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亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: 光秋
第二章 魔都・動乱編

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113 上陸! 不死の軍団

登場人物紹介


ウサンバラ      変色竜(カメレオン)族。マラガ盗賊ギルド幹部にして五商星のひとり。

ホンド・パーファ   狸族の武器商人。マラガ五商星のリーダー。

ゴンズイ・テーション 魚人族(サハギン)。海運業を牛耳るマラガ五商星のひとり。

シーズー・ライブ   犬狼族(ウルフマン)。飲食業をまとめるマラガ五商星のひとり。

「やれやれ、この部屋に定例会以外で訪れることになるとはな」

「今、何時ですかな」

「そろそろ〈明けの四刻(午前四時)〉ですかな」

「まだ、暗いですのお」


 その部屋は月に一度、五商星が集まり会議を開く部屋だった。

 その部屋に五商星の三人、すなわちタヌキ族のホンド・パーファ、魚人族(サハギン)のゴンズイ・テーション、犬狼族(ウルフマン)のシーズー・ライブが集まっていた。


「もう四刻もこうしてここに待たされています。呼び出した本人はまだなのですか」


 その時、部屋の大扉が開き変色竜(カメレオン)族のウサンバラが入室してきた。


「やあやあ皆さん、お待たせしてしまい申し訳ありません。夜分のご足労痛み入ります」


 三人ともが苦い顔をする。

 ウサンバラが盗賊ギルドと繋がっている以上、不意の招集にも答えないわけにはいかない。

 口惜しいがこの街でギルドと事を構えるのは得策ではないからだ。

 だが、それならば一人欠けているようだが。


「急な招集だ。それなりの理由があるのだろう?」

「ええ。その通りです」

「だが、まだ一人来ていないようだが」

「ご婦人ならお見えになりませんよ」


 ウサンバラの声音に三人の心がざわつく。


「実は大変申し上げにくいのですが、ヒガ・エンジ殿のお屋敷が今夜半、何者かによる襲撃に会い、現在連絡が途絶えておりまして」

「な、なんだと!」

「目下、街の衛兵を緊急招集し現場に向かわせる支度を整えているところです」


 そういうウサンバラの目が不気味に笑っているのをホンド・パーファは見抜いていた。


(遅すぎる。今更衛兵を招集しているだと? そして我らを事前に呼び集めていたことといい……)


 訝しんだのはホンドだけではない。ゴンズイもシーズーも同様である。


(白々しい。だがヒガ殿が粛清された原因はなんだ? 先の定例会議に何かがあったのか?)

(これは明らかに見せしめ。我らをも押さえつけようというギルドの魂胆……が、しかし)


「五商星の屋敷が襲われるとは大胆不敵な蛮行。されど今は急ぎ衛兵を向かわせ事態の収拾を図る以外にあるまい」

「左様。犯人の詮索よりもまずは周辺住人の避難が先かと」

「この強風です。火の手が上がれば一気に延焼を巻き起こしかねない。まずは被害を最小限に……」


 三人のやり取りを聞きながらウサンバラは笑いをこらえるのに必死であった。

 この期に及んでもこいつらは、我ら盗賊ギルドが怖いのだ。

 この街は実質盗賊ギルドのもの。

 それは未来永劫揺るぎのないものなのだ。



 バタン!



 その時またしても部屋の大扉が開き、今度はゴンズイの部下である魚人族が飛び込んできた。


「ゴ、ゴンズイ様! 大変です!」

「わかっておる! ヒガ殿が襲撃されておるのであろう! 今対策を立てておるゆえ……」

「そ、そうではありません! 敵襲です!」

「敵襲? だからそれは」


 あまりに錯乱しているその魚人族に全員が注目する。

 ウサンバラも例外ではない。


「どうしたのだ? 落ち着いて報告せよ」

「は、はい! たったいまですが、このマラガの街にト、トカゲ族とカエル族の軍隊が、押し寄せております!」


「!?」


「な、なんだと! か、数は?」


 魚人族の部下はいまだ推定の域は出ないと前置きしつつ、


「数は十万をくだりません! そいつらが突如として、街の中に現れたのです!」

「街の中!? ど、どういうことだ? 船ではないのか? すでに街中にいるというのか?」


 ホンドはウサンバラを盗み見た。

 だがウサンバラの表情も驚愕の色を隠しきれていない。


(奴にとっても予想外の出来事なのか)


「と、とにかく、そ奴らを止めるんだ」

「それが……信じがたいことなのですが」


 部下は一泊呼吸を入れると絶望に近い言葉を紡ぎだした。


「奴らを殺せないのです! 奴らは……不死身の軍団なのです!」


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