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亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: 光秋
第四章 聖女・救国編

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294 マギの条件


「エスメラルダがバル・カーンを利用しているのは明白です。ただし足並みそろえて、とはいってない様子」


 アカメは翡翠の星騎士団とランダメリア教団は必ずしも友軍とは言えないという。


「これまでのところ協力して合同作戦を展開している節が見当たりません。一見して別行動ばかりです」

「そう思わせたいのではないのか?」


 ウィペットの指摘にも首を横に振る。


「それならばバル・カーンが多少なりともですね、エスメラルダにも被害を及ぼす振りでもしなくては不自然です」

「そうだな」

「そもそもサキュラ正教がほとんどを占めるあの国が、邪教の集団を利用するとは国民が納得するはずもありません。大司教ライシカによる専横は国の内外で有名です。今回もそうである可能性が考えられます。そこでタイランさん」

「うん?」

「あなたにエスメラルダ女王サトゥエの説得をお願いします」

「応じるだろうか」

「傀儡として影の薄い女王ですが、大司教の横暴には辟易しているという噂も聞きます。第三者であるクァックジャードの言うことなら聞く耳ぐらいはあるはず。ハイランドから軍を退かせる見込みはありましょう」


 タイランはじっと考え込み、そして言った。


「やってみよう」


 戦場で剣を振るうより、大きな戦価となる。


「ただ、エスメラルダの王都エンシェントリーフまでは距離がある。時間がかかるぞ」

「ご安心を。昨日、女王はエスメラルダ側国境付近であるカムルート砦へ向けて出発したそうです。戦場の兵に対して慰問に訪れるそうですよ」

「余裕なんね」


 レッキスの一言に数名が頷く。


「アカメよ。オレには桃姫を相手しろと言ったな」


 ウシツノが次は自分の番だと名乗り上げる。


「そうです。厄介なのは桃姫ですからね。最終的に彼女を無力化しなければ戦争は終わりません」

「パペットだけでなく人の心まで操るみたいだからな。手はあるのか?」


 ウシツノの問いにアカメが力強く頷く。


「勿論です。私は以前、パペットの行動について疑問を持ったことがあります。ケンタウロスの集落が炎に包まれた時です」


 ハクニーの顔が曇る。

 大勢のパペットに囲まれた集落は、周囲の空堀に巻いた油に引火して脱出を試みた。


「次々と燃え盛る堀の底で、折り重なるパペットが例外なく動きを止めていたのを確かに見ました」

「そうなのか?」

「それがどう言うことなんだ?」


 火が弱点なのだろうか。


「先に結論から言いましょう。桃姫の術技(マギ)には十分な量の酸素が不可欠なのです」


 物質は燃焼する際に酸素を必要とする。

 すると炭素と酸素が化合し二酸化炭素が発生する。


「空気中の酸素が一定量必要なのだと考えました」

「へぇ」


 ウシツノやレッキスは素直に感心したのだが、ウィペットは疑問を挟んでくる。


「酸素が原因とは限らないのじゃないか? 例えば熱とか」

「あっ! そういうことだったのにゃ、アカメ!」


 ウィペットの疑問にメインクーンがハッとして声を上げる。


「なんだクーン?」

「あの時! アカメとパペットの手錠で繋がれたときにゃ。お前もしかして」


 メインクーンがあの時のことを思い出そうとする。

 桃姫の寝所から脱出した時、クネート皇子に嵌められた手錠をアカメはしきりにいじくっていたのだ。


「逃げながら手錠に火をつけたり、バケツの水に沈めたりしてたにゃ。そんなことしても外せないって叱ったんにゃけど」

「おかげで確認はできました。火を当てても変化はありませんでしたが、水に沈めると鎖の意識がなくなったのです」

「だからって普通の手錠と変わらないから外せなかったけどね」

「ですが水から出して酸素を供給してやると、再び息を吹き替えしましたよ」


 何故か嬉しそうにそう反論するアカメ。


「火に巻かれるのも水に沈められるのも一緒なのか」


 ウシツノには理解しがたい様子。


「原理はわかったが、それでどうすればいいのだ」


 どうやらウシツノ以外は理解しているようだ。


「火中で戦闘するわけにはいきませんからね。水中戦です。それなら桃姫は術技(マギ)を使えません。剣で勝負できます」

「水中?」

「そうです。ウシツノ殿には桃姫と、水中で戦ってもらいます」


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