episode9 「反乱の兆し」
騎士舎は普通の寮と似ていて三階まである。これでもこの世界ではかなり珍しい建物だとのことだ。
そんな騎士舎、昼飯の時間にて。
「「「弟子にしてくれ(ください)!」」」
数人の同じ騎士見習いから弟子にしてくれ、つまり俺たちの師匠になってくれと頼まれた。
「断る。」
「「「なぜ!」」」
パンを齧る。うまいな。
「人に教えれるほど俺は偉くないし、おそらく努力すればお前らの方が強くなれる」
「「「(んなわけねぇ……)」」」
なんでそんな呆けた顔してんの。だってこの前の決闘はほとんど膂力というか身体能力に任せたものだったし。
「じゃああの達人のような技術な何だったんですか」
「技術って?」
「掌底ですよあのよくわからない」
ああ、発勁のことか。実際見様見真似だったから効果は半減しているだろうがな。
「あれはただの知識、真似してやってみただけだよ」
「一発勝負で自分の知識にある武術を応用するなんて馬鹿げていますよ」
「…まぁ。偶然だ偶然」
「じゃああのバケモノ並みの連打の秘訣は」
「集中力」
「集中力?」
「ゾーンと言うかなんて言うか、まあ。ぶわっ、て視界が開けて周りが遅く見える。ある意味走馬灯的な…」
「師匠」
「いや師匠じゃないし」
「その御業教えてくれませんか」
なんか目をキラキラさせて問うてくるが、嫌だな。
「技じゃないし、教えてできるもんじゃないと思うが。剣術を楽しんでればいつの間にかできるようになるんじゃないか」
「剣術はお遊びじゃない!」
同じ机に向かって座っている一名がそう高々と叫んだ。
「確かにお遊びじゃない。楽しむのと遊ぶのは全く別の代物だろうが」
眼つきを鋭くして言う。これ以上面倒ごとにはあいたくない。
「で、師匠。弟子にしてくれませんか?」
ん、よくみるとこいつはあの時決闘申し込んできた眼鏡じゃねぇか(名前忘れた)
「あの空間把握力、コツを掴む速さ、反射神経、まさに効率的な攻防。一瞬で虜にされたのです。どうか弟子にしてください!」
何コイツ、気持ち悪さがオーバーしてやがる。
「何度でも言おう。断る。」
「なら何度でも頼みます!。弟子にしてください!!」
しつこい。
「集中力であれくらいの連打ができるようになれば考えてやる、何事も練習だ」
やっぱり上から目線になってしまうな。しかも俺ちゃっかり偉人の名言をまるパクリしてるし。
「あ、有難うございます!」
コイツ…………完全に目がイってやがる。脳とメガネが連動してるどころか脳内がハッピーセットになってやがる。
とにかく一時の危機は去った。でも本当にできるようになってしまったら弟子にしないといけないのか。いや、もうそれは考えないようにしよう。忘れたほうが良いことだってあるのだ。
【】【】【】【】【】【】【】
とある屋外での話。
国民に時間を知らせる時計塔。その上に人影があった。
「団長、準備は着々と整っております」
「ご苦労だな。」
斥候として使えているその配下からの報告。それに耳を傾けながらも団長と呼ばれたその影は帝国の城下町を神妙な面持ちで見下ろしている。
「この国は腐りすぎた。ならば元に戻してやらねばなるまい。虐殺と言う非道な手段で、我らの手で」
斥候はつらつらと語る言葉を黙って聞いていた。
「倫理を持ったままではこの国は救えまい。我らが反乱軍と呼ばれようともこの負のスパイラルを断ち切るためのものよ。其方もそうだろう、でないと我らは死んでも死に切れぬ。」
その陰、元宮廷騎士副団長。ゲネリオル・バウセン。近頃急にに頭角を表し始めた反乱軍の首領。
予想以上に短くなってしまった。これどうしよう。




