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異世界の盗賊。  作者: 佐藤 崇 satou takasi
ダズデラ王国と記憶の種
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第4話 マミルスへ

 6話 マミルスへ

   目を覚ますとそこにはロッジと呼ばれていた男ではなく、誰かわからない女の人がいた。

「おっ、目が覚めたね。」

 女の人は、気さくな感じで話しかけてくる。

 まるでヒーローのようだ。というかヒーローだ。私は、ロッジに誘拐されたのではなかったか。

 この人が助けてくれたのか。

「あ、えっ、あ、りがとうございます。助けて頂いて。」

「いや、いいんだよ。あいつには恨みもあったしね」

 いまは、夕方と夜の間みたいな空模様。

 そんな時間だからだろうか、女の人から目を離すと2度と見れない気がした。

 彼女は銀髪な上にとても美しい。それだけの要素があれば、かなりの存在感が出ると思うのだが、彼女からは全くそんなものが感じられない。

 もしかすると夢かもしれない。あやふやなのは夢だから。

 私が寝たのは何時だったか、確か正午の鐘が鳴ったのを聞いてすぐだった気がする。

 ふと、女の人の方を向くとその方角から風が吹いてきた。ひんやりとした感じの風が頬を撫でる。

 そして、風と同時に太陽は大地へと姿を隠した。

 時折吹く風を感じながらぼーっとしていると月明かりに照らされた塔が見えた。

 今日は満月なのだ。

「よしっ、君あの街から来たよね?」

 女の人が唐突にマミルスの方を指した。

「あ、はい。」

「それじゃあ、行くか。」

 行く?街へだろうか。だが、あそこまで4kmはあるはずだ。

「よ、い、しょっと。」

 唐突に女の人は私をおぶった。

 そして次の瞬間、私の体を猛烈スピードでマミルスの方へ向かって行った。

 女の人の走る速さは人間のそれではない。

 最早飛んでいると言ってもいいだろう。

 5分、それが私がマミルスに着くのにかかった時間である。この女の人は普通ではないとやっと理解した。

 遠くから居酒屋らしい歓声が聞こえくる。

 提灯の灯りも見える。

 宿のランプも見える。

 やっと私は生きてた、という実感が湧いてきた。

 宿に戻ろうと思うとふとなにかが違うことに気がついた。

 門を入ってすぐのところにある噴水の上にカエルが乗っていなかった。代わりにのっているのは象。あの意味のわからないリアルなカエルの像ではなく神秘的な象がそこにはあった。

 この街はマミルスではない。それは疑いようのない事実だった。

 私は無意識のうちに、マミルスとは明らかに違うの街並みを眺める。そして、眺めれば眺める程に、マミルスとの相違点が見つかっていく。

 そして、決定的なものを目にする。

「ブズーキナ商店街へようこそ」

 門を入って100mのところにある商店街の名前はマミルスから50km程先にあるブズーキナというマミルスより少し小さい街の名前だった。


 私はその夜、女の人がとった宿で寝ることとなった。その宿は妙に高級でお金の心配はあったが、女の人が払ってくれると言ったので安心して眠ることにした。

 そして、女の人の名前を知ることができた。その名は、シーナだそうだ。どこかで聞いたことがある名前な気もしたがそれは明日の朝にでも考えることにして私は眠りについた。


 僕が起きたのはいつも通り夜明けぐらいだった。

 そして、いつも通りにボルノでの仕事のために宿を出た。いつも隣にいるレイさんは今日はいない。

 あの人は、死んでしまったのだろう。

 ボルノの店主にレイさんがロッジに誘拐され死んでしまったと伝える。店主はそうか、と一言だけ言った。

 1ヶ月も一緒にいればさすがに仲良くなるし、死んでしまった時のショックは大きい。

 僕は、放心状態だった。

 日本じゃ知り合いが死ぬことなんて中学生のうちはそうそうない。それも仲がいい人が死ぬってことはまずないだろう。

 そんな中学生に、異世界に来て初めてできた友達が死ぬ、というのはあまりにも大きかった。ただ僕の心をしめるのは白に黒のペンキでぐちゃぐちゃに塗ったようなどこかもわからない空間だった。


 夜が明けるともうシーナさんはいなくなっていた。

 私の勝手な予想だが、あの女の人は世紀の大怪盗と呼ばれ、義賊を自称するシーナ・カラルトンではないか。いや、間違いないだろう。

 あのロッジという強そうな男から私を救ってくれたことを考えると納得がいく。

 あと、気になるのはあの男。私と祖母の家に強盗に入った奴に背格好が似てる気がするのだ。

 私の祖母は、初級魔法と呼ばれるものの他に中級魔法も少し使うことができた。

 初級魔法というのは、数ある魔法の中でも一般の市民も使うことのできる魔法のことを指し、全体の2割程しかない。

 中級以上だと、専門の学校で習わないと使えない場合が多い。極稀に例外もいるが。それが私の祖母だ。それを倒せたのだからその男もかなりの腕利きのはず、、、。

 しかし、そんなことはどうでもいい。

 それよりも、今は一刻も早く戻ってショウマに無事を報告しなくてはならない。

 ここからマミルスまでは乗合馬車が出ている。

 それを使えば半日ほどで着くだろう。

 しかし、私は一文無し。働かなくてはいけない。

 最短2日。1日で金を稼いで次の日にマミルスへ行く。簡単だが計画が立つ。

 ショウマを安心させるにも早くマミルスに戻らなければならない。

 とりあえず、私はこの街のセントラストの方に行き、近くの店で職を求めることにした。

 このブズーキナという街はマミルスまでの道の途中にあり宿屋町として発展してきた歴史がある。

 だから、街には鍛冶屋なんかよりかはレストランや宿などが多い気がする。

 この街のセントラストも塔になっていた。こんなものがあるから私は、街を間違えてしまったのだが、今は街のどんな場所からもセントラストの位置がわかり便利だ。

 私は日雇いのレストランを見つけそこで働くことにした。

 レストランは、居酒屋とは違いそこまで荒れていないので働きやすいといえば働きやすい。

 そして、給料も高い。10時間で1000ミスト弱だ。

 いつもは8時から11時ぐらいまでで950ミストなのだなら。

 明日には、帰れそうだ。


 僕は、仕事を終え宿に帰ってきた。

 仕事はいつもより早く終わらせてもらえた。店主は、しっかり休んで落ち着けと帰り際に言った。

 僕は、ベッドにすぐさま横たわる。

 そして、眠りにつく。

 帰ってくるとレイさんが宿の前で待っていて感動の再会を果たす、そんな夢を見た。

 そして、目が覚めそれが夢であったことに気付き、気がつくと僕は泣いていた。

 僕は少し遅めの夜ご飯食べまた眠りについた。


 ブズーキナのレストランでのアルバイトは思ったよりハードだった。その分給料は高かったが。

 しかし、宿が問題だった。

 探せばもっと安いところもあっただろうが疲れていたのでレストランの近くの宿に泊まった。その時はもう寝ぼけていた。

 460ミスト。それがその宿の1泊の値段だった。

 私は必要もないのに朝、昼、夜の食事付きの宿に泊まってしまったのだ。朝ご飯は食べたがそれ以外は食べていない。

 馬車に乗るのに340ミストかかる。何より高いのが食費だ。

 この辺りの食材の物価はとても高く1食150ミストはざらにある。

 ボルノの賄いはただだったからとても節約できた。

 馬車でブズーキナからマミルスまでは半日ほどかかる。つまり、昼食は間違いなく馬車の中で食べることになるわけだ。

 私は今、弁当を買いにきているのだが弁当というのは保存がきくようにと普通のものと比べ割高になっていることが多い。

 そこで問題がある。

 私の残金はぴったり200ミスト。しかし、目の前の弁当達は揃いも揃って1律202ミストときている。

 私はそこまで空腹には強くないのでお昼ご飯は食べておきたい。

 ただでさえ馬車はよく揺れるし体力をよく使うのだ。

 ここは私の得意の話術で値下げしてもらおう。まあ、得意つてわけでもないけど。

「すいませんおじさん。」

「はいよ。なんだね、ねーちゃん。」

 ねーちゃん、なんというか、雑な呼び名だなと思ったがそんなことは気にしていられない。

「あの私、200ミストしか持ってないんですよ」

 私はほら、というように手に握った200ミストを見せつける。

「なんとか2ミスト負けてもらえませんかね?」

「ふーむ、ねーちゃん貧乏なんかい?」

 貧乏というわけではないがそういうことにしておく。

「そーなんですよー」

 猫を被っておいた。これでおじさんはイチコロだと誰かから聞いたことがある。

 確かロクでもない人だった気がするが役には立った感謝しよう。

 どうもありがとう、はい終わり。

「だがなーうちも商売やってっからよあんたに割引しちゃうと他の人も同じようにして安く買おうとしてくるかもしれない」

「悪いが他を探してくれ。」

 あれっ?なんであれが効かなかったんだ?

 そんな疑問は瞬時に解決された。

 あっ!ロクでもない人から教わったことだ。ロクでもない人にしか当てはまらないか。

 とりあえず商店街に行くとしよう。出発まではあと30分ほどある。ブズーキナの商店街は新しいので整然としている。迷うことはないだろう。

「馬車弁当なら是非、私の店へ足を運んでください。」

 わざわざ馬車乗り場まで来て呼び込みをしているおばさんがいた。

「おばさん、弁当って何ミストぐらいですか?」

「1番安いのだと35ミストのがあるね。」

 な、35ミスト。普通のご飯を、買うよりこの店のお弁当を買った方が安いじゃないか。

「買います買います。」

「そう急ぎなさんな。まずは店に来て商品を渡さないとでしょ。」

 そして、おばさんについて行くとついたのは商店街の比較的奥にある店だった。

 そこには、35ミストのお弁当は売ってはいなかった。

「すいません、35ミストって言うのは、、、、」

「ん?、あれだよ。」

 そう言っておばさんが指差したのは白い塊に黒いものを貼り付けてたようなやつだった。

「何ですか?あれ。」

「あれはな、おにぎりって言うんだよ。」

 おにぎり、一体何から作っているのだろう。

「安全何ですか?ちゃんと。」

「もちろんですよ。これ普通のお米からできているんですよ?」

 お米、確かに流通はしているがあまり美味ではないとの話だったはず。

 まあ、ものは試してだ。買ってみるとしよう。安全と言っているのだ、大丈夫だろう。

「おにぎり2つください。」

 70ミスト。格安だ。

 まあ、70ミストあればまあまあ宿で1泊できてしまう。やはり、食べ物の物価は高いな。

「はいよ。70ミストだよ。」

「はい。」

 私はそう言って馬車の方へと戻った。

 結構時間ギリギリだったが最後に走ってなんとか間に合った。

3日に1回ペースで投稿しようかと。

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