第9話 旅の支度2
短めです。
固まったレイさんを見て僕は笑ってしまった。口は笑っているのに目が見開かれていると言う顔だ。
そんな顔はにらめっこですべきだと僕は思う。だから、笑ってしまった僕に非はない。多分。
しかし、
「なに笑ってんのさ。全く私の顔が変なの?私はいま魔法が使えなかったからショックを受けてんの」
早口でまくし立てたてて
「あーーーーーーー」
と奇声を上げはじめた。なんだかレイさんもかなり変わってきた気がする。はじめの方はかなり礼儀正しかったのに。
「まあまあ、明日になれば使えるでしょ。そんなことよりご飯食べに行こ。もう時間になるし」
僕達はザーバンさんのその研究者の性質で部屋にこもってしまった時のことまで初めに話し合っていた。
「そうだね、どこ行こっか?」
「うーむ、今日はボルノに行ってみない?普段バイトしてた場所を外から見てみる」
「面白そうね、じゃあさっさと準備して行こう」
次の日から魔法の修行が始まる。しかし、まだ心のどこかに本当に魔法を使えるのかという疑問があった。
でも、初級魔法ならこの国では習得率90%以上だ。僕が習得できないわけがない。そう思って修行を始めた。
そして5ヶ月後、明日で修行が終わるという日。
僕は中級魔法すら使いこなす、魔法使いとなって、、、
「なぜだーーーーー」
結局、僕は異世界人だからか魔法が使えなかった。できるのは無色の魔力を出すことのみ。
しかし、初級ぐらいは習得したかったがまあなくてもいいのだ。僕は新しい魔法をこの星に生み出したからだ。
それこそがテレポート。高濃度の魔力の塊を2つ作り片方を自分の方にもう片方を送る場所に置いてから、自分の方の塊に送る物を魔力を込めてねじ込む。そうするとテレポート完了だ。
これは地球にいたころ、何かの動画で見た量子力学というのを参考にしている。
「突然どうしたのさショウマ君」
レイさんが笑いながら聞いてくる。レイさんはレースさん以上かもしれないほどのスピードで上達し、今では準中級レベルだ。
「どうしたもこうしたも、修行は今日で終わりなのに僕は初級魔法も習得できてないよ」
「は?」
何言ってんだ殺すぞ?という目つきで僕を見るレイさん。
「テレポートっていうの使えるんでしょ?君にしか使えない」
「まあ、うん」
「なら君はそれで十分それ以上、凄くなると人の範疇に収まらなくなるから」
そこまでテレポートは凄いものであろうか。テレポートは目視できる範囲でしか基本的に使えないし、使うのにはテレポートさせるものの体積分の魔力を使う。
僕が武器にしている小さなよく切れるナイフでも4000は持っていかれる。
お弁当箱とかをテレポートさせれば万単位で削ることになる。
お世辞にも使い勝手がいいとは言えない。
そのことをレイさんに話すと、
「どっちにしてもあなたの魔力量だったら大丈夫じゃん」
「まあそうなんだけ使える回数は中級魔法と同じだし、威力は小さいし」
そう言うとレイさんは、もう何も言うことはないという風に首を振った。
修行が終わるといよいよ旅である。
修行は昨日で終わり、夜遅くまで祝賀会をやっていた。
旅はまずはここから北に行って国境を超え、ダズデラ王国最南端の街ドミノへ向かう。
早朝に出て、着くのは夜。ブズーキナより少し遠いぐらいである。
だと言うのに、、、
「レイさん早く起きてーーはーやーく」
レイさんはまだ寝ているのだ。昨日、遅くまで祝賀会をやっていたせいだろう。寝たのは12時を過ぎていた。
まあ、僕は地球にいるときは12時寝て5時に起きるとかもあったから普通に起きれたが。
ここは6時までに出なくてはならない。そのためには30分前には起きる必要がある。
しかし、
「まだ仕事行く時間じゃないよ?」
完全に寝ぼけている。
「レイさん、早くしないと馬車の時間になっちゃう。急いで」
1拍、間をおいてガバッという音と「ヤバっ」というレイさんの声が聞こえてくる。
バタバタとレイさんが走る音が聞こえてくる。
そしてあと10分というところでレイさんが出てきた。朝ご飯を食べる時間は、なさそうだ。
結局朝ご飯は食べずに出てきてしまった。途中で買った方がいいだろうが残念ながら、この世界にコンビニはない。
諦めよう、そう思った時にちょうど馬車乗り場に着いた。
いよいよ旅である。僕はこの国からは出たことがなければマミルスから出たことすらない。
ダズデラ王国最南端の街ドミノン非常に楽しみだ。
馬の威勢のいい馬の鳴き声と共に、馬車は発車した。




