↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: みちゃき
第三章 異界・探究編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

158/788

158 最初の落伍者


 手も足も出なかった。

 変身したズアに対し、まともな攻撃を当てることすらできなかった。

 頭は混乱し、体は鈍り、痛みすらもどこか他人事だった。

 気付けば姫神の変身は解け、ミナミは地に伏していた。

 どこまでも続く細やかな砂が近い位置で視界に広がる。

 いや、そこに獰猛で凶悪な太い足がそびえたっているのが見える。

 辛うじて見上げると、獅子と山羊、そしてドラゴン、計三つの顔、六つの目がミナミを冷たく見下ろしていた。

 中心にある獅子の顔がしゃべった。

 その声には落胆の様子がありありとうかがえた。


「この程度とはな。貴様には、姫神としての覚悟がなさすぎた」


 覚悟――?


「〈心〉め……つまらぬ娘を選んだものだ」


 こころ――? それって確か……。


「あ、あなたは、いったい……」


 ミナミの口から弱々しい声がズァの耳に届く。


「言ったであろう。我はお前たち姫神に対し、常に敵対する者。まさか何の妨害もなく好き勝手にこの世界を蹂躙できると思っていたのか」


 世界を蹂躙――? そんなつもりない……。


「フンッ!」


 ズァの姿が人間然とした元の偉丈夫に戻る。

 すでに戦いは決着している。

 ミナミにもう抗う力は残されていなかった。

 ズァは身を屈め、倒れているミナミの体を肩へと担ぎ上げた。

 何の抵抗もできない。


「やっ――! やめて……」


 体をこわばらせ、身をすくめる。

 すでに姫神であることも、冒険者であることも忘れて、自分がただの無力な小娘でしかないと悟り、心の底から畏怖していた。


「なにする、の……」


 あらゆる恐怖体験がミナミの脳裏をよぎった。

 心がそれに耐えられず、思考を強制終了させようとして、ミナミは意識を失ってしまった。

 ズァが歩き出す。

 意識を失ったまま足元に倒れているシャマンたち五人のことは一切顧みることもなく、暗闇に向けて歩を進めた。


「雑魚に用はない。捨てておけよ、ヴァルフィッシュ」


 どこへともなく命令を発する。

 次いで、


「ゴルゴダへ飛べ」


 その言葉を最後に、ミナミを担いだズァの姿は消えた。


 そして砂が流れ出す。

 流砂となって倒れたシャマンたちを押し流した。

 気を失っている一行は流れに逆らうこともなく、次々と砂に飲み込まれていく。

 シャマンが、ウィペットが、クルペオが、メインクーンが、その姿を没していく。

 最後にレッキスが流された。

 その進路上に一振りの剣がある。

 ミナミの神器、土飢王貴ライドウだ。

 剣はレッキスの懐に流れ込むと、共に砂の中に没していった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。