第八話
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「よう…。久しぶりだな〜『』能力者ーーーーーー‼‼」
一匹の物体が吼えると周りの建造物の窓が震え出した。
「やはり、気ずかれましたか…」
「そのようじゃのぅ…」
「え、…う、うわぁ?!な、なんだテメェ‼」
響は2人と一匹しかいないこの場所でヨコから声がしたため首を動かした。そこにいたのは黄色黄金の髪を左サイドでまとめてお団子にして、耳は髪の間からでており、紅い着物を肌けた状態で着て、お尻のあたりには尻尾を付けた幻惑的な女性がいた。
しかも、尻尾は九本ある。
「女子よ…タダでさえ抱っこされていることに遺憾を憶えるのになんじゃ、その態度は…」
「な、ななな、なんだ!こいつ!あ、頭から動物のみ、みみ耳が‼」
「本当に失礼な奴じゃのぅ〜」
響はヨコにいる『たまも』の姿に口がふさがらなくなっていた。
「はいはい、たまも。嫉妬もそれぐらいにして目の前に集中して下さい。」
「な、わ、ワシは嫉妬などしとらん‼ちょっとそこの女子が生意気に見えたから注意したのじゃ‼」
「あぁん?!んだと!コラぁ‼」
さっきまでの動揺とは裏腹に生意気というセリフでキレた。
「ちっ!いちいち、うるさい女子じゃ。ちーとばかし黙れんのか」
「あぁん?ケンカ売ってんのか?あぁ?!」
「うるさい!抱っこされた状態で言われても怖くはないわ‼」
「な///!し、したくてなっ、なったわけじゃね‼///」
「な?!女子貴様!顔を赤らめよったな!主殿は貴様には渡さんぞ!」
「べべべ別にいらねーよ!///」
「何じゃと?!いらないじゃと!!」
「な、何だよマジで…」
「なんか、僕の扱い酷くないですかね〜」
響とたまもがいがみ合っている中で秋真は苦笑いをしながら基本的な質問を出した。
「とういうか、如月さん。たまもの姿見えるんですね」
「あぁん?何言ってんだ!普通にこの目で狐野郎が見えて仕方が……え……お、お前さっき何つった?」
「ですから、たまもの姿見えるんですねって言いましたけど」
「み、みみみみ見えるって…え…こ、こいつ…ま、まさか、ゆゆゆゆ」
「とりあえず、話は後です。今は逃げますよ。如月さん掴まってください。一気に飛びますよ!」
「そんな、礼儀も知らぬ女子など置いていけばいいのじゃ…」
そして、秋真は響を抱っこしたまま今度は都市の方へと、飛んだ。響はさっきまでの厳つい態度はなくなり秋真の腕の中で叫ぶのに精一杯だった。
「幽霊ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?!?!‼‼‼」
そして、去って行く秋真の背中を優雅に見ている一匹の物体は口元を釣り上げ呟いた。
「カカカカッ。逃げろ、逃げろ。そっちの方が殺しがいがある!」
◆◆◆
「さて、ここまでくればしばらくは大丈夫でしょう。もしかしたら、あいつの存在に気が付いて冬花が処理してくれるかもしれません」
「お、お、おおい!変態!」
秋真は建設途中の鉄格子だらけの風等しがいいビルに来ていた。ちなみに高層なため上の方にいる。響は何やら怯えているようだ。
「フッ。大丈夫ですよ。そんなに怖がらなくても落ちない様に僕が抱きしめて上げますから」
ドゴッ。
顔面を凹まされた。
「ちげーよ‼バカ‼こいつだよ、こいつ!」
「さ、さすが…姉妹…手が直ぐに出るところがそっくりです」
響は風に身を間かして鉄格子によりかかるたまもを指差し、秋真に問い詰めた。
「ああ。たまもですか?僕の妻です」
「///な、なななな何を言っとるのじゃ!主殿!た、たたたしかにワシは主殿と一番長くおるから必然的にま、まぁ、あ、あ、あ愛妻となるのじゃがな!」
「たまも…今はデレデレですね(笑)」
「///デ、デレてなどおらん!」
「素直じゃないところがまた可愛いですよ」
「か、可愛いじゃと⁈」
「てめぇはてめぇでなに、自分を抱きしめてグネグネしてる!」
「だ、だまれ!女子!それよりも、助けてもらっておいてなんじゃ!その態度!」
「別に頼んでねぇーし」
「なんじゃと!じゃあここからいますぐ突き落として貴様の命を絶やしてくれようか!」
「は!いいぜ…この狐野郎。あたしの『水変演舞』で終わらしてやる」
二人が鉄格子の上で距離をとった。が間に問題元の秋真が入り距離をとった意味がなくなった。
「はいはい。僕のために争うのやめてください。たまも、現状を忘れないように。如月さんは何か質問があったんじゃないんですか?」
「う、うむ、すまぬ。醜態を晒し主殿にご迷惑を」
「大丈夫ですよ。気にしてませんから」
「う、うむ」
「で、こいつは結局のところなんなだよ」
響が秋真を見て再度、質問した。
「主殿じゃよ…」
「この変態のこと聞いてんじゃねーよ。てめぇのことだよ。狐野郎」
秋真に聞いたつもりだったがたまもが答えた。響は秋真からたまもに目線を移すと真剣な眼差しと何処か昔を懐かしむ目で響を見つめ返していた。
「じゃから、主殿はワシら『妖怪』と契約したー…「やっと、見つけたぜ『』能力者ーーーー!!!!!」
「!!」
「!」
「?!」
突如、ビルの上の方から先ほどの物体の声が響いた。三人が上を向くと上のほうの鉄格子には先ほどの物体がいた。しかも今回は暗かった森林とは違い、都市のさまざま光で実体がはっきりしており、髪は黄色、肌は褐色で上半身裸の男の姿をしていた。しかも頭には人にはない、角が二本生えている。
「おやおや、以外に早かったですね」
「ふん。鬼の下っ端がワシの会話の途中で現れるとは無礼きわまりないのぅ」
「おいおい、狐。オレはこれでも昔は人から四天王とか言われてたんだぜ」
「な、なんだあいつ?!あ、頭につ、角が…」
平然と会話をしている秋真とたまもの近くで響は物体の身体を見て驚きを隠せないでいた。
「なんだぁ?そこの女、オレが見えるのか」
「ヒッ!」
響は『鬼』らしき物体に歪な目線を受け、本能的に両手に水の剣と周りに水の槍を出した。『鬼』は戦闘態勢になっている響を見て口をつり上げてしゃっべた。
「カカカッ女、おまえらが使う『超能力』ってやつは全力で使うとやばいんじゃねーのかよ!」
「おや?いつのまに現代の知識を身に付けたのですか?」
「オレたち『鬼』も社会に溶け込んでいたらそのぐらいわかるっつーの」
「人嫌いな『鬼』が人間社会に溶け込むなんておもしろいことを言いますね。とくにあなたからそんな言葉が出るとは思いませんでした」
「オレだってさすがに時代が経てば学ばざるえなくなるさ。だけど、今はそんなことどうでもいい。久しぶりにおまえの力を感じてやっと殺せる時が来たんだからな」
「貴様も物好きよのぅ。主殿と殺り合って生かされた命をこうも無駄にするとは」
「ケッ言ってろ、狐。おまえにも、かなり恨みがあるから覚悟しろよ」
「はぁ~めんどくさいことになりましたね」
会話を聞いていた響は戦闘態勢のまま『鬼』らしき物体から目を離さなかった。というより離せなかった。そして肌にはものすごい汗が滲みでており、目は『鬼』らしき物体を離さず充血している。呼吸もかなり乱れている。
「ハァハァハァ…」
こいつから目はなしちゃだめだ!殺られる…。そう、殺られるんだ…。殺られる…。殺られる。殺られる殺られる殺られる殺られる殺られる殺られる殺られる殺られる殺られる殺られる殺られる殺られる殺られる殺られる殺られる殺られる殺られるやられるやられるやられるヤラレルヤラレルヤラレルヤラr…
「すみません、如月さん。すこし眠ってください」
秋真は『超能力』を全開で発動した響の隙をついて首に手刀を入れた。そのまま、響は秋真の腕の中で意識を失った…。