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異世界の盗賊。  作者: 佐藤 崇 satou takasi
ダズデラ王国と記憶の種
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第2話 アルバイト

 アルバイト、日本では正規雇用された方がいいとされているがこの国では違うらしい。

 アルバイトを掛け持ちした方がより多く稼げるらしい。

 ずっと同じ職に就いているのは、個人営業のお店の人達が主だ。

 他は大体が日雇いで、もっとも多く稼げるとされているのが「ハンター」と呼ばれる人達だ。彼らは猟師では、難しい獲物。つまり、魔獣の討伐を行う。

 魔獣というのは、ただの動物に魔力が取り込まれそれが限界を超えたもののことだ。つまり、体内に魔力が有り余っているのだ。危険極まりない。

そんな奴と戦うのだから必然的に荒くれ者は多くなる。だからそういう輩をなんとかするためにセントラストは存在するわけだ。

 まあ、僕達にはできるわけもない。

 普通にアルバイトを探すだけだ。

「ショウマ君、ショウマ君、あれ面白そうじゃない。」

 そうやってレイさんが、指を指した先には高級そうな料理店があった。

 お洒落な感じで、食事1回で1000ミスト(10000円)はかかりそうだ。

 給料は良かった、が、皿の1つでも割った暁には、とんでもない量のお金が吹っ飛びそうだ。僕達にはそんな余裕はない。

「却下、リスクが大きすぎる。」

「んー、そうですか」

 先程から、ずっと高級そうな店ばかりだ。

 そういえば、地図。見渡すと通りの突き当たりのところに看板があった。

 看板を見て、僕は納得した。

 どうやらここは高級住宅街らしい。そのためだろう大きな家が立ち並び壁の色も明るいイメージの白が多い。

 商店街は、ここから10分程の場所にあった。

「マミルス商店街」それがこの商店街の名前だそうだ。町の名を冠したこの商店街は、1つの通りに所狭しと店が出ている。屋台もあれば建物もある。全体的に乱雑なイメージはするが、それがまたいい。

それに、

「おお、たくさんアルバイト募集してるね」

 たしかに、募集は多かった。

 しかし、問題もあった。どれもこれも1日働いて給料が400ミスト(4000円)程、さっきまでは1日5000ミスト(50000円)とかだったのに。一気に値下がりした。

「あれよくない?1日650ミスト(6500円)。」

レイさんが指差した先には《ボノル》と木の看板にダイナミックな文字が踊っていた。高級住宅街の中と比べると安いが、商店街の中では断然高い方だ。

「んー、他のも見てみよう。決めるのはそれからでいいと思う。」

何も焦る必要はないのだ。人間というのは意外と空腹には耐えられるのだとどこかの本で読んだ。まあ、結構ヤバイが。


 それ以外にも見たが最初のものが1番まし、ということでその居酒屋ボルノでアルバイトとなった。

 居酒屋に入った途端に今まで忘れていた空腹感が押し寄せてきた。いたるところで色々な人がご飯を食べていた。その料理達から漂ういい匂い。

僕はこの誘惑に耐えきれるだろうか。

 かなり際どいところだろう。

「俺がここの店主、トバイだ。今日1日頑張ってくれ。あ、賄いは1日1回お昼の時だ。」

「わかりました。」

 レイさんも頷く。とりあえず今日から1ヶ月の契約だ。

 それでは、アルバイトスタート!

 僕の仕事は、簡単だった。使い終わった皿を運んできて洗う。それだけ。少しふらついて食器を割りそうになるが単純作業なのでまだマシだ。

 レイの方は注文を受ける係をやっていたが、注文を覚えるのが大変そうだった。メニューも居酒屋にしては多い気がするが、なんと100種類ぐらいもある。

 そんな風になんとか働くこと3時間。とうとう、賄いの時間は、やってきた。食料がこの辺りでは高いらしいので賄いが出ている店はごく僅かでボルノは待遇がいいのだろう。それだけ人が必要だったのか。

賄いは、おかわりも自由でボリュームもある。丸一日何も食べないで、過ごしたために空っぽだった僕のお腹は賄い、「フィッズ」というチキン南蛮風の料理によって満タンになった。甘辛のソースと鶏肉に似たお肉がよくあっていて、とても美味しいかった。心残りは、ご飯がないことだろう。そもそもこの辺りはご飯ではなくパンが主流のようだ。

 店の営業は、深夜まで続く。

 この世界には、労働基準法なんてものは存在しない。

 時間外労働?なにそれ?、な世界なのである。

 まあ、悪いとは思わない。そっちの方が多く稼げるのだから。

 夜になると、やばい人達も来ると思うがレイさんは大丈夫だろうか。

「おい、さっさと仕事に戻れよー」

 店主の声が聞こえてくる。

 仕事に戻らねばならない。僕は膨らんだお腹とやる気を持って職場に戻った。


 夜、仕事が終わった僕達は宿を探して街に出た。

 結局、変な人と言えば仙人のような見た目のくせにガハハハって笑う人ぐらいだった。レイさんに色々話しかけていた。どうやら結構有名人らしく、周りの人からもヒソヒソと言われていた。危険な人ではないらしく止める人はいなかった。

 他にもレイさんに絡む人はいたが、絡み方がアレで他の客の罵声を浴びていた。

 レイさんも1日で人気が出たものだ。確かにボルノには女の店員はいなかったし今までもいなかったらしいから当然だろう。レイさんは、結構かわいいし。

 夜の街、危険なイメージがあるかもしれない。しかし、どうやらマミルスは違うらしい。この辺の住人は団結力が強く何かやらかすと集団の力で反撃するらしい。それが抑止力となり荒事は少ないのだとか。たくましいことだ。

 街の宿は、商店街の近くに集まっていた。ボルノからすぐだ。

「ショウマ君、ショウマ君、あれ。」

 レイさんが指差した先には、宿の看板があった。

 《格安宿。1泊75ミスト。食事は無しですが追加料金で食べられます。》

 うん、いいだろう。1泊750円は安い。壁が結構汚れているが中はさすがに綺麗だろう。

「いい宿だね。あれにするか」

 僕達は、看板の通りに進んでいき、特に苦もなく10日分を予約した。

 もちろん別室を。

 これで、先々には心配があるが生活はできるようになるだろう。そう思って僕は自分の部屋へと入った。

中に入ると少しカビ臭かった。それにいたるところが黒ずんでいる。何より何もない。ベッドもないのだ。

この部屋に住むのは厳しいな。まあ、少なくとも今夜はこの部屋で寝なくてはならない。

とりあえず床にごろ寝してみると、案の定床は汚い上に硬く、寝心地は最悪だった。

 10日間こんな場所で寝るのはマジでいやだな〜、そんなことを思いながら僕は眠りについた。

次に出すのは3日後

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