Lesson 1 星の瞬き 1
〝リア...〟
ん...また呼ばれてる...
〝リア!!!〟
なんなの?貴方は誰よ!?
はっ
私......あれ...?もしかして寝てた?
気がつけばパイプ椅子に座っている自分。目の前には大勢の生徒達。どうやら講堂で行われていた特別講義を受けている最中に居眠りしてしまったようだ。こちらを振り向いたりする生徒はいない。夢の中での自分の会話は声に出してはいなかったと確信して安堵しつつ、目を擦りながら隣にゆっくり視線を移す。
「珍しいね、凛が講義中に爆睡するなんて>>>」
同じクラスで親友の牧 亜果利はふふっと微笑いながら手鏡を差し出してくれた。私はすかさず鏡を覗き込んでささっと乱れた前髪を直す。
「おかしいなぁ...昨日早寝したし居眠りするはずないのに?」
まだ特別講義中の為、2人は周りに聞こえないように小声で話しながらさも熱心にメモしているかのようにノートに集中するフリをしている。
なんだろ...またあの夢だ。
混沌とした闇の空間の中に月光に照らされたような青白い光。その光の向こうから私を呼ぶ声がする...そんな不思議な夢。
まだ続いている講義内容を聴き流しつつ、凛はつい今しがた見た夢を思い浮かべた。
現在...少なくともこの地球上には存在しない国、ルシウス帝国。
私、鈴宮 凛は前世でこの国の巫女だった。前世の記憶は全て覚えているわけではないし朧げに子供の頃の記憶のように所々残っているだけだけど...現世でも時々強く想い出す記憶があった。それは年が経つごとに度々夢に出てきて、最近は誰かに前世での呼び名を呼ばれる内容の夢を視る事が多くなって...その声は日に日にハッキリと聴こえるようになってきていた。
...男の人の声だった。
前は男か女かもわからなくて顔なんてモザイクかかってたけど...今日は顔の下半分は見えた。
...でも誰かは解らないんだよねーーー前世で知ってる人全部を順番に当て嵌めてみてもどれもピンとこないしなあ...何回も〝リア〟を呼んでるけど...一体何が言いたいんだろう!?
そもそも前世の記憶があるといっても前世だよ?もう終わった事じゃない!?私は現世で普通の中学生だし受験生で忙しいし、過去なんて関係ないんだから!!!
*
「...みや...鈴宮!」
「...え?」
「疲れてるみたいだな?」
「颯真がさっきから何度も呼んでんのに...オマエぼーっとしてどうしたんだよ>>>」
「あああ@%$/!?」
マズい...私2人の前でどんな顔してたんだ!?恥ずかし〜いっ!!
隣のクラスの和瀬 颯真と同じクラスで家が隣りの築山 真尋。
そうだ。私今この2人と一緒に居たんだった!!!
颯真は心配そうに凛の顔を覗き込み、真尋は呆れたような表情でテーブルの上のコーラを手に取る。
「講義中も寝てたみたいだし勉強無理してんじゃないか?」
「ええ〜っ!?オマエ寝てたのか!...てか颯真、講義中に凛見てたのかよ>>>」
見られてた!!!ってか真尋のヤツ突っ込むトコそこ?
「...真尋の為に一緒に勉強してんだろ?いいから問題解けっ!」
「ハイハイ〜っと」
真尋の冷やかしがまだまだ続きそうだったが、それを一括した颯真が凛と目を合わせて微笑った。目が合った凛は恥ずかしくて慌てて目を伏せる。
なにコレ?爽やかすぎでしょ?
颯真と真尋はもう引退したが元バスケットボール部で、凛は吹奏楽部所属で夏のコンクールの後に引退した。吹奏楽部は運動部の試合の応援に行く事が多く、真尋と仲が良い(家が隣りってだけの腐れ縁なのだが)事もあり、何度か話してる内に...つき合う事になった...が、カレカノになってから2カ月...まだ凛は颯真との距離間が掴めずにいた。
「あの、さ...今度息抜きでどこか行こっか?」
ファミレスでの勉強会の帰り、気を利かせた真尋が、『あ〜...オレ借りてたCD返すんだったわ。颯真、代わりに送ってやって』とヒラヒラ手を振ってサッサと居なくなった為、凛は颯真と2人で歩いていた。
真尋め...まだ2人きりだと何話していいのか緊張するのになんて事してくれたんだ!?真尋の好きなアニメ《妖精少女マリエ》のマリエの等身大抱き枕、アイツの目の前でサンドバックにしてやるんだから!
そんな黒い事を考えているとは微塵も思ってないだろう颯真の言葉。
「え...は...はいっ!?」
はっきりとは聴き取れなかったんだけど...これはデートのお誘いで間違いないよね!?
はじめまして。思いつくまま書いていきます。
※更新は不定期になります。