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彼は後悔を恐れ言葉を伝える
ふくらみかけの桜のつぼみがまた一つと咲いていく。誰もいない校舎の裏に1人の制服に花をつけた生徒がある人を待っていた。
「ごめん。待った?」
駆け足で走ってくる彼女は言った。
彼女の名前は夕鶴。俺の幼稚園からの幼なじみで天然のバカだ。俺は彼女に今日、想いを伝えないと後悔する。
そんな焦りが俺の背中を押してくる。
何度も何度も頭の中で、考えて、何回も妄想をして、
考えに考え抜いた言葉を思い出す。
俺は固唾を呑む。
経った数秒だが何時間とも思えるほどの緊張が俺の体にほとばり、俺は想いを彼女に伝えた。