表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

前に進みたい人の話

作者: うどん卿

いつからだろう。

前に進めなくなってしまったのは。

前に進みたいという思いは、まだ、ある。それどころかどんどん増してゆくばかりだ。

前に進みたい。

前に進みたい。

どうしてこうも前に進めなくなってしまったのだろう。

理由を考えればいくらでも出てくる。博打に負けっぱなしなこと。最近体調が悪かったこと。恋人に振られたこと。友達に裏切られたこと。親と喧嘩したこと。

それだけなのだろうか。

アスファルトに包まれた大地の上で生活をすることが、本来動物である人間にどれだけのフラストレーションを知らず知らずのうちに与えているのか。本来空を飛ぶことのできない人間が空を飛ぶということがどれだけのフラストレーションを与えているのか。目には見えない電波に犯されるということがどれほどなものか。わからない。前に進めなくなってしまったのはそのせいなのかもしれない。

一歩踏み出すだけでいい。

そんなことはずっと前からわかっている。わかっているんだ。ただそれができない理由がある。そうさせない何かがある。

勇気を出せ。一歩踏み出せばいい。

できるのか?他人にその助言を出すくらいならできるさ。でも、いざ自分がその立場だったら、一歩踏み出せるのか?できないだろう。できないくせに安っぽい言葉を投げてくれるな。

いつから前に進めなくなってしまったのだろう。

わからない。

なぜ前に進めなくなってしまったのだろう。

わからない。

これから前に進むことはできるのだろうか。

わからない。

まだ、前に進む力は残っているのだろうか。

わからない。

でも、そんなことよりもっとわからないことがある。

どうして、追い越しの許されない長蛇の列において、この私の前に立ちふさがるあまりにも大きなおじさんは、列が前に進んでも前に進むことなく、まるで仁王のように立ち続けているのだろうか。

さっぱりわからない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ