双愛時代
2000年も50年経った。
インターネット社会が進化をすれば人間そのものも進化する。
機械と人間の融合に成功し、即頭部のコードに繋ぐ事で
容易な情報交換を可能にする社会が出来た。
好意を持った感情を持つ者同士は、すぐに仲良くなれて、
嫌悪感を持つ人間は即座に排斥される。
その危険性を考えるべきなのだが……。
「陽介! また考え事してる~。可愛い彼女を無視してなにしてるのよ」
俺の幼馴染である高木梨奈は少し唇を尖らせて不服そうな表情をしている。
「ん? 現代社会の移り変わりについてだよ、世界はこれから……」
俺の視界が急に遮られた。柔らかい何かが押し付けられている。
「……そんな事考えないで、私だけを視ていて、じゃないと」
視界を取り戻した時、梨奈に抱きしめられている事に気づいた。
「じゃないと?」
「消えちゃうから」
寂しそうな声で梨奈が言った。
その切ない顔がなぜか彼女を大人びた雰囲気を纏って
俺は惚れ直していた。
「……コード繋ご」
俺はあまり、コネクトを好まない。
コードレスコネクトもできる時代に
わざわざ有線で繋いで消耗する必要もないだろう?
だが、有線はお互いがお互いでしか感じ取れない電磁パルスを
感じれる。つまり今は、梨奈の電磁パルスを
俺だけが感じ取れる。
だから黙って繋ぐ。もちろん、加圧電流で接続部分がショートする危険性が
ないわけじゃない。
だけど、俺も望んでるんだと思う。
なんでか、わからない。だけど彼女の想いのまま動かされてる。
「私だけの陽介だから」
きっと、梨奈から見える世界は幸福なのだろうなと思う。
彼女の眼はいつだって、確信に満ちた眼で俺を見ている。
獣のような眼で。