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異世界の盗賊。  作者: 佐藤 崇 satou takasi
ダズデラ王国と記憶の種
10/12

第10話 国境越え

遅れてすいません

 国境が見えてきたのはお昼ご飯を食べている時だった。

 僕とレイさんはお腹が空いていて早めに食べていたため、周りの人の声で気付いた。

 国境には3mほどの柵がありそう簡単には超えることはできなそうだった。それに門にはしっかりと国の宮廷魔導師が2人いた。

 1つの関所に宮廷魔導師を2人も配備するということは、宮廷魔導師は少なくとも200人はいるということだ。国境に100人ぐらいいて、同じ数が中央にいるだろう。

「なんか、、、物々しいな」

 近くにいた商人らしき人が呟く。他の人の顔も関所が近づくにつれて暗くなっていった。


 関所に着くと、この馬車隊の隊長が馬車から降りて関税と荷物検査を受けに行った。

 しかし、すぐに戻ってきてしまった。不安が頭をよぎる。そしてその不安をすぐさま現実のものとなった。

 馬車隊の隊長から全員集合の命令がかかる。そして

「皆さん申し訳ありませんが、皆さんはここで降りるかマミルスまで戻っていただくことになります。昨日の夕方にロッジがアーデミナルからダズデラに向かっているとの情報が入ったようで、この辺りの関所では厳戒態勢が敷かれいます」

 ロッジ・マーテル。レイさんやレースさんを誘拐した張本人。彼の目的は不明だが、連続強盗殺人犯として有名となった。

 それに彼はそのふざけたような技能で衛兵隊の包囲網を突破するのだ。お陰で衛兵隊を無能呼ばわりする人もいる。

「ロッジがこの近くに潜んでんのか」

「ロッジはまずい。あいつに狙われたら終わりだ」

 周りが騒然とする。急いで馬車に戻る人や、関所に直談判をしに行く人もいる。

 その様子をぼーっと見ていると、肩を叩かられた。叩いたのはレイさんだ。

「あなたのテレポートを使えば私達2人なら運べたりしない?」

 僕の魔力量は約10万。全て使っても、運べるのはせいぜい大きめのリュック1つだ。

「無理だね。それには30万ぐらいは必要だと思う」

 レイさんはその言葉を聞いて落胆する。まあいい案だとは思うが、僕の力はそんなに使い勝手はよくない。

 僕達はもちろん街に戻ることにした。ここに残るというのはこの関所の監獄を1時的に使ってなんとか無実を証明し突破するということだ。

 わざわざ監獄に入って2日も3日も尋問は受けたくない。


 帰るにしてもどうせならということで、多数決をとりしばらく近くで遊ぶことになった。

 この辺りには川も流れている。モンスターも少ない。遊ぶには絶好だろう。

「レイさん、ちょっとモンスター探さない?この力がどのくらい使えるのか気になる」

「うーん、それ単体の敵相手なら最強だと思うけどなぁ。相手の体内に無理矢理突っ込めば」

「なるほど、やってみるか」

 そうして僕達は、遠くに見える森に入った。森には魔力が集まりやすのでモンスターもできやすい。

 はずだったのだが、ここは魔力濃度が低すぎる。モンスターは全然いない。

「いないねー?」

 レイさんが間延びした声で言う。

「そうだなー。やっぱり、いないねー」

 僕も同じ感じで返す。

 そんな間延びした会話をしていると森のかなり奥深くまできてしまった。太陽の出ているうちは迷うことはない。

 周りの木々が苔で覆われるようになってきた頃、とうとうモンスターを発見した。

 野良猫のモンスターだった。

 動物はモンスター化するとサイズが大きくなり、角が生えたりする。この猫は、大型犬ぐらいの大きさだった。

 そして、

「こ、こわいこわい。なにあの猫、牙見えてんですけど」

 レイさんが怖がるのも分かる。その猫には20cmはある牙がついていた。

 あんなもので噛まれた暁には、牙は簡単に指を貫通するだろう。危険極まりない。

「とりあえずあの牙落とすね」

 僕はそう言うと、近くに落ちていた石を拾って相手の牙のあたりに魔力を集中し始める。それと同時にこちらの近くにも、魔力を集中させる。

 相手が唸り声を上げて、じりじりと迫ってくる。そして、高く跳躍する、その寸前で僕がやっていた魔力の集中が完了。

 テレポートを発動した。その結果、相手の大きな歯は真ん中のあたりでポッキリと折れた。

 そのことに驚いたのだろう。猫のモンスターはくるりと背中を向けて逃げていった。

 深追いはせずに僕達は帰ることにした。もうそろそろ馬車の出る時間のはずだ。

「レイさん、もう馬車に戻るよ」

 僕は猫のモンスターの牙に夢中になっているレイさんに声をかけた。

「うん、ってあれ?」

 レイさんが牙を拾って空を見る。それにつられて僕も空を見上げて、レイさんの言葉の意味が分かった。

 ピクニック日和で青空だった空には今や大きな雲がかかり太陽の位置は分からなくなっていた。大体の方角しかわからない。

 とりあえず、走って戻ることにした。大体の方角はわかるので少し遠回りになるかもしれないが、時間にはまだ余裕がある。


 時間には余裕があった。それは事実だ。しかし僕達はかなり遠回りをしてしまい、森から抜けたのは国境の柵の近く。馬車があるところとは真逆の方角だった。

 多分はじめに1回確認してその後、確認していなかったからだ。そんな凡ミスで僕達は馬車に置いていかれてしまった。

 その上この辺りには夜行性のモンスターがいると噂になっているのだ。

 夜行性のモンスターというのは珍しいものではないが、この辺りのは本当に夜、月の明かりも無いような場所にしかいないのだ。

 魔力濃度が薄いので生き残るための術だったのだろう。



 この辺りのモンスターは強くはない。しかし、できることならここで国境を超えてドミノンに行きたい。ここからだと関所よりドミノンの方がかなり近いのだ。

 まあ、野営の準備なんて持っていないから無理だが。

 そんなことを考えていると

「ねえショウマ君、あれってもしかしなくてもモンスターだよね?」

 全くなんでこの辺りはこんなにも猫が多いのだろう。普通の猫も森の中にかなりの数がいた。

 そして、今僕達が対峙しているのは僕の記憶によればハクビシンに似た生き物だった。違いは体長が1m50cmぐらいもあることと全身の毛が白いことだ。夜行性なのに白いとは、、、

「モンスターだね、それもなんか強そうなんだけど」

「うん、やばいね。私達」

「ああ、そうだね。それじゃあ」

 僕達は猛スピードで柵へ走り出した。あんなクマ並みに大きいやつとは、やり合いたくない。

「死にたくなけりゃ、急いで逃げろ」

「分かってるよ」

 後ろを向くとすごいスピードで特大ハクビシンが迫っていた。

 そして、僕は魔力を集中させ始めた。狙うは相手のお腹、内臓がありそうなところ。

 そこへ小さなナイフをテレポート。使い捨てになってしまうので、森の中では使わなかったものだ。

 切れ味抜群。ハクビシンはなすすべもなく、倒れたりはしなかった。内臓を外した。

 ここから関所まで逃げるのには無理がある。それまでには追いつかれるだろう。

「私も足止め手伝う」

 そう言ってレイさんは魔法を使うが、なぜかその表面で流されてしまう。

 この辺りに強いモンスターはいないって言ったの誰だよと、心の底から思った。

 僕は走りながら国境を越える方法を考え始めた。まず、柵には常に魔力が通っており触れたらすぐにバレる。

 しかし、触れなければバレるはずはない。それを使うことにした。

 柵の一部をテレポートするのだ。そしてできた隙間から通り塞ぐ。これで特大ハクビシンは撒けるだろう。

 柵が視界に入り、構造がわかるようになると僕は魔力の流れが切れないように柵に魔力を集中させ、テレポートした。

「柵の下の方に隙間できたから、柵に触んないように潜って」

 レイさんに叫ぶ。レイさんは持ち前の運動神経で僕よりも先を走っている。

「分かったー」

 特大ハクビシンは僕達の後ろ50m程。柵まではあと500mぐらい。

 三日月の弱々しい光に照らせて、柵に空いた穴は簡単に視認できた。

 レイさんが柵を潜る。それを見て、僕は柵を元に戻すべく魔力の集中を、開始した。

 そして、潜ると同時にテレポート。元通りだ。モンスターと人間では魔力の波長が違うとザーバンさんが言っていたから、モンスターはぶつかっても大丈夫だ。

 ここから、ドミノンまでは20kmぐらい。徹夜で行けば昼には間違いなくつけるだろう。夜ご飯は、昨日作っていたお弁当だ。水は水筒に満タンだ。2人で5Lぐらいある。

「いっそのこと、ドミノンまで歩いていかない?」

 僕はレイさんに提案する。もしこれで見つかれば、怪しまれ大変な目に遭いそうだ。

「そうね。見つかったら面倒だしね」


 僕達はこんな形で国境を、越えることとなったのだ。

できれば次は9月6日に更新したいと思います。

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