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亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: 光秋
第七章 神威・継承編

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575/721

575 beast egg 【魔獣の卵】

「女ッ!」


 ウシツノは絶句した。

 牛頭族(ミノタウロス)とニンゲンの女が付き合っているのか。


「ネダさんは最初、わたしに親身になってくれようと近付いてきました。やがてわたしに父を治す秘薬の話を教えてくれたんです」

「秘薬?」

「ユニコーンの角を使えばどんなケガや病気も治るって。でもすっごい高価で、珍しいから手に入りにくいって」


 角の生えた精霊馬である一角獣(ユニコーン)の角は万病に効くという。

 それゆえに昔は乱獲され、高額で取引されていた。

 さらに中には鹿の角や牛の蹄を粉末にして、ユニコーンの角と偽るような事例も数多い。

 現在ではユニコーンは砂漠の古王国エスメラルダ最高戦力、翡翠の星騎士団の四人の処女騎士が跨る四頭以外に生存は確認されていない。


「それの入手先を教えてくれるって言われたんです」

「ネダにか? どうやって」

「ネダさんはマラガの盗賊ギルドに伝手があるらしく、こういった珍しい品を売ってもらうことは可能だって」


 しかしそれには法外な値段がかかる。

 そこでネダは一計を案じた。


「レア種の、魔獣の卵を交換に差し出せばユニコーンの角を手に入れられるって」

「魔獣の卵?」

「それで、わたし、父にもピースウイングさんにも内緒で、その、ネダさんに……」


 仲介を買って出てくれたネダにリオは魔獣の卵をいくつか渡してしまったそうである。


「それって相当ヤバイことなのか?」


 ウシツノの質問にリオは肩を震わせる。

 眼からはとめどなく涙が零れ落ち始めた。


「わたし、魔物使い(モンストルテイマー)として、やってはいけないことをしてしまったんです」


 魔獣は本来危険な存在なのである。

 それを調教し、見世物にすることができるのは魔物使いだけなのだ。

 もしその卵が危険人物の手に渡ったとしたら、どんな災難が起こるか想像に難くない。


「それで、ユニコーンの角は約束通り手に入ったのかい?」


 リオが首を横に振る。

 ネダはなんだかんだと理由をつけて、いまだにその角を手に入れた気配すら見せていないそうだ。

 おそらくリオは騙されているのだろう。

 魔獣の卵はとっくに売り飛ばされているかもしれない。

 しかし魔物使いとしての負い目と、父親に対する一縷の望みにすがる彼女は今やネダの言いなりになるしかなかったのだ。

 牛頭ブロウと共謀してのことであれば、なんとも卑劣な行いである。


「リオ。オレは試合でダーナに危害が及んだことが気になってここにきた」


 ビク、としてリオはウシツノの顔を見た。


「だが真に許せない相手が誰なのかがわかった」


 そう言ってウシツノは立ち去ろうとする。


「オレの知り合いにどんなケガも治せる女の子がいるんだ。今すぐって訳にはいかないが、ここを出ることが出来たら必ず連れて戻ってくる。だからもうあいつらとは関わるな」

「でも、そうは言っても……」

「安心しろ。あいつらは時機に、いなくなる」




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 闘技場(コロッセオ)コランダム中が新たな話題で持ちきりになった。

 今週末のメインイベントに興味深い対戦カードが組まれたためだ。


 闘技場始まって以来、暴虐の限りを尽くす牛頭族(ミノタウロス)の牛頭ブロウと、話題のルーキー、剣聖ウシツノが衝突する。

 四戦四勝プラス無効試合一勝のウシツノと、四十二戦無敗の牛頭ブロウ。

 体格差は三倍。

 戦績は十倍の異色のカードである。

 現在までの賭け率(オッズ)同率(イーブン)

 勝敗は誰にもわからない。


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