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亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: 光秋
第五章 怪神・円環編

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428 ナイトゴーントの巣


 ズズン……ン……


 遠くから何かの衝撃が伝わった。


「今のはなに」

「おそらくオーヤでしょう」

「あの魔女?」


 レッキスの問いにアカメは、はい、と答えた。


「誰かと闘ってるのか」

「チャンスだ。敵の注意が魔女に向かう。一気にミナミを探して駆けるぞ」

「危険にゃ! どんなトラップがあるかもわからないのに」

「どのみち構造も不明じゃあ、扉ひとつ罠の探知もままならねえだろ」

「にゅう」


 シャマンの指摘にメインクーンは返す言葉がなかった。

 罠どころか鍵の構造すらよくわからない有り様なのだ。

 この要塞は明らかにメインクーンたちの生きる時代、よく知る世界とは別物であった。


「こっちなんよ!」


 レッキスが先頭に立って走り始める。

 慌てて全員があとに続く。


「おいレッキス! なんでそっちってわかんだ」


 通路は三方向に別れ延びていた。

 レッキスは迷わず中央の道を行く。

 どの道も先行きは暗く見通せない。

 しかしレッキスは確信めいていた。


「こっちだって教えてくれるんよ」

「誰が?」


 背中に背負うミナミの大剣が小刻みに振動していた。


土飢王貴(ライドウ)!」


 突然暗闇が蠢いた。

 周囲の黒い鋼鉄の壁が、ザワザワと波打ったかのように見えた。


「危ないッ」


 ドン、とレッキスの背中を突き飛ばし、ウィペットが闇から伸びた鋭い爪を盾で防いだ。


 ギャリッン、と金属を引っ掻く嫌な音が響く。

 その音をアラームにでもしたのか、闇という闇からゾロゾロと黒い人影が涌き出てきた。


「な、なんだコイツら」

「全員黒一色たあ暗い奴らだな」


 そいつらはシャマンの言うとおり真っ黒。

 全身が黒いゴムのように艶光りする奴らだった。

 細身で小柄だが、長い腕の先は鋭い爪が伸び、背中にはコウモリのような小さな羽根、そして長い鞭のような尾があった。

 そしてなにより不気味さを醸し出していたのは、そいつら全員、目も鼻も口もない、黒いのっぺらぼうであることだ。


「なんにゃ、コイツら? 気味悪ッ」

夜鬼(ナイトゴーント)です」


 答えたのはアカメだった。


「中王国時代、悪魔召喚王として名高いロード・ゲインの書いた魔導書(グリモワール)『未知なる境界線の奥義書』に記載されていました」

「アカメそんなん読んでるん?」

「悪魔なのか?」


 ひき気味のメインクーンに反し、ウィペットは食い気味だ。


「下等な、ですが。故に一般人には恐ろしい相手ですが」


 アカメが一同を見回す。


「あなた方なら問題ないです。奴らは自由意思どころか個人の別すらありませんから、遠慮なく倒してください」

「お、おう!」


 いつもよりアカメの発言が過激に思われたが、今はそれを詮索している余裕もない。

 全員が戦闘を開始した。


「シオリさん。奴らは光に滅法弱いです」

「わかった」


 シオリもすぐさま神器シャイニング・フォースを握り締め、変身する。


「転身姫神、純白聖女(ブラン・ラ・ピュセル)


 シオリの閃光撃(アルゲス)は間違いなく有効だ。

 夜の闇に蠢く夜鬼(ナイトゴーント)に対し特攻がかる。

 シャマンたちは誰もが一対一でナイトゴーントを圧倒しているが、シオリの閃光激は決まるごとに三体以上を確実に吹き飛ばす。


「ぎょッ」


 思わず誰かが声を洩らした。

 閃光が一瞬、この先の暗い通路を浮かび上がらせたのだ。

 その時に見えた。

 壁という壁、そして天井に至るまで、黒い夜鬼がびっしりと折り重なるようにひしめいていたのだ。


「キモチわる」

「何匹いやがんだ」

「この先はコイツらの巣なのではないか?」

「レッキス?」


 レッキスは首を振る。


「ミナミの剣はこの先を示してる!」


 また一匹、相手を屠ったレッキスは、躊躇せず奥へと進軍する。

 だがその道は無数の悪魔が待ち構えているのだ。


「かぁぁ! どっか回り道はねえのかよ」

「今さら道変えたって追いかけてくるだけにゃッ」


 頭を抱えるシャマンだが、死中に活を見出す以外に選択肢が出てこない。


「シオリさんッ」

「うん!」


 アカメに言われるまでもない。


「なるべく外壁を壊さないように」

「やってみる」


 シオリが剣をしまい、両腕を交差させる。

 バチバチッ、とそこに電光が生じた。


「みなさん! 伏せてくださいッ」

「あ?」


 それはアカメの警告と同時だった。


「必殺! 稲妻光線ェン」



 ズガァァァァッッッンン!



「あぎゃァッ」


 全員が慌てて地に伏せる。

 シオリの腕から照射された稲妻光線が、右から上、上から左、と舐めるように掃射していく。

 激しい稲光と熱量に抗えず、瞬く間に黒い群れが蒸発していった。

 辺りにゴムが焼けるのと似た、焦げ臭い匂いが充満するが、おぞましい悪魔どもの姿も共に蒸発しきっていた。


「ふぅ。出来た」


 ニッ、とアカメに向かい笑顔でピースするシオリを見て、アカメ以外の全員が度肝を抜かれていた。

 シオリの本気の戦闘力を間近で見たのはこれが初だったのだ。


「ウィペット、どう見る?」


 伏せた姿勢のままクルペオが隣のウィペットに囁く。


「凄まじいの一言に尽きる」

「そうじゃが……」

「…………こう聞きたいのだろう? ミナミはシオリより強いのか、とな」

「そうじゃ」

「わからん。ミナミも人智を越えていたが、シオリはより実戦慣れしている」

「姫神同士は仲良くやっていけるものかのう」


 二人の懸念、その囁きはアカメの耳にも聞こえていた。

 だが彼は何も発しはしなかった。


「さあ、行くんよ! ミナミはあっちにいるってさ」


 勇んで立ち上がったレッキスが先頭を走り始めた。

 その後を全員がついていく。

 ミナミの大剣はより大きく振動を強めていた。


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