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亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: 光秋
第一章 姫神・放浪編

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044 飛べ! タイラン


「急げェ! 一刻も早くモロク王の元へ帰参するのだァ」


 満身創痍のボイドモリだったが、黒姫の奪還という命令を果たせた喜びからか、怪我の痛みも忘れて陣頭指揮を執っていた。

 残った部下は三人だが、ひとりはインバブラに剣を突き付け行動を監視している。

 別のひとりはレイを抱え上げて運んでいた。

 レイは後ろ手に縛られ、口いっぱいに木の葉を押し詰められた上から何重にも縄を巻かれた形で猿轡をされている。

 騒ぎ立てることも、下を噛むこともできないように処置をされ、観念したようにグッタリとしていた。


「カエル! この道で間違いないなッ」


 ボイドモリの詰問にインバブラは恐る恐る頷いた。


「あ、ああ。洞窟を経由しないならこの道が最短だぜ」

「ふんッ」


 夜が明けた森の中をトカゲどもは比較的早いスピードで移動していた。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「奴ら、どの道を通ると思う?」


 ウシツノがアカメに尋ねた。

 ゴズ連山の山道はいくつもの支道や獣道が樹木の枝の如く張り巡らされている。

 追跡するのにどの道を選ぶべきかは慎重を期す必要があった。


「私たちを警戒しているでしょうし、気持ち的にも早く駐屯地であるカザロ村に戻りたいはずです」

「一番距離の短い道を選ぶか? だが……」


 しばしウシツノも考え込む。


「だが、トカゲどもがこの山の道を知っているだろうか?」

「インバブラさんが同行しているようですから」

「ああ、そっか。奴なら脅されれば簡単に道を教えるだろうな」

「なぜインバブラさんは殺されていないのでしょうかね?」

「ん?」


 一瞬、アカメの思考が冷徹に聞こえてウシツノは言葉に詰まった。


「そ、それはお前……道案内させるためじゃないのか?」

「ですかねえ?」

「とにかく、早道ならこっちだな」

「暗いですねぇ」


 ウシツノが指し示した先は今まで歩いてきた道よりも幅が狭く、左右に生い茂る木々もより一層に濃さを増していた。

 そろそろ夜が明ける頃合いだ。

 暗くても明かりをつけてはトカゲ族にこちらの位置を教えることになってしまう。


「お前たち……」

「タイランさん」


 そこへ遅れてタイランが合流した。


「ナキの話だと黒姫を連れた奴らは数匹と言っていたな。私が空から先行する。見つけ次第仕掛けるつもりだ」

「わかりました。オレたちも全力で向かいます」


 タイランは木々の間を突っ切るようにして、上空へと飛び上がった。

 冷たい風が身を切る中、眼下の黒い森に目を凝らす。

 赤い羽根をはためかす、赤い装束のタイランの背に、一筋の光が差した。

 東の尾根の稜線が白い線を描き出す。

 朝日が昇ろうとしているのだ。

 風が吹き、初夏の朝に束の間の涼風を届けてくれる。

 タイランは朝陽の上る東に目を向けた。


「水仙郷はあちらだったな」


 目的地がわずか二日で覆されてしまった。

 だが今はそれを嘆く暇はない。

 タイランは、いや、クァックジャード騎士団は紅姫を追っている。

 紅姫は上手く覚醒することができず、今暴走状態でこの大陸を駆け巡っている。

 そのことを知っては必ず大きな混乱が招かれてしまう。

 だから騎士団は秘密裏に動く必要があったのだ。

 だがそれは表向きの理由だ。

 騎士団の上層部は姫神の存在とその価値を知っていて、そして騎士団の元に降臨した紅姫を何がしかに利用しようとしている。

 タイランはそれが気がかりでならなかった。

 だからこそ、ナキとコクマルを前にして裏切るような行動に出てしまったのだ。


「裏切者か。少したてついたぐらいのつもりだったんだがな」


 とはいえ今はそのことを考えている余裕はない。

 黒姫レイの状況は深刻だ。


「察するに、かなり神経を衰弱させているはず。下手をすると……アユミのように」


 暴走――。


 その言葉がタイランの脳裏をかすめる。


「早く見つけねば」


 タイランはより一層、眼下目を凝らしながらカザロ村方面へと羽ばたいた。

 少しでも動きがあれば即座に滑空する態勢であった。


 そして遠くに目標を発見した。



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