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亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: あずえむ
第六章 英雄・奇譚編

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521 アマンと不思議のダンジョンその20 仕切り直し


「炎使いのアユミが〈最強の炎〉というやつを探すっていうのは、まあ、わからなくもないよなぁ」


 アマンが天井を見ながら考える。


「で、その〈最強の炎〉というのは〈七つの炎〉で封印されている〈トレジャー・ギア〉というお宝を解放するのに使えるってわけだ」

「そうです」


 オンラクが首を縦に振る。


「で、その〈トレジャー・ギア〉とはなんなの?」

「知りません」


 オンラクが首を横に振る。


「ふぅむ」


 アマンが腕組して首をひねる。


「アユミはともかく、あのエルフたちの目的はきっとそのお宝だな」

「そうなのか?」

「アユミはエルフの女王に言われて修行に来たと言ってたけど、そんなのアユミらしくないだろ?」

「わしゃ、それほどあの娘のことを知ってるわけじゃないしなぁ」


 チチカカは困り顔であごを掻く。


「あいつはそんな力を求めるような奴じゃないさ。きっといい様に利用されてるんだ」


 (かめ)から這い出るとアマンは装備の再点検を始めた。


「なんじゃ、また行く気か?」

「あたりまえだろ。あんな奴らと一緒にいたんじゃアユミが心配だ」

「そんなにおかしな連中なのか? エルフっちゅうんは?」

「とっても風変わりな連中だったよ」


 身支度を終えたアマンがレイを振り返る。


「オレ行くけど、お前どうする?」

「どうって?」


 レイが困った顔をする。


「いや、バックパックはあの場所に置いて来ちゃったし、もうこの長櫃から逆行しようたって駄目だぜ」

「……」

「入るたびに構造が変わるダンジョンだし、別々に入ったら中で合流は難しいと思うんだ」

「それって……」

「だからさぁ」

「私も一緒にって、こと? いいの?」

「あ、ああ。お前さえよければ」


 レイの口元がほころんだ。


「う、うん。行く」

「言っとくけど、オレはアユミを助けたいんだ。あいつ、なんかお前のこと勘違いしてたみたいだけど、それでも、平気か?」

「……うん!」


 少しだけど、レイは力強くうなづいた。


「よし、じゃあ行こう」


 アマンとレイは連れ立ってダンジョンへと向かった。


「おやっさんは留守番しててくれよな」

「わしゃ行きたくなんかないわい」


 アマンはそこまで気づいたりはしないが、レイは内心喜んでいた。

 レイからはアユミに対するわだかまりはほとんどなかった。

 それどころか同じ日本からこの世界に迷い込んだ同胞として、できれば仲良くなりたいと思っていた。

 レイが知る姫神はアユミを除けば後はシオリぐらいだ。

 白姫としてレイと同じタイミングでこの世界に来たシオリは、レイよりも年下なのに、ずっと早くに順応していた。

 本来なら自分が彼女を慰めてあげるべきなのに、そうでなくともせめてお互いをいたわり合うべきだったのに、自分は助けられてばかりだった。

 暴力と理不尽に翻弄されてきたレイにとって、だからアユミを助けるという目的は、とても活力を与えてくれる目的となった。

 それにアマンから、一緒に来いと、言ってもらえた。

 自分がみんなの助けになれる。

 そう思うと恐怖よりも喜びの方が勝るのだ。


「目指すはトレジャー・ギアとかいうお宝だ。それがどんなものか知らねえが、きっとアユミもそこへ向かっているはずだからな」


 アマンは入り口で、仕切り直しとばかりに気合を入れなおした。

 同時に覚悟も決める。

 今までは死んでも不死身のラー・シャイとなったアマンはマグ王の宮殿で復活することができた。

 けれど今度はレイが一緒にいる。

 自分が死んでしまったら、レイを守る者がいなくなる。

 もしかしたら二度と会うことも出来なくなるかもしれない。

 だからもう、次からは死に戻りは許されない。


「よし、行こう」

「はい」


 二人は不思議のダンジョン〈ジャハンナム〉へ、いま一度、踏み込んだ。


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