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亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: あずえむ
第八章 王者・無双編

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685 妖精女王を討つ


「てなわけだ」

「…………」


 そう話を締めくくったシャマン。

 じっと黙って聞いていたウシツノ。

 リオの魔物飼育場の一角、枯れ草がまばらに生えた柵の中に、一行は車座になってこの数ヶ月の経緯を話していた。

 語りては主にシャマンで、聞き手はウシツノだ。

 他にこの場にいるのはウィペットとクルペオ、それからダーナだ。

 リオは気を使って母屋に籠っている。

 レッキスとミナミはラゴに案内されて街へと繰り出した。

 メインクーンは盗賊ギルドへの挨拶だ。


 話が終わってからしばらく経って、ようやくウシツノは考えの整理がついた。


「とんでもなさすぎて、理解が追い付かん」

「あーそーだろーよ。体験したオレ達すら同じ気分だ。いまだに」


 獣人ガトゥリンの居た、堕ちた宮殿で魔女オーヤに導かれ、宇宙に漂う浮遊要塞ゴルゴダに向かった。

 そこには多くの薄気味悪い使い魔を従えたズァがおり、たくさんのチューブに繋がれ磔にされていた金姫と桃姫がいた。

 魔女は姫神に転身してズァと戦い、シオリはとてつもなく高い位置の天井に現れた巨大な顔と戦ってマユミとミナミを救出した。

 そのあとは魔女の術技(マギ)で逃げるように黒い門に飛び込んだが、突然術が解けるとミナミとシャマンたち、それとアカメだけが荒野に投げ出されていた。

 アカメはハイランドへ帰り、シャマンたちは冒険者として旅を再開したという事だ。


「それでシオリ殿が無事だと言い切れるのか?」

「アカメがそう言ってたんだ。だからきっとそうなんだろう」

「あいつの洞察力は図抜けている。信じてよかろう」


 シャマンだけでなくウィペットにまでそう断言されてはウシツノにそれ以上の反論はできなかった。


「今頃はハイランドに帰国しておるやもしれんではないか」

「そうさ。クルペオの言うとおりだぜ。な」

「……うん……」


 そうは言っても内心でウシツノ自分を責めていた。

 不甲斐ない。

 いい気になってハイランドをひとり飛び出したものの、まあバンも一緒だったが、それからの数ヶ月に何をしていたというのか。

 今ではそのバンとも離ればなれ。

 気付けば闘技場(コロッセオ)で剣闘士になっている始末。


「で、おめえはどうして剣闘士なんてやってるんでい?」

「しかもチャンピオンとはな」

「レッキスの奴が複雑な顔をしておったの。傑作じゃわ」


 当然向こうもこちらの経緯を知りたいと思うだろう。

 しかしなかなか言うのもはばかられるほどに屈辱的な気分である。

 それを察したのか、ダーナがウシツノの背中をポン、と叩く。


「素直にありのままをお話すればよいのではないでしょうか。この方たちはウシツノさまの力になってくれると思いますよ」

「ダーナ……」


 それで葛藤が止み、ウシツノはこれまでの経緯と、そして今どうしたいのかをシャマンたちに話して聞かせた。

 それは優れた冒険者であるはずの彼らをすら、ある程度怯ませてしまうものだった。


「マハラディア王国が滅んだ元凶……?」

「妖精女王ティターニアを……討つ、と言うのか……」


 ウシツノの中に様々な光景が巡っていた。

 寂れた漁村で幼馴染を心配する少女の涙。

 一様に改造手術を施された〈アリの巣〉の兵隊たち。

 心を寄せていた許嫁(フィアンセ)と、信頼を置いていた将軍に裏切られ、民衆から多くの罵声を浴びながら消息を絶った親友と呼べる亡国の王。

 そしてほかの六人の姫神とは明らかに異質な姫神、どこか悲し気な印象を与えてくれる藍姫サチ。


 冷や汗交じりにおののくシャマンとウィペットに対し、ウシツノは身を乗り出してこう言った。


「ひと月後に大闘技会が開催される。その期間がチャンスなんだ。オレは妖精女王を討つ」


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