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殺されかけた主人公

こんにちは瞳です。

ではどうぞ。

「うーん」


僕の目の前には様々な武器が横一列にと並んでいる。

迷う、果てしなく迷う。

剣に弓に杖にハンマーにアックスにグローブ、ピストルまで、まだ沢山種類があり一部僕の知らない品物までもがある。

建物内は薄暗いが綺麗に磨かれた武器のおかげで明るい気がする。

エルなんて目を輝かしてるし僕も多分輝かしているだろう。

武器は男のロマンだ。エルは女の子だけど。


「しかし冒険者なら武器ぐらい持っているのが当然だろう、なんで持ってないんだ?」

「へっ? あ、ああ、僕ら冒険者じゃないから」


大樹から出で武器が無いことをさりげなく言ってみたらナトリとロディは武器屋に寄ってくれた。

お金がない。

それが今エルと渡の現状だったのだが、今回この儀式に参加してくれたことにお礼にと武器を買ってくれるとのこと。

ここは素直に礼を言って買って貰うことにした。


それにしてもまだ慣れない。

この緊張は心臓に悪い、話掛けられた途端ドキッと心臓が跳び跳ねていちいちすっとんきょうな声を漏らしてしまう。

どうにかならないものか…


「へぇ、冒険者じゃないのにこの儀式に参加してくれなんて、二人はなかなか根性あるじゃん、お前らの活躍楽しみにしてるぜ」


ガシャっと試しに持っていた剣を落としそうになる。

あぶなと思いながら額にかいていないもいない汗を拭った。

あまり期待をしないでくれ。

殺生は嫌いだし恐怖で体が硬直状態になりかねないから。


「エルはこれがいいんじゃないのかな?」


ナトリがエルに合う武器を進める。


「サバイバルナイフ、冒険者じゃないから剣も持ったことないよね、なら女の子の初心者はこれがいいかな」

「おお!」


エルの目の輝きがさっきより増した。

どうやら気に入ったらしい。

やっぱり幼女の無邪気な笑みは可愛い、こっちまでつい笑みを見せてしまう。


「僕も早く決めよう」


自然と声を漏らしながらチョロチョロと周囲を見る。

これなんてどうだろう。

どでかい剣、バスターソードかな? と思いながらも、ガチャと支えられていた木の板からバスターソードを手に持つ。


「お、重っ」


手にしたバスターソードの重さに負けそうになり危うく落とす所だった。

店員もハラハラしているように見える。

これは無しだな。


すぅと視界に長い剣が目に入る。


「これだな」


僕はロングソードを手にいれた。


「僕はこれにする」


黒に染まった鞘から剣を抜くと眩しく銀に光った輝きが目にしみる。


エルもナトリが薦めた剣に決めて、僕らは礼を言ってナトリとロディに剣を渡した。

購入するため、レジに入った二人。

その間に僕は心に溜まっている鉛のような重さを口から吐き出すかのようにエルに吐く。


「それにしてもこの頼みが終わったら果実を食べて日本に帰るのに、勿体ないな、でも剣がないと戦えそうにないし」

「なにいってるの渡? これが終わってもまだ帰れないよ?」


エルは真顔で答えた。


「え、どうして、大樹がもう目の前にあるのに、果実ってことは沢山成ってるんだろう、だったら譲って貰えば…」

「いやいや、確かに大樹は目の前にあるけど誰ももう果実が成ってるとは言ってないよ、それと果実は1つしかならないから」


頬に1滴の汗を流す。

確かにそうだ、勝手に僕が決めつけていただけで誰も果実が成っているとは言っていない。

なぜ、こんな簡単な事を見逃していたのだろう。

知らない人と話したりで緊張のあまり思考が回らないのか? それなら頷ける。

それにエルは僕を変えると言っていた。

こんな早く帰ってしまえばおそらく何も変わる事がないだろう。

だって僕はまだ、何もしていないんだから、だから変わるはずがない。

雅奈恵に変わった僕を見て貰う為に僕はまだ帰れないんだ。


すぅと一呼吸。

そして話は再開する。


「果実は1つか、いつ成るんだ?」

「んー、早くても半カ月後かな」

「そんなにもか…」

「それだけじゃないよ、1つしか成らない果実は当然奪い合いが始まる、実際に過去に戦争が合ったらしい、だからこの果実はバトルフロンティアにて優勝者だけが手に出来るルールに社会はしたんだ」


バトルフロンティア、もしそれかあるとなれば僕は優勝出来るように戦いに、戦闘に強くならなければならない。

ちょうどいい、この木の根っこみたいにひねくれた自分の性格がまっすぐになるまで強くなって見せよう。

そう決意に決めた僕は強く胸をグーで押さえる。


「勝つよ、僕は」

「うん、頑張ばって!」

「ああ!」


エルの応援に僕は答える。

可愛く無邪気な笑顔を見たからか少し勇気が出できた。

今なら不良でも立ち向かって行けそうだ。


戦いとの言葉聞いて思い出した事があるんだが、僕はいったいどんなチート能力を授かったのかエルに聞いていなかった。

急に気になってきた。

いや、授かった時点でもう気になっていたのだが何せあのキス事件があった訳で、とても聞くどころではなかった。

そのまま時間が流れいつの間にか聞くのを忘れていた僕は今でも思い出す。あの柔らかい唇の感触を。


結局変態な妹がやらかしただけで、姉であるエルには何の悪気ない。だかは僕からファーストキスを奪ったエルを許すことにしたのだが天使は恥ずかしいという言葉を知らないのだろうか。

これもぜひとも聞いて見たいが、今はそっちは大事ではない。

だから大事な方であるチート能力の中身は何なのか僕はワクワク気分でエルに聞いた。


「ところでエル、聞き忘れていたのだけど僕にくれたチートはいったいどんな能力なんだ?」


エルの人差しが自分の唇に当てて考え出す。

おいおい、もしかして忘れた訳ではないだろうな。

そう思ったつかの間、エルははっ!と思い出したかのような表情をして言ようとするが。


「ボトルよし、武器よし、忘れ物はないよな、ナトリ」

「うん、バッチし準備は出来た、あ、ボトルは僕が持つよ、ロディは無くしそうだからさ」


ジャストタイミングに購入が終わった二人がこっちに向かってくる。


「渡、あとで教えてあげる、二人の前でチートの話なんて部が悪いから」


苦笑いでエルは言う。

もう少し早く気づいて聞いておけば良かったと思ったが後悔しても仕方がない、まだウルフが住み着いてる洞窟まで道がある。

時間はあるから隙を見て聞こう。


「よし、行こうぜ二人とも」


声と伴い、買って貰った武器を僕とエルに向けて投げる。

それを見事に手に取り、僕らは目的地である洞窟にと歩き出した。



時が流れ、目的地にとたどりついて僕らは洞窟の中に入っていた。

ウルフは目の前にいる。

なぜか入り口付近で違うモンスターを食っていてその前に続く道のりの参上が尋常ではない。

血の匂いがして気味が悪い、ウルフは笑みを見せながら食べてるし、モンスターも抵抗なしにただ貪られていただけだった。

薄暗い暗闇で蒼白な表情をして恐怖に包まれていた僕だが、ロディの元気に騒がしくして、ナトリが騒がしいロディにたしなめて、そして、エルの可愛い表情で励ましてくれたおかげで、僕は自然と恐怖が無くなっていた。


入り口から送り込まれる風と太陽が当たらず冷えきった洞窟の冷気が混ざり合い、少し体が冷えてくる。

ここに来る間、結局はエルはどんなチートなのかは教えてはくれなかったがそれはしょうがない、ロディが騒がしいんだから。


いつの間にか食い終わっていたウルフはジロッと鋭い目をして僕を睨んでいる。


「渡!」


あれ、なんでナトリとロディはそんな蒼白な表情を…


「ガハッ」


思っていた思考が痛みによりかきけされる。

腹から赤い液体。

そしてー

そして、さきほどウルフのいた場所には何者の姿が見えなく、代わりに僕の目の前に影が見える。

長い鋭利と伴に。


僕は意識を失い、地面に倒れた



































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