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キスから授かるチート能力

こんにちは瞳です。

ではどうぞ。

レストランを出て歩き出したこと数分。

なんというかまさかこんな身近にあるとは思わなかった。

というより誰が思う?

ヒロイン(エルとして)が果実を食べようと言い出して初日からその元である大樹がこの街にあることを。

モンスターは怖いし冒険が出来るからとウキウキという気持ちはそれほどではないが、こんな身近にあるなんてなんか敗北感がある。

これがゲームだったら数分でクリアというクソゲーだよ。


とまぁ、今はそんな事を置いといて。

僕らはギルドに着いた。

例えるならスカイツリーよりデカイ。だって大樹の中がギルドなんだから。


「何してる渡、おいてくぞ」

「そうだよ、おいてっちゃうよ」


二人の掛け声により、僕は大樹の中へと入った。



どうしよう、モンスターが怖いと思いながらもルシファが友人を連れてくるのを待っている。

だがそれと並んでこのギルドの設備に関心を抱いてソワソワしている僕もいる。

なんと言うかファンタジーだ。

アニメと同じ、酒場みたいに机と椅子が並んでいて、ジョッキを持ちながら人が賑わっている。

入り口から前を見るとカウンターがあり、そしてお決まりの可愛い女の子がいる。

長い白髪を腰ラインまで伸ばし、身長が高く大人という雰囲気を醸し出して少し僕は目を奪われそうになるがそれでも幼女には敵わない。

幼女は最高だ。

無邪気で可愛い。

そういえばエルは幼女なんだよ。

今まではなかなか落ち着きがなく回りが見えていなかったけどこうして見ると食べてしまいたいぐらい可愛い。


そしてその左側には上下に行き来出来る木で作られた階段がある。

ルシファはそこから友人を呼びにいった。



話がずれたがあらためて言よう。僕はモンスターを倒すのが怖い。

日本にいた僕でも恐らく蟻ぐらいしか殺していないだろう。

だけどもそれは無意識に踏んでしまったことで遊びで、殺意で殺した訳ではないのだ。

どうだろう。そんな心優しき僕がこの世界に来てモンスターを退治出来るのだろうか?。

いや、単に臆病なだけで蟻を踏めなかっただけだろうけど、それでも生き物を殺すには相当な度胸が必要となる。


大樹も見つけたし果実だけ盗んみここで逃げると選択があるが、そんな悪党、僕はこれから罪悪感に襲われる。

それに借りた恩は返すというのが人としての礼儀。

そんな事を思う僕なのだけどこの頼みごとで僕は死ぬかもしれない。

あ、もう死んでるんだっけ。

ともかくこれは、覚悟を決めないといけないな。


「渡、私とキスをしよう」


…は?


「へぇ、エルはたまに面白くもない冗談を言うんだな」


唐突に言うエルは、顔を引きずりながらも僕の放った言葉を無視して口に口紅をぬいはじめた。

何をしているんだ? と質問がしたいのだけどそんなものは見れば分かる。


「んっ」


それは突然だった。

女の子の香り、花の香りが鼻腔を通り、心の鼓動がいっそう早くなる。

口には柔らかい触感、そして少しエルの唇が濡れていた。

訳の分からないまま時間流れ二人だけの沈黙が訪れ、(さいわい)のこと周囲の人達はガヤガヤと騒がしくこっちに眼中にないことが助かりだった。


「ぷぁっ」


エルがようやく離れてくれた。

初めてだったのに、僕のファーストキスは雅奈恵と決めていたのに。

どう責任をとってくれるんだ! と。その思いを込めて、僕は狼のように鋭い目付きでエルを睨んだ。

本人はというと、なに? といった表情で見つめてくる。

自分が何をしたのか分かってないのか?


「勘違いしているようだけどわざとじゃないよ、ちゃんと理由があっての行動だから」

「ほう、ならその理由とやらを聞こうじゃないか、言っておくが万が一その理由がなっとくできなかったら、僕はお前を許さない」

「落ち着いて、ほら見なよこれを」


そう言うと手に持った口紅を僕に見せる。


「それがどうしたんだ?」

「うん、これはただの口紅じゃなくて妹が開発した物、ようはこれで渡を強くしたんだ」

てことは、ひょっとして!」

「そう、渡の世界で言うチートだよ」


やったぁぁぁ! チート能力を手にいれた。これで僕は無敵なんだ!

なんだ、そう言うことなら許してやってもいいや…でも何で口紅?


「なぁ、今の説明で納得出来たんだが何で口紅なんだ、飴玉とかじゃあダメなのか?」

「いや、妹が変態だから私と渡のキスシーンを妄想した結果だと思う」

「やっぱり許さね!」




数分の時が流れ、上の階からルシファは姿を見せた。

その後ろに二人の少年を連れてきながら。

年は僕と同じぐらいだろうか。

その三人が僕とエルの前に立つ。


「待たせてすまない、彼らが私の友人だ、右がナトリ、左がロディだ」

「よろしく」


ナトリが言う。


「お前が渡でこっちがエルか?まぁよろしくな!」


最後にロディが元気な笑みを見せた。

茶色に似た髪の色に染めて、輪という顔立ち、クリクリと目を丸めて近くにいるだけでも元気がでる感じ。なんというか

ヤンチャなイメージがある。

その裏腹にナトリの方は大人しい雰囲気だ、グリーン色の髪に染めて目はタレ目、その表情はどんな時でも真面目に動きそうに、てきぱきと仕事をこなしそうなオーラを醸し出している。


正直緊張が増してきた。

モンスターが怖いという意味も含むが、それよりこうして不良以外で同い年ぐらいの人と関わるのは久しぶりな訳で、エルは雅奈恵と同じ幼女じみているのでそこまでの緊張はしない、ルシファに関しては雰囲気が優しいから大丈夫、差別だなこれ。


「あ、ああ、よろしく」


僕のぎこちない自己紹介のあとはやはり話が詰まる。

何を話せば良いのかが分からない。

中学では友達がいなかったから仕方がないことだが…


「うむ自己紹介はそこまでにして本題に入ろう、ギルド長は今不在中だから代わりに私が話す、今年の儀式相手はこいつだ」


そう言ってポケットから肌色の長方形型をした紙を広げる。


「レジットウルフ、この街に出で北に少し進むと洞窟が見える、そこにそいつが住み着いているから討伐だ、証拠品の毛皮をここのギルドに持って来たら儀式は終わりだ」

「りょーかい、じゃあ行ってくるわ、行こうぜ三人とも」


とのことで僕らはレジットウルフの討伐にギルドに出た。































儀式をする理由と、チート能力はもう少し話が進めば分かるようになります。

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