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亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: 光秋
第八章 王者・無双編

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741 ホブゴブリン対姫騎士


「二試合目はホブスラスト対クリス嬢! 次はどんな結末が待っているのかッ」


 二人の戦いが始まった。

 クリスの剣筋は先程のアリスに比べればまともであった。

 だがそれでも目の肥えた者なら実力は巷間にひしめく並の戦士と大差ない。

 いや、それよりも劣ると見るべきではなかろうか。

 しかし先の戦いの結末を見ているからか、ホブスラストの戦い方は慎重であった。

 クリスの剣を受けようとはせずに避けることに徹している。

 また相手をおちょくるような煽り行為も一切見せなかった。

 両者の戦いはしばらくの間、クリスの攻撃を注意深くかわし続けるホブスラストという構図が続いた。


「さっきの試合、どうして突然に斬れたと思う?」


 ウシツノがダーナとアナトリアに聞いてみたが二人とも答えを返せずにいた。


「わかりません。相手の油断はもちろんありましたけど……」

「だがクリティカルヒットは的確に防御していた。でなくとも、上半身を真っ二つとは出来すぎだ」

「だよなあ」


 アナトリアの見解にウシツノも同意見だった。


「でも……」

「ん? 何か気になったか、ダーナ?」

「彼女たちの振るうあの剣、とても美しいと思いませんか? すごく薄い刃で、透き通るような、まるで氷みたいで」


 確かに美しい剣だった。

 クリスの剣とアリスの剣はとても似ていて、おそらく同種の業物だろう。

 刀鍛冶の里が出身であるダーナは最初から剣の美しさに惹かれていた。

 決して振るう者の太刀筋は褒められたものではなかったのだが。


「あの剣に秘密があるのかな? 魔剣の類だろうか」

「あ、どうやらさっきの試合とは違う展開になってきましたよ」


 ダーナの言うとおり、それまで避けに徹していたホブスラストが攻めに転じたのだ。

 クリスの剣の技量を見定め、当たらなければ怖くはないと判断してからは自ら攻勢に出たのだ。

 形勢が逆転していた。

 万がイチ一撃でも鍛え抜かれたホブスラストの打撃を受ければクリスの肉体などひとたまりもないだろう。

 骨は砕け、内臓が破裂し、即死もあり得る。


「彼女らの動きだがな、どこかエレメントアーツに通じるものがある」


 アナトリアが戦況を見つめながらそう言った。


「エレメンタルアーツ?」

「エルフ族が使う格闘術だ。精霊の力を具象化して攻撃に転化するんだが」

「じゃああの娘たちはエルフ!」

「だとしたら見た目通りの年齢ではあるまいな」

「ウシツノ様はエルフのお知り合いがいらっしゃいますの?」

「いや……どっちかと言うとエルフを敵視している方と知り合いに近いかな」


 エスメラルダはセンリブ森林のエルフに手を焼いていたと銀姫に教えてもらったことがある。

 もし彼女らがエルフだと言うのならば、益々ウシツノには心当たりがなくなるのである。

 そのとき会場中が一瞬にして息をのんだ。

 ホブスラストの強烈な一撃がクリスの顔面にクリーンヒットしたのだ。

 誰もが無残な結末を見た。

 頭がザクロのように破裂しただろう。

 あの見目麗しい可憐な少女の顔を二度と見ることはできないのだろう。

 まさしく!

 ホブスラストの右ストレートはクリスの頭部を弾き飛ばし、無数の飛沫にしてしまった。

 頭を失くしたクリスの身体がくずおれるのだと思った。


「ギギッ!」


 が、そうではなかった。

 頭を失くしたクリスの身体は止まることなく、そして倒れることもなく、先のホブメン同様に驚愕するホブスラストの身体の方が縦に真っ二つに裂けてしまったのだ。

 クリスの剣によるものだった。

 左右に分かれて倒れるホブスラストの向こう側には水が寄り集まるようにして、クリスの無くなったはずの頭部を形作っていた。

 まるで最初から何もなかったかのように、ゆっくりとほほ笑むクリスの顔がそこに見られた。


「勝ちましたわ」


 そう勝利を口にした。


「に、二連勝ォッ! Aブロック一回戦第二試合はよもやの双美姫による連勝でホワイトナイトチームの勝利ダァ」

「ガァーッ」


 チームメイト二人のホブゴブリンが共に両断されて朽ちるという結末に残ったひとり、ホブロフが吠えた。

 そしていまだ試合場に残るクリスにめがけて襲い掛かったのだ。


「またこの展開かよッ」


 とっさにウシツノが刀に手を伸ばしたその動きよりも先に、クリスの前に白髪の老騎士が立ちふさがっていた。

 構わずにホブロフが老騎士に攻撃の手を繰り出した。

 その瞬間、老騎士の右腕だけが大きく肥大した。

 それは象の足のような形となり、さらに人よりもはるかに大きな太い柱のようなサイズにまで膨らんだ。

 その図体を活かして迫ったホブロフを地面に押しつぶしてしまった。

 太い柱ぐらいの象の足のようなでかい老騎士の右腕の下でホブロフの血と内臓が飛び散っていた。

 老騎士はなんでもないといった風で腕を元に戻すと、取り出したハンカチでこびりついた血を拭い、手をきれいにした。


「何者だ……あのじいさん。右手だけだけど、まるで巨大な……まさか」


 騒然とした試合場をあとに、勝者となった老騎士と双美姫は退場すると、ウシツノの前を通り過ぎる際に丁寧な会釈をした。

挿絵(By みてみん)


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