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第三十章 ちょっと退屈いってくる

 昨日は余り熟睡する事が出来なかった。

 色々と原因はあるのだが、一つは純岡に殴られた頬が腫れ上がり痛んで中々寝付けなかった事。もう一つは、体育倉庫内で味わった荒内さんの胸の感触がどうしても忘れられず、妄想のヴィジョンがいつも以上に鮮明に頭の中に浮かび、睡魔が遠退とおのいた事だ。

 まぁ寝たら寝たで、そういう夢を見てしまい、自責の念を抱き何度も起きてしまう。


 朝になって思うと、少しぐらいの罪悪感は我慢し、あの夢を堪能した方のが色々と後々に楽になるというのがわかった。


「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」


 体内の二酸化炭素をすべて吐き出せそうな大きな溜息をつく。

 ベットから動く気がしない。

 だるいのがあるのは確かだが、それ以上に無気力でいたい気分。何もしたくないっていうのが正しいかな。

 とりあえず時間だけは確認する為に、ケータイを開く。


 9時23分…………なんだか行動するには遅過ぎて、寝るにはもう眠気がとんでしまうそんな微妙な時間。

 メールの着信が二件あった。

 一つは兄さんからだ。


〔弟よ、雪の中の野宿は体に悪いな。風邪を引いてしまった。

 とりあえず、メリークリスマス……でいいんだよな?

 兄さんは時差の計算が不得意だからよくわからない。〕


 兄さん……時差って…………今どこに居るの? 少なくとも日本じゃないよね。

 まぁ兄さんのは本気か冗談かわからないからスルーしよう。ってあれ? これ時刻を確認すると、0時ピッタシじゃないか。侮れんな……兄さん。

 もう一つは、友貴からだ。


〔今日遊びに行くから。よろしく!〕


 ……何時に? 何をしに? 説明が足らな過ぎるぞ友貴!

 といった感じに返信しとけばいいだろう。

 さて、そろそろ行動を開始するかな。


 両親は今だ帰らずだ。恐らく帰りは明日だろう。だから、今日も朝食は自分で準備しないとな……。最近料理のスキルが上がってきたような気がする。嬉しいやら悲しいやら微妙だ。

 俺はベットから立ち上がり、大きく伸びをし、カーテンを開ける。

 今日も心地良い日差しを浴びる事が出来なかった。昨日と変わらず曇天さんだ。

 曇り空は気分が少し滅入るが、雪が降るとか降らないとか昨日の天気予報でやっていた気がするので、それに期待しよう。そう思うと僅かに足取りが軽くなった気がして、鼻歌を歌いながら階段を下りた。




 食事と身支度を終え、今はリビングでテレビを見ながらポケーっとしている。久々ののんびりと出来る時間だけど特にやる事が無い。この前まではゲームをやっていただが、コンプしたし、読む本も無い、気に入ったスポーツも無い……。

 なのでテレビはつけているだけでボォーっとしている。


 ニュースを番組が終わり、剣道講座というそのまんまの番組が始まった。

 そういえば……最近は素振りもしてない。やっと手放す気になれたかな……? あーダメだ、そう考えると体を動かしたくなってうずうずしてくる。

 体を動かすのは楽しいけど、剣を握るのはいまだに不快だ。あの事件を思い出して嫌になる。だけど、握りたい。もう意味が分からなくなってくる。

 そもそも……本当なら、あの時に握らないと誓ったはずなのだ。それでも手にしてしまう自分が憎くて堪らない……。


 それ以上は見ていられなくなり、チャンネルを変えた。

 なんだか昼ドラ的雰囲気全開のシーン中の昼ドラがやっている。これまた不快だ。チェンジ!

 次のチャンネルでは、やたらと声が甲高い人が紹介している、通販番組がやっていた。これはある意味不快だ、チェンジ!


 最終的にはテレビの電源を切った。どうも今日のテレビくんは機嫌が悪いらしい。

 はぁ〜〜……結局はボーっとする。


 この一週間、忙しかった。本当に忙しかった。

 二日間の学校生活を挿んだが、明日は日曜日、水道局に行かなくてはならない。具体的に何をするのかは知らされていないが、行かなくてはなるまい。両親を一週間の短期出張させるぐらいの事を簡単にやってのけるのだ、首だって簡単に切れるだろう。

 これは脅迫と変わらないような気がする。もちろん、君が来なければ地獄を見せてやるぜ! とか直接には言われていないが、遠回しに力を示し、俺を押さえつけている。


 はぁ〜〜……とまた大きく溜息をつく。

 何かやる事ないかな〜…………あ、そういえば、友貴から借りたゲームがあったっけ。まぁエロゲだけど。

 あれでもやってみるかな。

 重い腰を上げ、リビングの椅子から立ち上がり、階段を上がり、自室へと戻った。



 部屋に置いてある俺専用の据え置き型パソコンの電源を入れ、立ち上がるまでの間に友貴から借りたゲームを探した。

 どこに置いたっけ?

 両親は今は家に居ないが、とりあえず隠し場所は決めておくかなって感じに……えーと、本棚に擬装して置いたんだっけかな。

 本棚を軽く見たが見当たらない。


 あれ〜? どこだ……。机に入れたんだっけか?

 机の引き出しを片っ端から開けていく。すると、見覚えのあるパッケージを発見。


「あったあった」


 そういえば机の引き出しに入れといたんだ。

 説明書などはインストールしている時にでも見ればいいや。

 箱を開け、中からディスクケースを出す。

 DVDドライブをOPEN!! そしてディスクよGO!!


 保存場所を適当に設定して……おっとデスクトップにショートカットはいらんぞ、スタートメニューにもいらんて。

 よーし! 準備OK!


 パソコンがゲームのインストールを終えるまでは、適当にパッケージを眺めたり説明書を読んだ。

 『放課後の学び舎』というなんだか普通そうながらも妄想を掻き立てるタイトル。

 製作者の名前でエロゲー初心者の俺でも知ってるような有名な人は居ない。まぁほんの一握りしか知らんけど……。

 タイトル通り、学園生活の話らしいが、どうも説明書に乗っているストーリー説明が逸脱だぞ。これは、ある意味天才的だ。

 パッケージの表紙になっているキャラがメインヒロインっぽいが、ピンクの髪で定番な感じだ。


 どうやら攻略可能キャラは五人いるようだ。プレイ時間は90時間と書いてあるが、そんなにシナリオ長いのかな? まぁ面白い分には長いのは構わないけど。

 パソコンがインストを終えた音を出す。俺はそのままゲームを起動し、開始した。


 ゲームが起動されて、お馴染みの注意メッセージが出る。18歳未満はプレイ禁止だそうだ。どうしようか、俺はまだ16歳だ……ってここまできて引き下がる訳が無い!

 メッセージがフェードアウトし、OPが流れる。


 正直、OPのムービーには感動した。曲も勿論良い!

 これならゲーム内容にも期待できるぞ!!

 と意気揚揚に初めからを選択。



 一時間ぐらいプレイしたであろうか……ゲーム内容は正直に言うと、残念な感じだ。いや、それでも優し過ぎるか……もう駄作もいいところだ。OP詐欺ゲーだ!

 なんでいきなり説明無しに新キャラが主人公と慣れ親しんでるよ! どこから湧いて出た?

 どうして一時間だけのプレイで16回もバットエンドになるよ。まだ共通ルートだろう?


 あ〜〜〜スクリプトミスやら、画像表示ミス、BGMのセンス最低、ボイス使い回し。

 どれだけクソゲーなんだよ!

 俺は借り物だというのを忘れて、ゲームの箱を机に放り投げた。


 友貴め、金の込んだ嫌がらせをするじゃないか……。流石は金持ちと言ったところか。

 あいつ、絶対にコンプして無いだろう。こんなバットエンド多すぎのゲーム、途中で欝になるよ。



 俺の退屈な休日は最後まで退屈で終わりそうな気がする。

 でもまぁ、何か大変な事態になるよりマシってもんか…………。

この章はあんまり重要じゃないような重要なような……。まぁあからさまに伏線を張ってみたりしたから重要なのかな……?


2万PV突破! 4千アクセス突破! な訳です。

読んで下さった方々に感謝です。

最近はアクセス数が安定してきて、1日平均2百人前後の人がアクセスしてくれます。


次回予告?

直輝の家に魔物が現れる!? 退屈だったはずの直輝は一瞬の油断すらも許されない修羅場へと…………。

(本当かな……?)

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