第七話
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米日中央都市、夜。赤い月が見下ろしている都市内のコンビ二の外…地面に倒れている秋真とそれを見下している金髪ツインテールの少女がいた。
「痛っ…」
「……」
金髪ツインテールの少女は一発、秋真に入れると殺気を出しながら秋真が立ち上がるのを待っているようだ。
秋真は殴られたところをさすりながら立ち上がり金髪ツインテールを見た。コンビニの店内の光で容姿ははっきりとわかった。目は碧眼、金髪のツインテールは腰とお尻の間ぐらいまで伸びている。胸はDぐらい、絞まるところはしまっていてグラビアアイドルみたいな容姿をしている。耳にはあまり目立たないがピアスをしており、首輪タイプのO.V.R.Sを付けている。魂が抜けていた秋真はついさっきの店長とのやりとりを忘れて今にも輝きそうなイケメンフェイスを作った。そして秋真は持ち前のナルシストテクで対応をした。
「これはこれは。美しい金髪の方。いきなり殴るとは…少々、愛情表現が過激ではないでしょうか?まぁ僕はそんな方でも受け入れますが」ニヤッ
「あぁ?!何、言ってんだてめぇ。馬鹿か。この糞ナルシスト!!」
金髪ツインテールは眉間にしわを作ってめんどくさそうに怒鳴る。
「…フッ。やれやれ、こっちもツンデレですか。…どうして僕の周りにはツンデレしかいないのでしょうか?困ったものです」
「チッ!話になんねぇー…。おい!てめぇ、バイト何時におわんだよ」
「?今日のシフトですと11時半ぐらいには終わりますが…。何か?」
金髪ツインテールはいきなり秋真のバイトの時間を聞いた。秋真は唐突に聞かれたため、いつもの口説き文句を忘れ素で対応してしまった。
「てめぇ…。いや、なんでもない。終わったらツラかせ。それまで待つ」
「あ、いや…」
「あぁ?!文句あんのか!!」
「い、いえ。別に」
「ちょっと、ちょっと!どうしたの?!」
外で怒鳴り声が聞こえて店長が出てきた。店長は外にいる秋真と金髪ツインテールを見た。そして、秋真の顔にさっきまでなかった殴られ傷を見つけると反射的に金髪ツインテールに鋭い目を向けた。
しかし、出てきた店長を見て金髪ツインテールはいきなり頭を下げた。
「怒鳴り声を出して悪かった。バイトが終わり次第、こいつを借りたいんだがいいか?」
「え、あ、いや。私は別に…か、かまわないけど…」
「そうか、ありがと。」
秋真と雫は動揺してしまった。
それは金髪ツインテールがそこらのヤンキーと違い、礼儀を示したからだ。
そして、深々と頭を下げた金髪ツインテールはそのままコンビニの外の壁にもたれかかった。
「悪いが店長さん、そいつのバイト終わるまでここで待たしてもらってもいいか?」
「え、ええ…」
雫は金髪ツインテールの対応を動揺しながら終えると秋真をつれて店内に戻った。
「ちょ、ちょっと、アキくん。どうゆことなの?外で怒鳴り声が聞こえたと思ったらいきなりかわいい金髪ツインテールの子が頭を下げたよ?!」
「僕にもわかりません。だけど、どうやら僕が何かしたみたいです。」
「そうなの?」
「ですが、顔にまったく見覚えがないんですよ。」
「???とりあえず、そんなに危なそう人じゃなさそうだし、話だけでも聞いてあげたら」
「そうですね。女性が僕に対して恨みを持っているなんてぜんぜん想像できませんし、軽くおとして見せますよ」
「落とすと犯罪者になっちゃうからだめだよ」ニコッ
「…………」
さすが、天然ですね。あっちはあっちで熱い視線を送っていますが、どうも、いやな予感がします。
女性に限ってそんなことないと思いますが…。
◆◆◆
現在11時50分ごろ。
バイトを終えた秋真は金髪ツインテールについていき、第一演習場の森林に来ていた。
ちなみに演習場の使用は学園の教師がいないと使用はできない。特別な権限を除いて…。
「こんなところにつれてきて野外プレイですか?」
「……」
金髪ツインテールは秋真の変態セリフをスルーし、距離をとった。そのまま、距離をとると無言で秋真を睨んだ。
「どうやら、お話は嫌いみたいですね。じゃあ、お名前だけでも教えていただけませんか?僕の記憶がたしかなら初対面だと思いますが…」
「はっ!状況的にわかんねぇのか?名前なんか名乗っている暇はねぇんだよ!!」
「!!」
金髪ツインテールが、我慢できず声とともに右手を出した。
瞬間、秋真の近くにあった木々がきれいに切り倒された。
「な?!」
「次は、はずさない…」
どうやら能力を開放したらしく、秋真でも確認することができなかった。
そして、今度は右手を高く上げ、手の平を空に向けた。すると右手に水が出てきて次第に大きくなり水の丸い塊ができた。その丸い塊は次第に平たくなっていき、右手には2mはある水の円盤ができあがった。その水で、できていた円盤は高速に回転している。
さっきのはこれですか…。
秋真はさっきの木を倒した技がこれだと判断し、身構える。
金髪ツインテールはやる気になった秋真を確認すると右手にできた水の円盤を秋真に向かって投げた。
秋真は最初の一撃目でよけられないとわかっていたため、その場で両腕を前に出してガード体制にはいった。が…
「な?!…チッ!…が!」
秋真は後方へ飛ばされ木に背中からぶつかる。どうやら彼女の水の能力は以外にも強く、飛ばされた模様。結果、そのまま木に背中を預けしゃがみ込んでしまった。両腕には横一文字に切り傷ができ赤い液体が森林に生える草に飛びッ散っていた。
「がはっ!!…」
「へぇ~やるじゃねぇか、あたしの攻撃を受けて腕落としてないなんて」
秋真は打ち付けられた痛みに耐え、近づいてくる金髪ツインテールに問うた。
「ゲボッ!ゲホッ!あ、あなた…O.V.R.Sのリミッターはずしてますね…。しかも、その言い方だと僕を殺すつもりですか…いやな予感があたってしまて残念です…」
「あたしは初めから殺意をもっておまえに近づいたがな…。」
「愛情表現だと思いたかったんですけどね~…」
「さすが、Eランクの変態だな。腐りきっている」
秋真は目の前まで来た金髪ツインテールを目で捉え頭の中で模索した。
ハァハァ…。背中の痛みは引いてきていますが、腕がまだ使えそうにないですね。とっさに出したシイの防御力を上回るとは…。それにこんな夜中の演習場を使用できる…。後でなんとかなるとわかった上でのことなんでしょう。これだけで推測する限り、かなりランクが高い能力者ですね。さて、これからどうしたものか…。とりあえず…。
「これで終わりだ。死ね…」
金髪ツインテールが今度は右手に水でできた湾曲刀みたいな形をした剣を作り、秋真の頭の上から振り下ろした。
「逃げる‼」
「‼」
秋真は剣が振り下ろされる瞬間、横に飛び剣の一撃をやり過ごした。
金髪ツインテールは避けられたことにも驚いたがまだ動けることに感心を持った。
「へ〜まだ動けるのか…。だが、そうこなくっちゃな‼…姉貴はてめぇの…てめぇらのせいでバカにされてるからなぁ〜その報いを一撃だけで終わらせられるか‼」
金髪ツインテールはそのまま、乱雑にだが隙がない美しい剣撃を秋真に繰り出し続けた。
「?…姉貴…僕が知っているあなたのお姉さんって…誰ですか?…。教えて下さい。なんの恨みがあってあなたが僕に攻撃しているのか、それではっきりします」
秋真は金髪ツインテールの剣撃を躱しながら再度、金髪ツインテールに名前を聞いた。
不意に金髪ツインテールの剣撃が止む。
秋真はこの隙に距離をとる。
「チッ!いいぜ。教えてやるよ…。あたしは如月 響…てめぇならわかるだろ?」
「?…き、如月……きさらぎ……かなで?……先生……ま、まさか!」
「そうだよ。あたしは如月 奏の妹、如月 響。あたしの姉貴…如月 奏はいつだって凄かった。頭脳も能力も優れていて、Sランクになれるはずだった。だが、姉貴はなぜか教師になることを決めて周囲の人の反対を押し切った。あたしでもなぜ教師になったかは知らないだけど教師に成り立ての頃は他の教師、生徒から尊敬されていた…。だけどてめぇら最弱Eランクや無能者に差別することなく手を差し伸べたら学園内の教員からは除け者扱い。生徒からは疑惑の目で見られてる‼全部…全部てめぇらのせいで…てめぇらのせいで…姉貴は…姉貴はーーーーー!!!!」
セリフとともに空中にできていた無数の水の槍が秋真に向かって降り注いだ。
どうやら、金髪ツインテールは話いる間に周りの水分を集め、水の槍を生成していたようだ。
「くっ!いつの間に?! シイ!頼みます‼」
ドドドドドドッ‼
秋真の周りは木が倒れ、土煙が立ち込めていた。秋真の安否は確認できない。
「……ハァハァ…」
そして、次第に視界が開けてくると、そこには水の槍で串刺しにしたはずの秋真がかすり傷程度で立っていた。地面は深々と槍による穴が空いていた。
「な?!」
「ゲホッ、ゲホッ。ちょっとやり過ぎじゃないですか。こんなに騒がしいと能警が来ちゃいますよ」
能警とは『超能力』が一般化された社会で能力による犯罪を取り締まる能力警察の略である。能警はCランク以上の超能力者で出来ており、尚且つO.V.R.Sのリミッターは常に解除可能状態になっている。他にも迅速に事件を解決する為にオートマチックロボや部分型能力増加武器などがある。
「チッ! Eランクの癖に‼」
響は戦闘体制をとり、再び水の剣を出した。
パシッ‼
しかし、右手は自分の意識と関係なく上に持ち上がっていた。
「な‼」
「…もう、終わりにしましょう。あなたが如月先生に対する気持ちは分かりました。ですがこれだけは言わせて下さい…。あなたのお姉さん、如月先生は教師の中で一番凄く、生徒達に対して真剣に向き合ってると僕は思います。そして、その行いを受けている僕は彼女が教師で僕達の担任であることを誇りに思っています」
秋真は水の槍で穴だけの場所から響がいる場所まで行き、攻撃しない様に右手を掴み上にあげて奏に対する率直な気持ちを言った。
「な、そ、そんな意見信じらるか!てめぇ、どうやってあたしの前まで来やがった‼」
「そんなことはどうでもいいです…」
「てめぇ!人のはな「どうでもいいと僕が言ったらどうでもいいんです」
「て、てめぇ、何様だ‼」
「僕様ですよ。それより如月先生は言っていました。〈私は他人に思いやりのある人間ではない〉とそんな一言を表情が見えなくなった状態で言ったんですよ…その時は僕には関係がないと思いました…。ですが、こうやって、本人でもないのに手を出す奴がいるなら僕は関係ないとは言えません!如月先生自ら本気で殺しにくるなら僕は甘んじて受け入れましょう。ですが第三者、第四者が先生の代わりで僕を殺しに来たなら僕は全力で止めさせてもらいます!そして、一言いいます。〈あなたが行った行動で如月先生の手が汚れました‼〉と」
「な、ち、違う!あ、あたしは姉貴を守ろう…「それはただの偽善です!あんたの自己満足にすぎない。あなたはお姉さんにちゃんと向き合っているのですか?ちゃんと向き合っていれば何をして欲しいのか自ずと答えたが見えて来ますよ…。あなたはただの恩付けがましい偽善者ですよ…」
「あ、あたしは!!…あたしは…」
響は秋真の正論に膝をついて心の中で復唱した。
あ、あたしは……
〈響、お前は上を目指してくれ…。それだけで私はお前を誇りに思い、私は私らしくやっていける〉
!!
奏が昔、教員になるにあたって響に言った一言を思いだした。そして、気づいた時には目からは能力とは違う生暖かく優しい水が出ていた。
「あ、あれ。あ、あたし、あたし………あ、姉貴……あたし、う、うううわぁぁぁぁあぁぁ」
響はその場で泣き声ともにへたり込んだ。秋真はそんな彼女を見てただ立って、柄でも無いことに反省をした。
「ふぅ~ちょっと、僕も熱くなりすぎましたかね…。」
秋真は地面に顔をうずめて泣いている響を見て一息して星が見えない空を見た。
「星がない空もたまにはいいで…ん?…これは!」
空がいつもと違う。秋真はそう感じた。いや、空が違うのではない。空気が、気配が変わったのだ。
この感じは秋真にとってよく知る感覚だった。
昔の感覚。
自分が『』能力者としての感覚。
!!!!!?!……やはり…
空を見ていた秋真は険しい表情を作った。
「…チッ………」
響には聞こえない、小さい舌打ち。
秋真は急な状況の変化に響を移動させるべく、穏やかに対応した。
「もう、大丈夫ですか?」
「グスン、グスン、ああ…だ、大丈夫だ……あの…その、自分の行いが姉貴を苦しめることになるってのはわかった…」
響は自身の心で自分の偽善、姉に対する侮辱。これを理解したようだ。
「そうですか。良かったです。では…早く…」
秋真は彼女が自分の間違いに気づける、『超能力者』だと判断する。そして、彼女に状況の変化にともない帰る様うながそうとした。しかし、響は秋真を睨むと喋っている秋真に対して権威を示した。
「だが‼お前は許さない!」
「え?!ちょっと何でですか?!って、それより」
秋真が話を進めようとすると響は被せて来る。
「お前は変態で姉貴を口説いているからだ!噂で聞いて実際どうなのか対峙してみてより一層、確信が持てた。これからは監視させてもらうからな!いいな!!」
秋真は若干、適当な対応をして強行手段に入ろうとした。
「な、…ハァ~分かりました………!!…そろそろやばいですね…」
「あぁ?何がやばいんだよ」
「いろいろですよ。如月さん、いますぐここを離れますよ」
「はぁ?!てめぇいきなりなにいっ……!!!…お、おい…」
「……」
響は先ほどまでとは違った秋真が目のに立っており動揺していた。
な、なんだこいつさっきまでの殺気のない目から一気に殺意のある目に…。
「ちょっと失礼しますよ」
「え?」
そういうと秋真は響をお姫様抱っこして飛んだ。
「な、なななにしやがんだーー‼この変態」
「え?痛!ちょっ!あば、…れな…ゴフッ!」
響は顔を真っ赤にして暴れるだけ暴れた。
ドゴォォォォォォォォン‼‼‼
「???!!!」
「……」
が次の瞬間、自分達がいたところからものすごい音が響いた。
「な、なんだ?!」
「………来ましたか…」
そして、自分達がいたところは木が木っ端微塵になり地面は演習場の隅々まで広がるクレーターが出来ていた。
逃れた秋真と抱っこされている響は無事に残っている木に着地した。クレーターの中心には一人、いや一匹の物体がいた。
「よう…。久しぶりだな。『』能力者ーーーーーー‼‼‼』
響の技はクリ◯ンのあの技をご想像下さい。その水バージョンです(苦笑)