表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: 光秋
第五章 怪神・円環編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

445/722

445 強制解除


「マグ王…………」

「お久しぶりです。ユウ。いえ、オーヤ」


 光の(もや)に包まれた、猫の頭をした貴族。

 物腰は一見柔らかそうだが、しかしこちらを見下ろす瞳は鋭い。


「四百年ほど経ちましたか」

「そうね。だいたいそうね」

「ふふ」


 マグ王が笑う。


「ずいぶんと姿()()()()()()()()が、ご健在のようでなによりです」

「ありがと」

「しかし姫神と言えど人間の寿命を大きく越えることはありません。その執念とでも言いましょうか、やはり貴女は特別だった」

「ブルーカーバンクルを盗み出したこと、まだ怒ってるのね」

「確かにそれもありますが」


 ふぅ、とマグ王がひとつ息を吐く。


「それ以上に我々の邪魔をしたことが許せません」


 マグ王の言葉はとても静かなものであったが、内に押し込めた怒りのほどをシオリは敏感に感じ取っていた。

 マユミも同様、状況が飲み込めず、二人のやり取りを見守る以外どうしようもなかった。

 ただ、どうやら不穏な情勢は翻せそうにない事はすでに覚悟していた。


「邪魔なんてしてないわ」

「空間を航る貴女の力は大いに評価していたつもりでした。だが甘かった。よもや<心>の施す<姫神召喚の儀>にまで干渉できるとは思いませんでした」

「あらあら。それは甘かったようね」

「貴女の力はもはや神にまで及んでいるようです。おかげで私どもがお迎えするはずだった黒姫を、まんまと貴女にかっさらわれてしまいました」


 レイのことだろうか。

 シオリは必至に会話に着いていこうと想像を巡らす。


「さらに貴女は我々の目から一年以上も黒姫の所在を隠しおおせた。素直に感嘆いたしますよ」

「でも今はそちらにお邪魔しているようね。()の黒姫」

「ええ。()()の黒姫ですのでね」

「なら迎えに行くわ。保護してくれてありがとう、マグ王」

「最初に言ったはずです。あなた方の我が城への入城はお断りさせていただくと」


 パチン、とマグ王が指を鳴らした。

 突然シオリは足元から更なる暗闇に落下する感覚を味わった。

 見上げていたマグ王が光と共にみるみる小さく遠ざかっていく。


「貴女の黒の門(バックインブラック)は強制解除させていただく。以後、いかなる理由があろうと、深谷レイに近付くことを許しません。あしからず」


 マグ王のセリフをシオリは最後の方は上手く聞き取れなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ