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第二十章 ちょっと欲求不満いってくる

「んぁ……うぅん……」

「はぁ……はぁ……んっ」

「あっあっ……あうっ! 激し……あぁんっ! や、やめ……んんぅ!」





「NO〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」


 お、おおおお……俺、俺は…………なんつー夢をっ!! 欲求不満なのか? ここ数日、獣との戦闘である意味本能を曝け出していたが……。まさか、そっちでも本能の爆発を求めている?

 毛布をめくり、息子さんを確認する。

 予想通りさかっている。ズボンを中から突き上げ、天井を差していた。

 だが、ここまではいいんだ! むしろ俺の歳でこういう事に興味を示さない奴のが変だし、人類にとってもありがたいものじゃない。でも……でも何故、夢の中で俺の相手は戸高さんだったんだ!? しかも、高校生バージョン(俺の想像)だし……。


 守るとかどうとかいう夢を見た次の晩には、犯す夢かよ…………。なんか夢の中で俺、微妙に拒否られてたしな。

 あぁぁぁぁぁぁぁぁ……欝だ、欝だよ! もう学校に行きたくないよ……。あーだけど、今日も休んだら四日間行ってない事に……。

 くそぉ! やってらんねぇ。


 俺は絶望の淵へと落ちて行く……が、ここで凹んでいても誰も呼びに来る事はない。いや、別に幼馴染がどうのこうのでフラグがどうたらとかじゃなくて、局長の手助け(陰謀?)により両親とも一週間の短期出張中だ。

 更に、兄さんは今だ自分探しの旅から帰って来ない……。でも、昨日の夜にメールを一通送ってきた。内容は……、


〔件名:愛する弟へ

 本文:弟よ、私はどこに居てもお前を愛している。〕


 だった。なんだかな〜……。

 その事を思い出すと意識が完全に覚醒し、時間が気になる。ケータイを開き、時間をチェック!

 七時二十三分。

 それほど苦しくは無いな。というより余裕があるくらいだ。

 さて…………なんだか、妙に歩き辛いぞ? あうっ! SON! どうして、そんなに盛ってらっしゃるの?

 俺は股間を押さえぎこちなく一階のリビングへと向かった。



「やっぱ飯は自分で用意だよな……」


 流石に簡単なものにしないと遅刻する。それに、弁当も作らなきゃダメだしな……。

 ここは、本気で行くしかない!!


 料理の達人並みの技とスピードで朝食と昼食用の弁当を作り上げた。

 その瞬間、俺はクッキングパパを越えたような気がした。

 自分で作った料理の味は格別だー! とかいう気持ちが薄れてきた今日この頃だが、今回はマジでうまいと思った。流石は俺だな、と自分を褒め称える。

 早々に飯をたいらげ、俺は身支度をし、玄関へと走った。


 よし! いつもの時間だ。のんびり行くぞ〜…………と言いたいところだが、これ、どうしよう?

 制服のズボンをいろんな意味で盛り上げる息子さんに俺は困り果ててしまった。

 どうしておさまらない? そこまで欲求不満か?

 朝よりはなんぼかマシになったが、それでも少し目立つ。自転車で移動中はなんとかなるにしろ、学校に着いた後が問題。


「どうしようか……」


 やはり、ここは得意の出たとこ勝負? ……つーかそれしかないよね。諦めてそれでいくしかないのか……。


「あぁぁぁぁ!! 男らしく、迷いながらでも走り抜けるしかない!」


 俺は、勢いよく外へと続く扉を開け放ち、旅立った。




「あぅ……ひゃひ…………あひょ」


 はたから見れば変人だ。しかし、しょうがないのだ……ペダルをこぐ俺の足が円を描く過程で息子さんとこすれ合い、俺に快感という肉体的ダメージを与える。

 これでは学校に着くまでに悪化するっ!! そして、歩く猥褻物わいせつぶつという称号と変態というレッテルを手にしてしまう。

 不味いぞ、非常に不味い……。まだ学校まで十分程かかるが、それまでの間に良い案を出さなければ。


「あにょ……あへっ…………うひょ」


 そもそも何故ここまで欲求不満におちいったんだ? まるで見当がつかん。目の前にそういう物、または者が無ければ俺は決して欲情などしない便利な体と心のはずなのだが……。朝の夢を見た時点で、息子さんのテンションが上がっているのは問題ないのだが、どうして今も続いている?

 いや、今は何故かより、どうすれば治まるか、だ。やはり、抜くしかないのか?

 俺は妄想で抜けるほど高度な想像力をゆうしていない。


 おかずが必要だ。学校に着く前に調達など不可能……だよな。

 いやはや、こんな朝から淫らな事を考えると悲しくなる。俺は健全な男子高校生であり、燃え上がるのは夜だけで十分だ。


「んっ……あぅ……どうしたものか……」


 学校への道のりでの時間を結局はほとんど無駄に使ってしまっている。

 救世主は現れないのだろうか……?


「うぃーっすっ!!」


「おごほっ!」


 甲高い声と共に背中を強打され、息が一瞬止まる。誰だ、真剣に悩んでいるというのに!

 俺の背中を叩いたであろう奴が、俺に追い付き横に並んだ。


「どうしたの? 元気無いぞ〜」


 横に首を曲げると、そこには朝だというのにエンジン全開の笑顔を浮かべる山下が居た。山下萌咲やましたもえは俺のクラスメイトで、一言で言うなら、変態。長い赤茶色の髪を後ろで括りポニーテールにしていて、風でサラサラと揺れている。


「いや、べ、別に……」


 そのまま並んで学校に行く破目になり、正直、息子の対処法どころでなくなった。山下に悟られたら、馬鹿にされる!! 全力でばれないようにしなければ……。


「ふ〜ん、本当に元気がないねぇ……。何か悩み事かい? それならこの、萌咲様に相談するといい、十分五百円と少々値段は張るが、満足行く答えを出して進ぜよう」


「金取んのかよ!」


「こっちも商売でね〜、お客さん、慈善活動じゃないんだよ。そればっかりはねぇ」


 なんだか渋いおっちゃんの顔をして、山下は唸るように言った。こいつ、幾つのキャラを持っているんだ?


「金取るなら遠慮する。いや、そもそも金無しでも遠慮する」


「うぅぅぅ…………ウチには育てなあかん子どもが四人も居るんよ……どうにかならんかね?」


「そんな設定は知るか、とりあえず、俺は何も悩んじゃいない」


 ピシッと相手に反論させない為に強く言う。だが、山下はその程度で怯むほど弱くも簡単でも無い。

 山下は口を尖らせ、不満そうな顔をする。


「是非とも朝から盛ってる男子高校生の悩みというのを知りたかったのにな〜」


「なっ!?」


 全身に衝撃と戦慄が巻き起こり駆けずり回る。もしや、ばれてしまった? いや…もしやでもなんでも無く、さっき、確かに言ったよな……「盛ってる男子高校生」って。

 俺は自転車のハンドルから両手を放し、山下に体を向けて拝むように両手を合わせ懇願する。


「山下っ! 頼むから、他の奴には言わず黙っていてくれ!」


「あはは〜さっきのは冗談だ………………はい? マジなのですかい?」


 もしかして……俺、墓穴掘った? やっちゃった?

 焦る俺とは逆に山下は不敵な笑みを浮かべる。何やら物々しい空気を漂わせているような……。


「ふっふっふっふっふ……。君は大きなミスを犯したね……。ウチの前では特にやってはいけないミスだね……。ふふふふふふふふふ…………」


 こ、恐い……。何を企んでいる?

 ダークなオーラを周囲に放つ山下は俺からしたら悪魔に見えた。


「今日から君は、ウチの奴隷決定ね。あ〜いいわ、あなたみたいなヘタレな奴隷が欲しかったのよ」


 訂正、魔神だ。こいつ目がマジだ。


「さ〜って冗談はその辺にしといて……。悩める好青年よ、ウチがそのはち切れんばかりにズボンを押し上げる君の息子さんの対処方を教えて進ぜよう」


 本当に冗談か? 目だけ笑ってないぞ。

 しかし、これをどうにかしてくれるというのなら嬉しい限りだ。


「んで、その方法は?」



 俺はその数分後、山下に関わった事を酷く後悔する。

 いや〜人生って長いけど、もう終わりにしていい? と思う日になった。

命の危機とは別の危機が直輝に迫り狂う! それが学校編なり! というのは(たぶん)嘘です。

エッチいのが嫌いな人ごめんなさい……。でも、序章で息子息子言ってたから問題無いですよね?

ちょっと非現実的ですが。多少の妥協を……。


そういえば、クラスメイトの久々の登場なので、まだ山下だけですが、皆さん覚えておりますでしょうか? 誰が誰だかわかんねぇという意見などがあればキャラの一覧か何かを作ります。まぁ要望が無ければ作ることは無いと思います。


さて、第十六、十八章を大幅修正しました。他の章に影響は無いと思うので、特に読み直す必要はありませんが……。

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