Lesson 4 落ち着かない... 3
「フォルティス卿の弟ってお前と同じ年だったな」
そうなんだ?ふーん...まあ私には関係ないけど?あのコにはなんとなくもう関わり合いたくないかな...
「そうですか?...そういえば公子、騎士団入隊すると聞きました。おめでとうございます」
「ありがとう...えっとさっきからその〝公子〟って呼び方だけど...やめてくれる?」
「え...じゃあ何と呼べば?」
「公の場所以外は今まで通りテオドールでいいよ。...従兄妹なんだから。〝公子〟って呼ばれると余所余所しく聞こえる」
「は...あ...」
顔は和瀬君なのに和瀬君に横文字の名前で呼ぶの躊躇っちゃうんだけど...でもそりゃそうか、今は私達2人だけだし。
「じゃあ...テオドール」
なんかヘンな感じ。
「うん」
テオドールが満足気に笑った。
ああ、その顔でむやみやたらと微笑わないで欲しい...
「お前...昔は話しかけてもいつも黙って頷くだったけどよく話すようになったな」
え...アドリアナってそんなに内気な子!?
「え...っと成長したんです。友達も欲しいし」
友達欲しい...コレは本当だ。
屋敷に礼儀作法、ダンス、帝国の歴史の教師が来る毎日...それはそれでこの世界について理解出来るようになったけど、退屈過ぎる。
それに私にはやる事がある。
元の世界に帰る方法を探す事と、もし帰れなかった時は皇太子との婚約を阻止する事。
「友達欲しいのか?...じゃあ学校行くといいよ」
「学校?それってデュ・アンカーズ帝国学院ですか?」
「知ってたのか?俺は今年卒業するけど楽しいよ。全寮制だからすぐに友達も出来るし」
「あの...でも素質が無いと入れないって...入学試験とかあるんじゃ」
「そんなの無いよ?帝国の第3騎士団団長が書類審査だけするみたいだけど?」
「何故第3騎士団が...?」
学校の入学云々に関わる?普通。
「ああ、第3騎士団は騎士というより魔法が得意なやつが集まってて団長は魔法も召喚も出来る大魔導師だからな」
〝大魔導師〟...ただの書類審査じゃないじゃん。
コレは魔法で素質を調べられたりする感じ?
「テオドールは入学前に魔法は使えたのでしょうか?」
「使えたよ。物体移動させたり指先から雷出したり」
「雷...!?」
「入学した時はちょろっと出たくらいの小さい雷だよ」
そっか...モノ動かすとかは出来た方が良さそうよね。パパ、魔法教えてくれる教師とか呼んでくれるかな〜?
「学院にとても興味があるけど私は魔法を使った事が無くて...」
水の精霊の加護は受けたかもしれないが、果たしてそれで魔法が使えるのか?使い方もわからないし...
「...じゃあ手を出して」
テオドールがアドリアナの両手を掴んだ。
「え...は、はい?」
さっきもそうだったけど、和瀬君の顔で手を握られるのは...困る。本物の和瀬君はすぐに手を握ったりなんてしないから...あ〜もうっ...こんな目の前に真剣な表情の和瀬君が...!
アドリアナは頬が熱く紅潮していくのがわかった。
テオドールは真剣に教えてくれてるのに...私は違う事に気を取られててなんか申し訳ない...
「じゃあ指先に集中してみて」
アドリアナは右手の人差し指をじっと見つめた。
「え...熱い...?...熱くなってる!」
指先だけじゃない...!身体も熱くなってる?
アドリアナの指先がポウッと灯りを灯したようなオレンジ色のオーラで包まれた。オーラはどんどん大きく広がっていく...
何これ!??
「はいストーップ」
テオドールは颯真より強引...颯真の顔でグイグイ来られたら...もう困ります。
※更新は不定期になります。




