるようにこの部屋で指示を出したりしているのだ。
マレ領は首都アンカーズから少し離れている為、人口はそれ程多くなく領土は半分が森や果実畑である。
しかしヴァシリスがマレ侯爵を受け継いでからは森や大きな湖がある事を利点に大きな宿泊施設を建設し、観光地として成功させた。
1年前には湖の南側に真珠の養殖の為の施設を建てて、トラヴィス侯爵の研究結果を元に既存の真珠より美しい《マレ真珠》を創ることに成功した。
パパってただの貴族のイケメンじゃなかったのね。
貴族は代々領地を受け継ぐから楽に仕事をしているのかと思ってたけど、商才があったパパは領地を有効利用して、マレ領で暮らす人々の生活は潤って豊かになったらしいし...
身近にこんな人がいるなんて尊敬しちゃう...
執務用の大きな机の前へ歩いてきた所でアドリアナは足を止めた。
「コレかな?」
大きなマレ真珠を中心にエメラルドと金の装飾が施されている正方形の宝石箱。
机の右隅に置いてあったのを手に取ると、アドリアナはそっと蓋を開けた...
太陽の光を受けて虹色に煌く透明な丸い水晶からは金色のオーラが出ている。
このオーラ、もしかして持つ人によって違うのかな?
トラヴィス侯爵の魔法の講義によると...この通信用の魔石で話したい相手の姿を思い浮かべると、テレビ電話のように魔石を持っている相手と会話が出来るらしい。
順調にレベル上げしてるアドリアナ...最終職業は《巫女》じゃなくて何になるんでしょう?(未だ決めてませんが)
※更新は不定期になります。




